多面評価は人事評価制度の一つで、上司や人事担当者、部下、同僚といった立場や関係性の異なる人間が、1人の対象者をさまざまな角度から評価するものです。
多面評価は、今まで見えていなかった対象者の行動特性が表面化するため、360度評価ともいわれています。
人事評価は、昇格や昇進、昇給の査定をはじめ、従業員の能力を把握し、人材育成に活用するためのものです。
評価は主に上司が行いますが、部下の思考や行動を逐一把握するのは困難といえます。
また、IT技術の進展によって、上司と部下のコミュニケーションも以前に比べて希薄になってきています。
こうしたさまざまな事情を踏まえ、上司だけでは気が付かないことも多面評価を導入することによってカバーできるようになります。
評価者が一人だけの場合は、どうしても相性や先入観などが影響しますが、多面評価なら客観的な評価が実現します。
対象者にとっても、さまざまな評価をフィードバックされることで納得度が増し、自分を客観視できるようになります。
さまざまな評価を知ることで、人間関係や業務の進め方を改善するきっかけにもなります。
多面評価は評価者それぞれの主観が入ることを想定しなければなりません。そのため、評価結果の平均点だけを見てしまうと、対象者の実像を見誤ることがあります。
多面評価の場合は、評価者それぞれの結果の相違点に着目し、なぜ評価が分かれたのかを考える必要があります。
多面評価は評価することに慣れていない人も評価者として選ばれることがあります。
多面評価を導入するにあたって大切なのは、目的や評価基準を明確にすることです。目的に沿って具体的な評価項目を設けましょう。
また、評価内容は対象者に必ずフィードバックすることが重要です。多面評価の目的を伝え、対象者の業務改善や行動変容につなげましょう。