ダイバーシティマネジメントとは、多様な人材を積極的に採用し、企業のパフォーマンスを向上させることをいいます。
性別や人種、年齢といった表層的ダイバーシティはもちろん、価値観、職務経験、信条の違いといった深層的ダイバーシティを受け入れることが重要です。
これまで、日本のダイバーシティ推進というと、人権の尊重や女性の活用、従業員の福利厚生の拡充といった表層的な取り組みのみに重点が置かれていました。
しかし、本来のダイバーシティ推進は、企業が競争に勝ち抜き、成長していくことにあります。
さまざまな価値観をもつ多様な人材がそれぞれの長所を生かし、新しい価値を生み出すことが重要なのです。
とはいえ、日本の企業にダイバーシティがなかなか根付かないのは、男性中心の考え方、育児・介護の支援制度が不十分、外国人の採用に消極的などが挙げられます。
多様な人材を受け入れ、支援制度の整備を進めるためには、ダイバーシティマネジメントを機能させる必要があります。
シニア層や外国人などを雇用することによって労働力を確保できるうえに、新しい価値観に触れることができます。
従業員一人ひとりの強みをいかすことによって、グローバル化に適応することができ、企業戦略の変革にもつながります。
経済産業省は企業の経営力と競争力を高めるため、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を制定しています。これは、ダイバーシティマネジメントを導入するうえでの基本的な手順です。
経営トップがダイバーシティの方針を明らかにし、自らの責任で取り組みをリードします。
ダイバーシティを継続していくために推進体制を構築し、トップが実行に責任をもちます。
取締役会の監督機能を高め、ダイバーシティマネジメントの取り組みを適切に監督します。
属性に関わらず、活躍できる人事制度を見直し、働き方改革を実行することです。
従業員の多様性を生かせるマネージャーを育成します。
多様なキャリアパスを構築し、従業員一人ひとりが自律的に行動できるように、キャリアオーナーシップを育成します。
一貫した人材戦略を策定・実行し、その内容・成果を効果的に労働市場に発信します。
また、投資家に対して企業価値向上につながるダイバーシティ方針と取り組みを適切な媒体を通じて発信し、対話を行います。