新入社員が仕事を円滑に進める上で習得してほしいことが「報連相」だ。その中でも重要な「報告」と「連絡」の違いを理解した上で使い分けることにより、社内でのやり取りがスムーズになる。
本記事では、「報告」と「連絡」の違いや、報連相を行うポイントについて解説していく。
報告と連絡の違いは、「情報を伝えることで相手に判断を仰ぐことが報告、それ以外が連絡」と言える。詳しくそれぞれの定義から見ていこう。
報告とは、業務の進捗・結果・問題を、指示を受けた上司や関係者に伝えることを指す。報告の目的は「指示をした方に情報を適切に伝え、判断を仰ぐこと」にある。基本的には何らの判断を要する際に行うことが報告だ。
一方で、連絡の目的は「業務に関わる情報を共有し、関係者が物事を進めやすくする」というところにある。相手への判断を仰ぐことより、業務に役立つ情報や取引先にあらかじめ伝えておくという意味合いが強い。
「その報告、助かるよ」「早めに情報共有してくれてよかった」と言われる報告・連絡をすることで、企業やチームに貢献することができる。まずは報告のポイントから押さえていこう。
報告する際は要点を絞ろう。なぜなら報告を受ける上司(相手)の時間は限られているからだ。忙しい上司に適切に伝えるために要点を押さえるようにしよう。要点を押さえる際のコツは以下の通りだ。
報告する順番を考える際は、以下のフレームワークを活用するといい。5W1Hとは「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのようにして)」の視点で進めていくフレームワークのことだ。
5W1Hを用いる際は、報告する内容によって順番を変えることが大事だと言える。例えば、イベントの開催日が決まったことを報告するのであれば「When」を最初に伝えることで、真っ先に相手が知りたい部分を伝えられる。また、トラブルの解決方法が決まったことを報告する場合は「What」を先に報告すると、具体的な内容を真っ先に伝えることが可能だ。相手の時間を無駄にしないためにも、最も重要な部分を最初に話せるよう、臨機応変に話す順番を変えるといいだろう。
「結局何が言いたいかわからない」「もっと話す順番を考えて」と言われる場合、話が飛躍している可能性が高い。その際に活用したいのがPREP法だ。PREP法とは「point(意見)→Reason(理由)→Example(事例)→point(意見)」の順番で進めていく形式のことを指す。PREP法を用いた場合の流れは以下の通りだ。
(意見)〇〇のため、××にしました。
(理由)理由は△△だからです。
(事例)例えば、過去に行った◇◇の事例では☆☆に成功しています。
(意見)売上拡大を図るためにも、××にすべきです。
上記のように最初と最後に意見を述べることで、熱量が増すため説得力の増す伝え方をしたいときに役立つだろう。PREP法の解説や効果はこちらのコラムでも詳しく解説している。→PREP法とは?ビフォーアフターで見る例文も紹介!「何言ってるの?」からの脱却
トラブルやクレームなどの報告については、特に上司に早く報告し判断を仰いだ上で対応をしていかなければならない。その際には絶対に事実を隠さないことが重要だ。トラブルやクレームをしたことより、虚偽の報告をしたことの方が後々になって悪い影響を及ぼすことがほとんどだ。報告が遅くなると、今後の対応として選べる選択肢が減る可能性も高いため、早急に報告しよう。
連絡する際のポイントは以下の通りだ。
ただ情報を共有するだけではなく「何のために連絡をするのか」という目的を明確することが重要だ。
例えば、業務に関わるシステムが来週火曜日の12~13時だけメンテナンスのため利用ができなくなることを伝える場合、目的は「該当時間にシステムが使えないことを理解してもらい、必要な対応は前倒しか後にまわしてもらうよう、各自がスケジューリングすること」だ。ここが明確になることで、どのような方法・タイミング・頻度で連絡すればよいかが自ずとわかってくる。
漏れなく必要な人たちに連絡するのも大切だと言える。漏れがあると、連絡しても効果を発揮しづらくなるからだ。例えば、10人に伝えた方がいい内容を3人にしか伝えなかった場合、残り7人には情報が行きわたらない。そのため、関係者全員に情報が行きわたるまでに時間がかかってしまう。
無駄な作業時間をつくらないためにも、漏れなく必要な人たちに連絡すべきだ。なお、関係者に漏れなく連絡するには以下のことを心掛けると良い。
連絡手段を使い分ける理由は、相手に迷惑をかけないためだ。電話で連絡した方が相手にとって好都合の場合もあれば、メールやチャットで十分な場合もあるだろう。こちらからの連絡によって、相手の仕事が止まってしまい、迷惑をかける場合もある。したがって連絡の内容や緊急度、相手の状況によって連絡手段を使い分けることが大事だ。
社内・社外いずれに連絡するかにより、押さえるポイントは異なってくる。以下のようにポイントを押さえた連絡になっているか各自がチェックできることが良いだろう。
社内向けの連絡 | 社外向けの連絡 |
---|---|
スピード重視 | 丁寧さ重視 |
正確性論点を絞る | 繰り返し丁寧に伝える |
例えば、社内のエレベーターが一時止まったことをフロアにいる数人に伝えるだけでよければ、とりあえず数人に口頭で伝え、外出から帰ってくる方にメールで簡単に連絡するだけで済む。
一方で同じ連絡でも、17時からの打ち合わせにいらっしゃる取引先の方に対しては、事情をメールで丁寧に伝えた上で打ち合わせ場所の変更(貸し会議室を他に取るなど)もしくは他エレベーターに案内するため、時間に玄関に案内の社員がお待ちしていることを伝えるなどの対応が必要となる。
相手が社内の方なのか、社外の方なのかについても考えて適切な連絡を取っていきたい。
報告と連絡について紹介した。報連相の中に両方とも含まれているが、重要度が高いのは「報告」の方だ。なぜなら報告をしなかった場合、会社に損失を与えてしまう恐れがあるからだ。報告を受けなかったことで上司や会社が判断を誤って、会社の業績が悪くなってしまう場合がある。そのため、連絡よりも報告の方が重要だと言えるだろう。
本記事内でのポイントを抑えておけば、誰もが報告や連絡を使い分けながらアクションを取れるはずだ。
なお、新人研修・入社前研修、新入社員ホウレンソウ研修などを実施することで、来年度入社の新入社員に対して事前に報連相スキルを強化しておくことも可能だ。社内のコミュニケーションを円滑に進めるためにも、会社として力を入れていただきたい。