コンピタンスとは、周囲と効果的に関わり合いたいという気持ちから、潜在能力を発揮して、自分の「有能さ」を確認しようとする動機付けの概念です。
もし、自分の能力では対応が困難な問題が発生したとしても、責任感をもって対応し、解決しようとする努力のことをいいます。
コンピタンスとアビリティは似ていますが、意味は少し異なります。アビリティ(ability)を英訳すると、才能や技能、手腕などの意味があります。
ビジネスで使われるアビリティは主に「能力」のことです。仕事を遂行するうえで基本となる知識やスキルをはじめ、態度、やる気といった、企業にとって価値のある能力のことを指します。
一方、コンピタンスはアビリティを応用したものと考えるとよいでしょう。
コンピタンスには、行動を起こすきっかけとなる「動因」、各個人の特長や情報に対する反応などの「特性」、個人の価値観や態度といった「自己イメージ」、個人の「知識」、業務を遂行する「スキル」の5つのタイプがあるとされています。
コンピタンスは、アビリティをもとに自分に対する会社や組織の期待に積極的に応え、強い意思で対応しようすることです。
経営の分野でコンピタンスが注目されるようになったのは、終身雇用や年功序列といった従来の安定した雇用が保証されなくなり、従業員それぞれがキャリアデザインを描く必要性があるためです。
とくに採用時や人事管理において、上述したコンピタンスの5つのタイプが重要になってきます。
EC向上や優秀な人材の流出防止のためには、スキルや知識の開発が必要です。これは企業がサポートすることができます。
ただし、動因や特性のような個人の人格に関わる部分の開発は困難です。そのため、企業はコンピタンスの5つのタイプを備えた人材を採用することが重要だといわれています。