トランジションには、「転機」「移行」「変遷期」などの意味があります。
ビジネスで使われるトランジションとは、昇格・昇進や異動、結婚・出産などのライフイベントといった、ある年齢になると直面する出来事によって、次のキャリア段階に移行することをいいます。
トランジションはマネジメントするうえでの課題の一つでもあり、従業員の能力把握やキャリア開発、また社会の変化に対応できる戦略的なリーダーの育成などが求められます。
アメリカの臨床心理学者で組織コンサルタントのウィリアム・ブリッジスは、トランジションには3つのステージがあると提唱しています。
人は「終わり」「ニユートラルゾーン」「始まり」という3段階を繰り返すことで、リーダーシップを養成し、強化できるといわれています。
人生のステージやキャリアが切り替わることをいいます。アイデンティティの喪失、後悔、悲しみ、怒りなど、ネガティブな感情が伴う段階です。
「終わり」から「始まり」に移行する段階のことです。ただし、過去のキャリアにこだわり、現在の状況が受け入れがたいという葛藤が起こる時期でもあります。
ニュートラルゾーンは、トランジションを受け入れる最も重要な時期といわれています。
過去のこだわりを捨て、新しい環境や状況を受け入れます。ほかのメンバーと対話しながら目標を定め、達成に向けて歩んでいく段階です。
トランジションを行うには、従業員の希望や事情を踏まえたうえで、周到に計画を立てることが重要です。
役割転換不全は、新入社員や若手社員、女性社員、管理職など、幅広い層で起こる問題であり、適応できない場合は離職を招いたり、組織が望む能力を発揮できなかったりする場合があります。
トランジションを成功させるには、教育制度の充実、職場環境の整備などが重要です。