ビジネスの場では、明確かつ効果的に自分の考えを伝えることが極めて重要である。そこで登場するのが「PREP(プレップ)法」だ。PREP法とは、一貫したメッセージを伝える際のシンプルながらも強力なフレームワークとなる。
本記事では、PREP法とは何かという基本部分からビジネスシーンでの活用方法まで確認していく。伝え方について悩みを抱えている方はぜひ確認してほしい。
まずは、PREP法の基礎部分から解説していこう。
PREP法は、伝えたいメッセージをクリアにし、受け手に説得力のある内容を伝えるための手法だ。ビジネスシーンはもちろん、日常のコミュニケーションでも利用されるこの手法は、Point(ポイント)、Reason(理由)、Example(例)、そして再びPoint(ポイント)の頭文字から名付けられている。
PREP法の魅力は、そのシンプルさと具体性にある。
伝えたい主要なメッセージや意見を端的に表現する。
明確かつ簡潔に。長くならないよう心掛ける。
主張や意見に対する根拠や背景を示す。
論理的かつ具体的に。感情ではなく、事実やデータに基づく理由を提示する。
理由を支える具体的な事例やデータを紹介する。
実際に起きた事例や信頼性のあるデータを用いる。
最初に提示したメッセージを再強調し、全体のまとめとする。
言いたいことの核心を再度強調することで、聞き手の印象に残す。
Point: 健康的な生活は大切です。
Reason: 体調管理の基本だからです。
Example: 毎日の適度な運動が良いです。
Point: 健康第一で生活しましょう。
Point: 読書は人生を豊かにします。
Reason: 知識と教養が深まるからです。
Example: 様々なジャンルの本を読むと良いです。
Point: 読書の習慣を身につけましょう。
Point: 顧客満足度向上は必須です。
Reason: 企業成長の鍵だからです。
Example: サポート体制の強化が効果的です。
Point: 顧客対応を最優先しましょう。
Point: データ分析は戦略策定に欠かせません。
Reason: 市場の動向を的確に把握するためです。
Example: 前年同期比の分析が役立つケースが多いです。
Point: 情報の活用で先手を打ちましょう。
このPREP法をうまく活用することで、聞き手の理解を深めるだけでなく、自らの意見や提案に説得力を持たせることができるのだ。
話が分かりづらい人や話が長い人は、聞き手が理解できないだけではなく聴く意欲を削いでしまう可能性がある。こちらのコラムも参考までに読んでみてほしい。→話が長い人は、なぜイライラされるのか?【その理由と改善方法】
この章では、シチュエーション別に敢えて分かりづらい例文を用意し、PREP法を用いて改善をしてみる。
「日程調整についてのリクエストを検討しているのですが、何らかの可能性がございますでしょうか。
このような状況は、いくつかの未解決の点が影響しております。
そのため、実際の進捗は現在確認できる状態にはないのですが、それに基づいて何らかのアクションを取ることが求められているのです。
具体的な時間や日にちについては特に制約はございませんが、これについてのご意見やフィードバックをいただけると感謝いたします。」
ビフォーの文章は、丁寧さは伝わりますが、何が言いたいのかとても分かりづらくまわりくどい印象です。
【P】近々、打ち合わせをさせていただけませんでしょうか。
【R】いくつか疑問点があり、進行が滞っているためです。
【E】火曜日~木曜日でしたら何時でも構いません。
【P】恐縮ですが、打ち合わせ日程についてご確認いただけますと幸いです。
打ち合わせがしたいという用件が伝わりやすくなり、また開催できる日程の例も添えたことで、相手にとって返事がしやすくなりました。
「先日、新しいツールに関する情報を受け取りました。
ちなみに、そのツールは結局今のところ導入していないのですが、ある意味、今回の件と関連している部分もあるかと思います。
進捗の話に移る前に、先月のミーティングで提案されたあのアイディア、もしかして今回のプロジェクトにも影響しているのでしょうか?
あ、でもそれはさておき、今回の主なお知らせ内容ですが、予定していたプロジェクトの進捗が、何となく、少し遅れているかもしれません。
要因はいくつか考えられますが、その中でも、前に話していたリソースの問題も関与しているかと思います。
要するに、進捗が遅れている状態です。もし何か助けが必要であれば、お知らせいただけると幸いです。」
ビフォーの文章は話の順序も整理されておらず、まわりくどくて、進捗が遅れているという事実すら伝わらない可能性があります。
【P】現在のプロジェクトの進捗が予定より遅れています。
【R】主な原因としては、必要なリソースの問題や新しいツールの導入が挙げられます。
【E】具体的には、前回のミーティングで議論されたリソースの不足が実際に影響を及ぼしています。また、新しいツールの導入に関する判断も時間を要しており、これが遅延の一因となっています。
【P】進捗の遅れについてご了承いただき、追加のサポートや提案があればお知らせください。
アフターでは、まずプロジェクトが遅れているという自体を把握できたうえで、その原因が分かりやすく理解できます。
「先日、マーケティングのデータを確認していて気付いた点がいくつかあります。
昨年のキャンペーンの成果を見ても、市場の動向が急速に変化していることが分かります。
さて、それに関連して、ちょっとした提案があるのですが、それ以前に競合の動きについても触れておきたいと思います。
実際、競合の広告戦略を見ると、彼らは予算を大幅に上げているように見受けられます。
この点を踏まえると、当社もそれに応じて予算を見直すべきかと考えております。
そして、それに伴う提案なのですが、具体的には広告費の予算を上げることを検討していただければと思います。
市場の変動や最近のデータを基に、このような提案をさせていただきました。
予算の増額について、ぜひご検討いただけると幸いです。」
ビフォーの文章は、読むことすらしんどくて、せっかく良い提案だったとしても、通らない可能性があります。
【P】広告費の予算を上げることを検討してください。
【R】競合他社が予算を増やしていることで、市場環境が変化しており、より効果的な広告展開には増額が必要と考えます。
【E】例えば、競合他社の広告プロモーションがより多様化し、ターゲット層により強く訴求している傾向が見られます。
【P】増額により、より魅力的な広告展開が可能となり、市場での競争力を高めることができるでしょう。広告費の増額について、ご検討いただけると幸いです。
アフターの文章では、予算を上げるべき理由や競合他社の状況が端的に理解できます。
「さて、最近のプロジェクトの進行状況を見ていると、ちょっと気になる点があるんですよね。
その前に、先週の会議で、ちょっとした提案がありましたよね。
でも、それはさておき、プロジェクトの進捗に関してなんですが、会議の頻度が多いことが課題かな、と感じています。
何回も会議を重ねていると、ちょっとした時間がどんどん削られちゃうんですよね。
あ、でも、これは私個人の感想で、何となく、そう思っただけなので、それが普遍的な問題なのかは、わかんないんですけど。
もしその辺の意見を聞きたいなら、一度みんなで話し合うことも考えられるかもしれませんね。
でも、それはあくまで提案だし、何も変わらなくても全然構わないです。
というわけで、会議の頻度について、何か対応策や意見があれば、ぜひお聞かせいただけると嬉しいです。」
ビフォーの文章は、少し苛立ちさえ感じる可能性があります。上司が忙しい場合に、後回しにされるかもしれません。
【P】会議の頻度を減らすことを検討したいと思っています。
【R】会議が多いことで、プロジェクトへの集中力が削がれる可能性があると感じています。また、メンバーの負担も考慮して、より効率的な進行方法を模索したいと考えています。
【E】最近、類似のプロジェクトでは会議を減らすことで、タスクの処理時間が短縮された事例もあります。このような例を参考にしつつ、当プロジェクトにも会議頻度を見直すことでプラスの影響があるかもしれません。
【P】会議の頻度について、皆さんの意見や提案をお聞かせいただけると助かります。
アフターの文章では、理由だけではなく改善された事例も含まれており説得力があります。
PREP法は「Point(要点)」を最初に示すことから始まる。これにより、相手に伝えたい重要なポイントが明確になります。何を伝えたいのかがはっきりするため、相手もより理解しやすくなるであろう。
PREP法では「Reason(理由)」を提示し、その後に「Example(具体例)」を挙げるのだ。この順序により、論理的な展開が可能だ。事実・データに基づく理由と具体例を示すことで、自分の主張をより説得力のあるものにすることができるであろう。
PREP法はシンプルで明快なフレームワークであるが、具体例を挙げることで、相手に対して適切な説明ができるのだ。相手の理解度や知識レベルに合わせて、詳細を省いたり補足したりすることが可能であろう。
PREP法は簡潔さを重視しており、冗長な表現を避けることで、複雑な情報を簡潔に伝える力を養うのである。これにより、効率的なコミュニケーションが可能であろう。
PREP法は、情報共有、提案、報告などの目的に応じて使い分けることができるのである。メッセージのタイプによって、PREP法のフレームワークを適切に応用することで、相手に伝わりやすいコミュニケーションが実現できるであろう。
PREP法によって、自分の主張を論理的に伝えることができるだけでなく、相手との合意形成を促進することができるのだろう。理由と具体例を提示することで、相手に納得してもらいやすくなるであろう。
PREP法は、シンプルかつ効果的なコミュニケーション手法として、ビジネスシーンで広く活用されているのである。自分のメッセージを明確に伝え、相手との理解を深めるために、PREP法をマスターすることは重要なスキルであるだろう。
このコラムを書いている株式会社リスキルでは、伝え方研修を提供している。PREP法を用いた話の組み立て方を理解し、ワークを通して実践的に身につけることができるだろう。
本コラムで取り上げたPREP法は、明確で効果的なコミュニケーションを行うための手法である。主張や考えを相手に理解してもらう際、この方法を使用することで、伝えたいことが簡潔かつ論理的に整理され、受け手にとっても取り組みやすくなる。
具体的には、以下のポイントが挙げられるだろう。
・伝えたいポイントが明確になる。
・理由や根拠を踏まえた説明が可能となる。
・具体例を交えて、更に説得力を増すことができる。
・最後に再度主要なポイントを確認し、強調することができる。
ビジネスシーンだけでなく、日常のさまざまな場面でのコミュニケーションにも役立つこのPREP法。効果的なコミュニケーションを目指すすべての人に、ぜひ取り入れていただきたいと思う。