近年で注目されている「well-being(ウェルビーイング)」とはどのような働き方をする意味かご存じだろうか?「ワークエンゲージメント」、「マインドフルネス」など心や気持ちに関するキーワードをビジネスの中でも良く目にするようになってきた昨今、「ウェルビーイング」という言葉とそれに対する取り組みが注目を集めている。
今回は企業におけるwell beingの有効性を見ながら、自社の社員はwell beingな状態で働けているかどうか、再確認してもらいたい。
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「well-being(ウェルビーイング)」とは、身体的・精神的・社会的に満たされた状態のことをいう。もちろん一般生活でもいえることではあるが会社として今、ウェルビーイングの働き方が着目されている。
従業員のウェルビーイングを支援することは、会社としては当然のことといえる。楽しくいきいきと、やりがいを感じて働ける状態を作り出さなければ、生産性も低下するし何より会社として毎日長い時間過ごすに堪えられないことになるだろう。
企業には今ウェルビーイングが重要とされている。なぜなら、 業務だけの問題ではなく、直接的な生産性の問題だけでなく、やる気がない、人間関係もうまくいかないなどとなれば離職率が上がってしまうからだ。今では多くの企業でこのウェルビーイングを用いて企業の目標を達成するための手段として用いられている。
労働力人口は、減少の一途をたどっている。さらに労働力率は50%ほどまで低下するといわれており労働力率をアップさせる必要がある。企業で行う場合は他社との差別化が必要となり、ウェルビーイングが充実した企業は離職率も低くなり、よい企業としてよい人材が残りやすくなるだろう。つまり他社との差別化を図るにはこの制度が充実していなければならない。
グローバル化や多様なワークスタイルが求められている働き方ではそれぞれの能力をフルに発揮させ、コミュニケーションをとりながら業務を円滑に進める必要がある。そのため、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方ができるように改革しなければならない。
社員の満足度アップによる業績向上はウェルビーイングの代表的なメリットだ。心地よい会社、福利厚生や休みもきちんととれる会社など社員を大事にする環境を整えれば必然的にウェルビーイングのモチベーションはUPするだろう。
ウェルビーイングは5つの要素から成り立っているとされる。そのそれぞれの要素を見ていこう。
Career Wellbeing(キャリア ウェルビーイング)とはキャリアの幸福を意味する。しかしこれは、仕事におけるキャリアだけではなく自分の人生におけるキャリアもあらわす。すなわち、子育て・家事・趣味などのキャリアを含むもので幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされたことをいう。
仕事や私生活でのキャリア構築はワークライフバランスをうまく保つことにもなる。
Social Wellbeing(ソーシャル ウェルビーイング)は人間関係において、どれだけ幸福をもたらすかということだ。人間関係に対する幸福は信頼でき、心からつながりがある人間関係があるかどうか大事になってくる。ビジネスの面から見ると、上司や部下、同僚などを含む。
Financial Wellbeing(ファイナンシャル ウェルビーイング)はその名の通り経済的な幸せをいう。報酬か、自分の資産かを指すが、それ以外でも経済的な幸福に納得しているのかということもかかわってくる。
Physical Wellbeing(フィジカル ウェルビーイング)は身体的な幸福を表す。体だけでなく、心も健康でなければならない。日々の生活や仕事においてポジティブに働けるかどうかにもかかっている。メンタルヘルスなどもこの中に含まれている。身体的に健康で、思ったように行動できるかどうかが仕事に対するモチベーションも表れてくるだろう。
Community Wellbeing(コミュニティ ウェルビーイング)は身近な関係性や、企業コミュニティを指している。自分の周りにあるコミュニティは家族、親戚、友達、職場などがあるはずだ。ビジネスを考えれば、あらゆるコミュニティが会社内外に存在するため大事な要素といえる。
ウェルビーイング向上は、組織の生産性や貢献度アップにもつながっている。そこで、ウェルビーイング、「心理的安全性」を取り入れるためのポイントを見ていこう。
導入するために社内のコミュニケーションを改善する必要がある。例えば、オフィス環境に関するアンケートをとって社員の望むオフィス環境を提供するようにするなど、現場の声を聴きながらコミュニケーションを企業と取っていくことが大切だ。
現場の声に合わせて、臨機応変に環境の改善に対応していけば自然と社員同士もコミュニケーションをとるようになってくるだろう。
ウェルビーイングついて企業でできる満足度アップは福利厚生などにもある。福利厚生制度の導入など、単なる制度の導入では効果は期待できない。社員の声に沿った各企業にあった要素を福利厚生に取り入れることだ。従業員の家族にも喜んでもらえる、優待がある、リフレッシュのための負担があるなど人気度を調べた福利厚生を準備するとよい。
オフィスは「目的をもって訪れる場所」だ。集中できるブースやフレックスを活用するなど会社にいても苦痛に感じない環境や条件、オフィスレイアウトをすべきだろう。評判の良い企業のリサーチをして情報を得るのも一つの手といえる。
思い切って評価方法の改善を変えるのもウェルビーイングにつながる。例えば上司だけでなく部下から上司を評価できる制度にするとか、一人の評価だけで終えるのではなくそれ以外の人事評価を調整することも大事だ。
すでにウェルビーイングを実践し、従業員や組織全体に好影響をもたらしている企業の取り組み事例を下記に紹介しよう。
「味の素グループ健康宣言」と宣言して社員の心と身体の健康維持や推進ができる職場環境づくりを実施している。具体的には、全員面談を実施し、最低でも年1回は、産業医・保健スタッフとの面談を行っているという。
健康状態の可視化やメンタルヘルス回復プログラムを行うことで、メンタルヘルス面が充実し、従業員の健康管理を経営的な視点で考えることで社員も元気に勤務し続けることができている。
健康面に配慮したウェルビーイングを実施している。創業当時からある「健康第一主義」として病気などにより仕事効率低下を防ぐために、睡眠改善施策などの配慮も取り入れているという。
心身の健康を維持するための空間を意識したオフィス作りを心掛けている。「健康経営宣言」を制定し、禁煙、運動、メンタルヘルス、食事などさまざまな項目で社員の健康維持を目的とする取り組みを行っている。
ウェルビーイングを導入する企業は増加中だ。ウェルビーイング向上への取組みを検討されている企業は、ヒアリングや他社の情報をきちんと調べつつ、業務効率や離職率を下げるような効果的な「社員の幸せ度UP」に取り組んで行ってほしい。
「well-being(ウェルビーイング)」とは、身体的・精神的・社会的に満たされた状態のことをいうため、会社として今、ウェルビーイングの中で働いてもらうにはどうしたらいいかということが問われている。
従業員のウェルビーイングを支援することで会社としての価値を上げていく必要があるということは、日本全体の底上げに欠かせない要素だといえる。企業のみではなく、教育機関や個人生活でも実践されており認知度が高まっている。「働き方改革」を言葉だけで終わらせないように具体的な取り組みが必要だ。
※参考:ウェルビーイングとは?福祉や教育、経営での意味や使い方を簡単に解説
なお、健康経営研修などを社員全員で受けることでも、ウェルビーイングや健康に対する意識付けが可能だ。ぜひ検討してほしい。