リスキルラボ ダブルバインドとは?意味や典型例を紹介【円滑なコミュニケーションのために】

社内コミュニケーション研修
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上司とコミュニケーションの取り方について悩みを抱える従業員もいる。その原因の一つとして挙げられるのが「ダブルバインド」だ。ダブルバインドが起こると、従業員は働きづらくなってしまい、会社の雰囲気も悪くなってしまう。

本記事ではダブルバインドの概要を紹介しながら、具体例や会社としてダブルバインドを起こさないための環境づくりに関するコツを解説していく。

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ダブルバインドとは

ダブルバインドとは、矛盾した2つのメッセージを出すことだ。これは学者の「グレゴリー・ベイトソン」が発表した言葉となっている。

一般的なダブルバインドでは、相手の混乱を招くコミュニケーションを指す。これを否定的ダブルバインドと呼ぶ。相手の言葉を考慮してアクションを起こしたものの、結局相手を満足させられない状況に陥るのが特徴だ。

なお、その一方でどちらのメッセージを選んでも相手を満足させられるケースもある。その場合は肯定的ダブルバインドと呼ばれており、相手が不快に感じずに済む。

ダブルバインドを受けて困っているという人は、かわし方や対処法、度が過ぎた場合にはどうしたら良いかなどをまとめた記事もあるので、ぜひ読んでみてほしい。

ダブルバインドの典型例

ダブルバインドの典型例は以下の通りだ。

「質問があったら聞いて」と言われ、質問したら「自分で考えろ」と言われる

質問があって聞きに行ったにも関わらず、質問したら自分で考えろと言われる。どちらを選択しても上司に注意されるため、新入社員は混乱してしまう。そのため、ダブルバインドの一種と言える。

ミスの理由を聞かれて答えたら、「言い訳するな」と言われた

ミスの理由を聞かれて答えただけなのに、上司から言い訳するなと注意を受ける。これも従業員を混乱させる行為になるため、ダブルバインドの一種だと言えるだろう。

「誰ともしゃべらずに仕事をしなさい」と言われたのに、黙っていたら「周りと話しなさい」と言われた

しゃべらずに仕事をするように言われたのに、黙って黙々と作業をしていたら周囲の人とコミュニケーションをとるように注意される。

話しても話さなくても注意されるため混乱を招く。そのため、ダブルバインドの一種だと言える。

ダブルバインドのデメリット

ここからはダブルバインドのデメリットを解説していく。

仕事のパフォーマンスが低下する

ダブルバインドを受けると、どちらにしても何か言われるため自分がどのように行動すべきか分からなくなる。選択する場面で迷うことが増えて、取捨選択の場面で時間がかかってしまう。

さらに、相手とコミュニケーションをとるのが嫌になり、自分だけで業務を進めようとする場面が自然と増えて、仕事で協力してもらえる場面が減るかもしれない。その結果、仕事のパフォーマンス低下を招く。

仕事のパフォーマンスが下がると、目標の売上や利益を達成するのが難しくなる。結果として、会社を成長させるのも厳しくなるだろう。

自分に自信がなくなってしまう

ダブルバインドだと、正しい答えが分からなくなる。それが続くと自己肯定感が低下し、自分に自信がなくなってしまう。

自信がなくなると、普通なら正しい答えを導き出せるのに、誤った答えを弾き出すことになる。結果、仕事の出来が悪くなってしまう。

メンタル面で滅入る恐れがある

ダブルバインドを受け続けると、相手から否定され続けてメンタル面で滅入る恐れがある。精神疾患を招き、出社できなくなるケースも0ではない。

その状態の従業員が増えると、社内に従業員がいなくなる。最終的に他の従業員の負担が増えて、悪循環に陥ってしまう。

ダブルバインドをさせないために行わせること

ダブルバインドを行う従業員が多いと、従業員間のコミュニケーションに支障をきたす。最後にダブルバインドをさせないために行わせることを解説する。

過去の言動を振り返させる

過去の言動を振り返させる理由は、ダブルバインドがなかったか各従業員に考えさせるためだ。ダブルバインドをしていたことが自覚できれば意識するようになり、今後ダブルバインドを招く機会を減らせる。過去の言動を振り返させるときは、以下のことを心掛けると良い。

時系列で思い出させてみる

時系列で思い出させてみる理由は、漏れを防ぐためだ。たとえば新入社員時代、平社員時代、管理職時代といった形で思い出させれば、過去の記憶を辿りやすくなる。よって、振り返させるのに効果的だ。

フレームワークを活用させる

フレームワークを活用し、振り返させるのもいいだろう。たとえば、「やったこと・分かったこと・次にすべきこと」の視点で書き出す「YWT」や、「継続すべき点や改善が必要な点、次に生かす点」の視点で書き出す「KPT」などを活用させれば、振り返りがスムーズに進む。

そのままフレームワークを活用させるのも良いし、やりやすいようにアレンジさせてもいいだろう。

指示出しは具体的にさせる

指示出しを具体的にさせる理由は、ダブルバインドの機会を失くすためだ。指示内容が具体的でないが故に、ダブルバインドが起こるケースもある。

それを防ぐ意味で意識させるべきだ。なお、指示出しを具体的にさせるときは、以下のステップで行うと良い。

ステップ1:初めに概要を伝える

はじめに、何についての指示を出すのか要点を伝えることが大事だ。何の指示出しか伝えれば、その後に話した内容が相手の脳内に入りやすくなる。相手に聞き入れる体制をつくらせるためにも行った方が良い。

ステップ2:理由を盛り込む

概要を伝えたら、その指示を出した理由を盛り込む。理由を伝えないと、指示内容に関して不満を感じたり、指示を無視したりする状況が起きる恐れがあるからだ。指示出しに説得性を持たせるためにも、理由は盛り込んだ方がいい。

ステップ3:具体例を盛り込む

具体例を盛り込む理由は、やってもらう内容をイメージさせるためだ。イメージできれば、お互いが話の内容を認識できるため、指示内容がより具体化される。

ステップ4:相手に伝わったか確認する

全ての内容を伝えたからと言って、相手が理解しているとは限らない。したがって相手に伝わったか確認することが大事だ。不明点がないか聞いたり、分かりづらかったりした箇所がないか聞くといいだろう。

状況背景を伝えてから相手に話すように心掛けさせる

状況背景を伝えてから相手に話すよう心掛けさせると、矛盾したことを話さなくなる。結果、ダブルバインドが起こりづらい。なお状況背景を上手に伝えるには、以下のことが大事になるだろう。

ロジカルシンキングを身につける

ロジカルシンキングとは、論理的に考える能力のことだ。論理的に考えることができれば、説得性のある説明がしやすくなる。抽象的な話にならずに済むため、ダブルバインドが起こりづらくなるだろう。

相手の状況に合わせながら伝える

相手の状況に合わせながら伝えるのも大切だ。仮に状況背景をおおまかに理解できている従業員であれば、概要のみ話すといいかもしれない。

しかし、何も状況背景を分かっていない従業員の場合、細部まで説明しないと理解しない。したがって相手の理解度に応じて話す箇所を変えることが大事になってくる。したがって、相手の状況に合わせながら話すのは必須だと言えるだろう。

従業員間で関係性を構築しておく

従業員間で関係性を構築しておくのも大事だ。理由は、伝えた内容を素直に受け止めてもらうためだ。いくら正論をかざしても、関係性が悪いと受け入れようとしない。その結果、認識の違いが起こる恐れがある。

関係性が悪いと従業員間のコミュニケーションも取りづらくなるからだ。よって、普段から関係性を構築した方が良い。

ポジティブなメッセージを与えさせる

ポジティブなメッセージを与えさせると、否定的ダブルバインドが起こっていると思われづらくなる。怒りや嘆きなどネガティブな発言を受ける機会が減り、コミュニケーションが円滑になっていく。

とは言え、ポジティブなメッセージを与えるのが苦手だと感じる従業員もいる。その場合は、以下のことを意識させると良い。

ポジティブなメッセージを伝えることを習慣化させる

ポジティブなメッセージを伝えることを習慣化させれば、違和感を持っていた従業員も苦手意識を持たずにポジティブなメッセージを伝えることが可能だ。普段から従業員間で褒め合う時間をつくることで、習慣になるだろう。

社内の雰囲気を明るくしておく

社内の雰囲気が明るくなれば、ポジティブな言葉が出やすくなり、相手に前向きな言葉をかけられる従業員に育つ。従業員間の挨拶を大事にしたり、電灯の明るさやオフィスの配置を変えたりなど、さまざまな方法がある。

そうなれば、従業員の気持ちも明るくなりポジティブなメッセージを伝えやすい状況になるはずだ。

ポジティブな人とつるむ機会を設ける

ポジティブな人とつるむ機会を設ける理由は、その人の発言や行動を真似させるためだ。一緒にいれば、自然と言葉や立ち振る舞い方などが伝染する。そのため、自然とポジティブなメッセージを伝える習慣が生まれていく。

相手に選択肢を与えながら話をさせる

どちらか一方の都合で話を進めると、話に偏りが出てしまいダブルバインドの原因になってしまうこともある。

それを防ぐ意味で、相手に選択肢を与えながら話すのは大事だ。なお、選択肢を与える際は以下のことを意識させると良い。

選択肢を用意しすぎない

選択肢を用意しすぎると、どれを選ぶべきか混乱させてしまう恐れがあるからだ。たとえば優柔不断な従業員だと選択できない。時間ばかりすぎて、選択できない状態になると業務に支障をきたす。したがって、選択肢は2,3個程度にしておくのがベストだ。

選択させるときに従業員を威圧しない

従業員を威圧してはいけない理由は、不当な状態をつくらないためだ。たとえば、従業員が選択した際に、上司が「本当にそっちを選んで大丈夫か」と声をかけたとする。

大丈夫と言える従業員ばかりだと良いが、従業員の中には自信を失くし自分で選択できなくなるケースがある。それによって選択先を誤ると、業務が進まなくなってしまう。それを防ぐためにも従業員を威圧すべきではない。

難しい内容を用意しない

選択肢の内容が難しいと、従業員は何を選ぶべきか分からなくなる。よく分からない状況で選ばせると、選択した後に後悔してしまう従業員が増えるかもしれない。そのため、従業員が理解できる内容のものを選択させるべきだ。

まとめ

ダブルバインドが起こると、従業員はコミュニケーションをとりづらくなる。しかも、どちらを選んでも相手に文句を言われるため職場で働くのが嫌になってしまう。従業員にその状態を与えないためにも、会社として意識した方がいい。

たとえば、ダブルバインドとして以下の例がある。

  • 新入社員に質問があったら聞いてと言ったのに、質問したら自分で考えろと言われる
  • ミスの理由を聞かれて答えたら、言い訳するなと言われた
  • 誰ともしゃべらずに仕事をしなさいと言われたのに、黙っていたら周りと話しなさいと言われた

上記の例は、どちらにしろ上司から叱られる状況であるためダブルバインドの一例だと言える。ダブルバインドが起きている状態だと、従業員は会社で働く意欲が失せて、やがて退職を考えてしまう。

その結果、有能な人材がいなくなるため会社としてはダブルバインドが起きない環境をつくるべきだ。
ダブルバインドが起きない環境をつくるには、以下のポイントを抑えると良い。

  • 過去の言動を振り返させる
  • 指示出しは具体的にさせる
  • 状況背景を伝えてから相手に話すように心掛けさせる
  • ポジティブなメッセージを与えさせる
  • 相手に選択肢を与えながら話をさせる

これらを抑えることで、ダブルバインドが起きづらくなるはずだ。

また、基本的なコミュニケーションスキルである「聴く」「伝える」ができていないため発生している場合もある。該当となる方にコミュニケーション研修などを受けさせることも一つの手段だ。

従業員の居心地を悪くしないためにも、ダブルバインドが起きない環境をつくっていただきたい。

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この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • ダブルバインドとは、矛盾している2つのメッセージを発信することです。どちらのメッセージを信じても、相手は叱られるため気がめいってしまう恐れがあります。
  • 「人と話すなと言われたのに、黙っているとコミュニケーションをとって」と言われたり、「ミスの理由を聞かれたため、理由を述べたら言い訳をするな」と叱られたりする状況が該当します。
  • 発信者側には過去の言動を振り返させて、ダブルバインドを行っていないか意識させることが大事です。また具体的なメッセージを伝えさせたり、ポジティブな話をさせたりするのも重要だと言えるでしょう。
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