リスキルラボ インテグリティの文化を定着させる方法を紹介【健全な企業運営を目指す】

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数字にばかり走る企業は、経営していく上でリスクになりうる。その状態を作らないためには、社内に「インテグリティ」の文化を定着させる必要がある。この文化が定着すれば、健全な企業運営を実現しやすくなる。

インテグリティを定着させるには、正しいやり方がある。本記事では、インテグリティの文化を広める方法を中心に紹介していく。

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インテグリティとは

インテグリティとは「誠実さ」「高潔さ」などを意味する言葉だ。企業や社員に求められる価値観として使われることが多い。これは利益至上主義を回避するのに役立つ。

インテグリティがない企業では、コンプライアンスや倫理観などを無視して利益を挙げようとする。それが社内で横行すると、内部告発や関係者から告発されるリスクが高まる。その結果、売上減少を招く。

しかしインテグリティが定着すれば不正が起こりづらくなり、バッシングされるリスクも減る。企業と社員を守ることにつながるため、インテグリティの定着は大事だ。

インテグリティとコンプライアンスの違い

インテグリティの場合、会社が指示するのではなく、社員達が自主的に行うのが特徴だ。法令や社内マニュアルだけではなく社会観や倫理観などにも取り組む。

一方コンプライアンスでは、会社側が社員達に指示することが多く、会社主導で取り組む。ルールを守ることに重きを置くのが特徴だ。

インテグリティが企業にもたらすメリット

ここからは、インテグリティが企業にもたらすメリットを紹介していく。

コンプライアンスを遵守する人材の育成

社内にインテグリティの文化が広まれば、社員達はコンプライアンスを守ることに力を入れ始める。その結果、コンプライアンスを遵守する人材の育成に役立つ。

企業の成長を見込める

インテグリティの文化が社内に広まれば、会社について考える習慣ができる。「会社を良くするためにどうすべきか」「何を改善すべきか」を真剣に議論する場が生まれやすくなり、企業が成長しやすい環境が整っていく。

企業ブランディングにつながる

自社の公式ホームページやパンフレットに、インテグリティに関する文言があると、誠実さをウリに経営していることが分かる。自社に良い印象を持つ方が増えて、商品の購入率アップに役立つ。

このようにインテグリティを有効活用できると、世の中に良い印象を与えられる。よって、企業ブランディングにつながると言える。

インテグリティの文化を組織に定着させる方法

ここからは、インテグリティの文化を組織に定着させる方法を紹介する。

企業目標、経営方針を共有させるための教育を行う

インテグリティの文化を広めるには、社員達に企業目標・経営方針を共有が必要だ。実施しないと、社員達は自分の価値観を重視し、会社の目標と違う方向へ動き出す。その結果、インテグリティを根付かせるのが難しくなる。

チームメンバーが足並みを揃えて、同じ方向を向いて行動するためにも、この教育は行うべきだ。ちなみに教育では、以下のことに気を付けると良い。

共有させる内容を前もって決めておく

共有させる内容を決めずに教育を行うと、講師によって言うことがバラバラになる。社内教育の質を、ある程度均一にする意味でも、共有させる内容は前もって決めた方が良い。

社員へ伝わるように教育する

会社で設定されている教育マニュアル通りに進めても、聞いた側が理解しないと意味がない。誤った認識をされると、部下達にも誤った内容を伝えてしまう。その結果、メンバー間での意思疎通が難しくなる。

メンバー間で共通認識がないと、チームでの成果は挙がらない。伝言ミスを防ぐためにも、社員へ伝わるように教育すべきだ。

時間をかけて教育する

一気に教育しようとすると、聞いている側はキャパオーバーを引き起こし理解できなくなる。その状態を作らないためには、時間をかけて教育することが大事だ。少しずつ覚えさせれば、キャパオーバーを起こさずに済む。よって、教育の成果も挙げやすくなる。

社員達に押し付けない

社員達に押し付けながら教育をすると、聞いている側は義務感を感じる。その結果、自主的に理解しようという気持ちが削がれてしまう。

自主的に吸収させるには、社員達が自ら理解したいという気持ちを作ってあげることが大事だ。したがって、押し付ける教育は良くない。

インテグリティの指標を役職別に明確にする

指標を明確にする理由は、何を目指して働けばいいか分かるようにするためだ。役職によって役割が違う分、指標は分けた方が良い。たとえば、以下の区分で分けると明確にしやすい。

経営陣

経営陣は経営に最も近い存在の人物であり、在籍している社員に企業理念や価値観を伝える役割を持つ。社員達は経営陣の言動や行動を見て、自分達の行動に反映させていく。身内からの見られ方を意識した内容にするといいだろう。

管理職

管理職のミッションは、チームの成果を挙げるために部下を育成することだ。根気強く育てる力や、部下に寄り添う姿勢などが重要であることを意識して設定すると良い。

その他の従業員

自身の業務スキルを上げることに励むことが求められる。「必要な知識を習得し素直に学び続ける」「都合が悪いことがあっても報告する」ということを重視して、内容を決めるといいだろう。

インテグリティを基準にした評価制度を導入する

インテグリティを基準にした評価制度を導入すれば、社員達はその基準を満たそうと意識しながら業務に取り組む。その結果、社員達にインテグリティの文化が備わっていく。

ちなみにインテグリティを基準にした評価制度にするときは、以下のことを反映させると良い。

目標達成度

インテグリティの意識を大事にしている社員は、自身が設定した目標に対して達成するまで真摯に取り組む。自身の目標を達成できている社員ほど、高い評価を得られる。

貢献度

社員の貢献度も評価に反映させるといい。なおインテグリティを軸にした評価基準では、以下のことに対して、貢献できているかチェックすると良い。

チーム

チームに対しての貢献度の高い社員は、チームの成果を挙げようと積極的に取り組む姿勢が見られる。一方、貢献度が低い社員は、チームでの取り組みに対して消極的な行動や発言をとり、個人プレーばかりに集中する。

会社

会社の目標を達成させるために、貢献できているかもチェックする。会社が理想としているものを実現させようという気持ちで動いている社員は、会社に対する貢献度が高い。逆に、会社が向かっている方向と違う方向へ進んでいる社員は、貢献度は低い。

顧客

顧客へ貢献できているかもチェックする。正義感を発揮し、顧客が喜ぶサービスや情報を提供する社員は貢献できている。逆に自分の利益ばかり考え、顧客に喜ばれないことをする社員は貢献度が低い。

社員の自律的な行動

インテグリティに基づき、社員が自律的な行動をとっているかも評価項目に入れるといい。自律的な行動をとれているか判断するときは、以下の観点でチェックする。

自ら行動をとれる

自律的な行動をとれる方は、周囲からの指示がなくても自ら動こうとする。積極的に質問をしたり、指示がなくても動けたりする方は、自ら行動する社員だ。

責任感がある

責任感を持って、仕事をするのも特徴だ。「自分で解決しようとする」「仕事を放棄しない」「他の社員に丸投げしない」などが挙げられる。最後まで、自分の仕事としてやり抜く社員は責任感が強い。

自分なりの考えを持っている

自律的な行動をとる方は、自分なりの考えを持っている。たとえ、同僚に違う意見を言われたとしても、鵜呑みにしない。自身でかみ砕き、自分の価値観をもとに判断する。軸となる考え方を持っているため、他の意見を言われてもブレない。

会社のルールを守っているか

会社のルールを無視する行動は、インテグリティに反する。そのため、会社のルールを守れているかも評価に反映させるべきだ。

「社内マニュアルやコンプライアンスを守れているか」「自社の社員として道徳観を持った状態で行動できているか」という視点でチェックするといいだろう。

インテグリティに力を入れている企業の実例

最後に、インテグリティに力を入れている企業の実例を紹介する。

花王株式会社

花王株式会社には「花王ウェイ」と呼ばれる考え方を設けており、全社員にインテグリティの大切さを伝えている。

「企業として社会的責任を果たしながら活動する」「コンプライアンスを遵守しビジネスを行う」「同じ志を持った仲間と共に歩んでいく」など、インテグリティを意識した文言が載せてある。

社内では「花王ビジネスコンタクトガイドライン」と呼ばれるものを定め、「花王ウェイ」の理念を行動に落としやすい状態をつくった。それが、インテグリティの定着率アップにつながっているようだ。

シスコシステムズ合同会社

シスコシステムズ合同会社では、自社の価値観を反映させた「ビジネス行動規範」と呼ばれるものを作り、健全な企業運営ができる取り組みを行っている。たとえば、以下の内容が盛り込まれている。

他者を尊重する

自社では、社員がいじめや嫌がらせを受けないための環境作りを大事にしている。ハラスメント関連の対応はもちろん、障害を抱える方が安心して働ける職場作りにも力を入れているようだ。

利益相反を避ける

利益相反とは、二者のうち片方が利益を得るための行動をとったことで、もう一方が不利益を被ることだ。自社では、会社と社員間の利益相反を避けることが盛り込まれている。

具体例として「自社の社員による競合他社での副業」「自社に脅威を与える企業への投資」などが、利益相反の一例として挙げてある。

ダイムラーグループ

ベンツの販売などを行っているダイムラーグループでは、インテグリティ規定を設けて消費者や取引先などに協力を呼び掛けている。たとえば、以下の内容が載っている。

人権

人権については「ビジネスと人権における国連指導原則」を参考にして決められた。人権違反が起きないための取り組みを行っており社員はもちろん、取引先に対しても適用される。

贈答品

ビジネスパートナーから贈答品を受け取る場合、適切なものか確認しなければならない。適切ではないと判断した場合は、上司に報告することが求められる。

汚職防止

利益を得るためにビジネスパートナーや顧客・官庁などと、不適切なやり取りを行ってはいけないことも載せてある。社員達への研修や監査によるチェックを行い、防止に力を入れているのが特徴だ。

まとめ

企業として利益を挙げることは重要だが、それだけでは世の中から支持されない。現代の企業はコンプライアンスを遵守したり道徳観や倫理観を持ったりなど、利益追求以外においても、力を入れる必要がある。

それを実現させるには、社内にインテグリティの文化を広めることが効果的だ。インテグリティの文化が広まれば、企業に以下のメリットを与える。

  • コンプライアンスを遵守する人材の育成
  • 企業の成長を見込める
  • 企業ブランディングにつながる

企業にとって望ましい状態が出来上がり、プラスの効果をもたらす。社外の方からの評価も上がり、業績アップも期待できるだろう。

ただし正しく実践しないと、インテグリティは定着しない。以下のことを行うと定着しやすくなる。

  • 企業目標、経営方針を共有させるための教育を行う
  • インテグリティの指標を役職別に明確にする
  • インテグリティを基準にした評価制度を導入する

上記内容を社内に取り入れることで、自然とインテグリティは根付いていくだろう。実現させれば、社員達が誠実に働く環境が出来上がる。善悪の判断がつく社員が増えて、社内での不正も起こりづらくなるはずだ。健全な職場環境を実現させるためにも、インテグリティの定着に力を入れていただければと思う。

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この記事の監修者
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Q&A
  • インテグリティとは、誠実さや高潔さを表す言葉です。コンプライアンスを遵守するだけではなく、倫理観も大事にしながら取り組むことを指します。
  • コンプライアンスを守る社員の育成ができたり、企業の成長を見込めたりすること、企業ブランドにつながったりすることがメリットです。
  • 企業方針や理念などを共有する教育を行うといいでしょう。その他にインテグリティを軸にした評価基準の設定、役職ごとに指標を設けることも重要です。
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