リスキルラボ 【教育担当者向け】OJT教育の概要・成功のポイントを解説

OJT研修
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人材の流動性が高まる中で、新入社員の立ち上がり支援に寄与するOJT教育の重要性が増している。OJT教育に力を入れている企業も増えているが、一番良く聞く相談内容は「効果的なOJT教育を実践したいものの、何をすべきか分からない」というものだ。

OJT教育によって、短期での戦力化が実現できると会社組織が強くなる。一方でOJT教育に失敗してしまうと、早期離職のリスクなど企業を弱体化させることになる。

本記事ではOJT教育の概要や目的を紹介しながら、実施のメリットや実践するときのポイントなどを解説する。

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OJT教育の概要・意味

OJT教育とは、新入社員に社内での実務を通じて、業務で必要な知識やノウハウを習得させていく教育のことだ。

社内の上司や先輩がトレーナー(教育担当)になる場合が多い。新入社員と上司をペアにしてOJT教育を行う場合もあれば、新入社員に対して複数のトレーナーが就く場合もある。

ちなみにOJT教育の期間は短くて3カ月程度、長くて1年程度となっている。

OJT教育と「背中を見て学べ」の違い

OJT教育は、ただ現場に入って上司の動きを見ながら「背中を見て学べ」という手法とは違う。最大の違いは、新入社員へ対するフィードバックの量だ。

OJT教育では、業務において意識すべきことや間違っている箇所、修正の仕方などをトレーナーが説明してくれる。新入社員は、その説明を聞きながらスキルを磨ける。

一方、「背中を見て学べ」は、トレーナーの仕事姿を見ながら自分でスキルを習得する方法だ。間違った箇所を注意されることはあるものの、トレーナーから丁寧なフィードバックを得られないことが多い。

よってOJT教育と「背中を見て学べ」は、似て非なる教育方法と言える。

OJT教育の目的

ここでは、OJT教育の目的を見てみよう。

【教育担当者向け】OJTの目的を紹介!達成させるために必要な10個のポイントも解説!
においても目的や重要な点を紹介している。

短期間での戦力化

効果的なOJT教育は、新入社員を迅速に戦力化するのに大いに役立つ。

戦力化した社員を増やせば、その部署の業務はスムーズになるため会社側が求めている結果を出しやすくなる。

事業拡大を目指している企業は総じて社員採用に力を入れるものだ。
その中で、戦力化までの育成期間を短縮できれば、それだけ早く事業目標の達成が実現できる。会社が掲げている目標を達成するためにも、新入社員を迅速に戦力化していくことは大事だ。

現場に入れて、教育なし、とはならない

現場へ入れっ放しにして、トレーナーが教育しない状況を防ぐ目的もある。

OJT教育は教育担当のトレーナーだけに任せる必要はない。別の部署の先輩や人事部など、現場で直接的に関与していない社員を巻き込むのも効果的だ。

様々な従業員がOJT教育に関われば、ある程度の監視体制が出来上がり、トレーナーがより気を配ることにも繋がる。

初期離職率の低下

入社から間もない社員の、離職率を低下させる効果も期待できる。
OJT教育を行えば新入社員が、以下のようにポジティブな気持ちを持ってくれる効果が期待できる。

  • 社員のことを大事にしてくれる企業だという意識を持つ
  • OJT教育のトレーナーが親身になってくれるから、今後もこの企業で頑張りたいと思う
  • 必要なスキルを効率的に習得できるから、引き続き現在の会社で働く

OJT教育がきっかけとなり新入社員が企業に対して前向きな気持ちを持てば、離職率の低下につながる。よって人材の流出を防ぎたい企業にもピッタリだ。

教育プロセスの具体化ができる(仕組み化)

一度OJT教育を行ってしまえば、その教育プロセスを別の機会にも転用できる。つまり、教育プロセスの具体化(仕組み化)が可能だ。

仕組みを作れば、仮にそのトレーナーがいなくても他の従業員がOJT教育をするときに活用できる。様々な従業員に、同様のOJT教育をしてもらいたいときに便利だ。

OFF-JT教育との違い

OJT教育はOFF-JT教育とは異なる。ここでは、それぞれの意味の違いを見てみよう。

OFF-JT教育

OFF-JT教育とは、職場とは違う場所で実施される研修のことだ。たとえば、このような研修がある。

  • ビジネスマナー研修
  • 資格取得のための研修
  • 外部が主催するセミナー

実務を通じて行わないので、OJT教育とは異なる。

OJTとOFFJTの違い

OJT教育のメリット

ここではOJT教育のメリットを5つ紹介する。

座学では習得できないノウハウを伝えられる

実践でしか習得できないノウハウを身につけさせたいときに、OJT教育が役立つ。たとえば、このようなノウハウだ。

  • 手作業を伴うもの(製品の製造、調理など)
  • 現場での接客手法
  • コールセンターでの架電の仕方

これらの内容は座学のみで習得することが難しいため、OJT教育を導入するのが自然な流れだ。体に染み込ませていくスキルは、OJT教育を導入することで浸透率が高まる。

従業員の性格や特性によって教育方法を変えられる

OJT教育は、教科書のように教える内容が100%決まっているわけではない。従業員の性格や特性によって教育方法を変えられる。

たとえば「Aさんはメンタルが強そうだから、成果に繋がる直球のフィードバックを増やす」、「Bさんは周囲のスピード感に対応するのが苦手そうだから、マイペースにさせてあげる」というように、各従業員に応じてカスタマイズできる。

各従業員によって、個別対応ができることもOJT教育のメリットだ。

会社のブランドアップが期待できる

OJT教育を自社で行っていることをアピールすれば、会社のブランドアップが期待できる。会社の評判が良くなれば、求職者からの問い合わせが増えたり会社の業績アップにつながったりする。よって優秀な人材を集めたい会社にとってメリットがある。

コストを抑えられる

業務を通じて教育するため、新たに発生するコストは社外での研修と比べて少ない。しかも自社で行えば出張してくる従業員がいない限りは、ホテル代や交通費も不要だ。

さらに社員がトレーナーとして教えるため、外部から人材を呼び寄せる必要もない。コストを抑えられるだけではなく、準備に手間をかけなくていいのもOJT教育の強みだと言えるだろう。

コミュニケーションの活性化につながる

OJT教育では新入社員が質問をしたり、上司と一緒に会話をしたりする機会がある。そのためコミュニケーションの活性化を期待している企業におすすめだ。

活性化すれば以下の効果が期待できる。

  • 職場の雰囲気が明るくなる
  • 業務を円滑に進められる
  • 従業員同士の意見交換が活発的になる

OJT教育でコミュニケーションの活性化を起こしていけば、職場全体にメリットがある。

OJT教育を成功させるポイント

ここでは、OJT教育を成功させるポイントについて紹介する。

OFF-JT教育と組み合わせながら行う

OJT教育で身につけられるスキルの中には、OFF-JT教育で事前に土台作りをしておかなければ習得するのが難しい場合がある。

建物の図面を描く建築設計士を例に考えてみよう。

たとえばOJT教育で図面を描く練習をしただけでは、精度の高い図面は完成しない。
基礎の部分を勉強していないからだ。

図面を描くにあたって必要な基礎知識をOFF-JT教育で身につけて、初めてOJT教育で習ったことが活きる。

「実践+座学」をセットで取り組むことが、OJT教育を成功させるポイントになるため覚えておこう。

自主的に動いてもらえるよう教育する

自ら仕事に取り組む人材を育成したいのであれば、自主的に動いてもらうための教育をしよう。

しかし、従業員へ対して自主的に取り組むよう指示を出したところで全員がその通りに動くのは難しい。

したがって、トレーナーなどOJT教育を運用している方がサポートすることが大事だ。

たとえば、以下のことを意識するといいだろう。

考える時間を与える

トレーナーが全ての答えを教えるのではなく、新入社員に考える時間を与えよう。そうすれば、新入社員が自発的に考えられるようになるので、自主的な人材を育成したいときに役立つだろう。

長所を伸ばす

長所を伸ばすと、気持ちが高まり自主的に行動できるきっかけになる。

たとえば新入社員へ注意したり否定的なことを言ったりすることが多いと、自信を失くしてしまい自主的に行動できなくなる恐れがある。

それを防ぐには、トレーナーに過度なネガティブ発言を控えさせることが大事だ。

ただし褒めるだけだと、褒められた理由が分からず新入社員の心に響かない場合があるため、褒めた理由をセットで伝えるのも覚えておこう。

OJT担当者向け研修を導入する

冒頭でも触れたが、現場の悩みとして最も多いのが「効果的なOJT教育を実践したいものの、何をすべきか分からない」というものだ。こういった悩みを解決するために、OJT研修を実施することが効果的だ。

コーチングに特化したカリキュラム内容など、様々な研修テーマがあるので現状の課題感に応じて選んでいただくことをお勧めする。OJT教育をより効果的に運用したい企業は、導入してみてはいかがだろうか。

リスキルではOJT担当者の役割から実際の指示の仕方、声掛けの仕方などを習得できる研修を用意している。

OJT教育の注意点

OJT教育を実施するときは注意点がある。最後に注意点を3つ紹介する。

仕事の知識を習得している方をトレーナーにする

人材を成長させたいのであれば、仕事の知識を習得しているトレーナーに教育させよう。知識のないトレーナーが新入社員へ教えても、新入社員にスキルは身につかない。

新入社員には正しくスキルを身につけてもらい、一日でも早く戦力になってもらう必要がある。それを実現させるには、ある程度の知識を持っているトレーナーに任せることが大事だ。

OJT教育のための時間を確保する

仕事が忙しいトレーナーだと、OJT教育に充分な時間を割けない場合がある。仮にOJT教育の時間がとれないトレーナーと組むと、教育してもらえる時間が少なくなるので、成長スピードが遅くなる。

その状況を防ぐためにも、事前にOJT教育に携わるトレーナーの時間を確保することは大事だ。

厳しすぎる教育をしない

厳しすぎる教育をすると新入社員が疲弊してしまったり、パワハラとして訴えられたりする恐れがある。OJT教育に限ったことではないが、以下の内容は厳しすぎる教育に該当する。

  • 指導の一環という名目で過度の罵倒を続ける
  • 新入社員の人格を否定するような発言をする
  • 会社の権限を悪用し、新入社員に恐怖を植え付ける

トレーナーだけではなく、会社のブランドダウンに直結する恐れもあるため気を付けよう。

まとめ

実務を通じて、新入社員に仕事で役立つスキルを身につけてもらうための教育方法がOJT教育だ。OJT教育のメリットは以下の通りだ。

  • 座学では習得できないノウハウを伝えられる
  • 従業員の性格や特性によって教育方法を変えられる
  • 会社のブランドアップが期待できる
  • コストを抑えられる
  • コミュニケーションの活性化につながる

新入社員に対してOJT教育を実践すれば、新入社員だけではなく社内の業務効率化など企業全体にとってもメリットがある。

OJT教育を成功させるポイントは以下の通りだ。

  • OFF-JT教育と組み合わせながら行う
  • 自主的に動いてもらえるよう教育する
  • OJT担当者向け研修を導入する

OJT教育を開始した当初は、効果を感じられないと思う方もいる。しかし継続的にアプローチを続けることで、必ずや成功までの道のりが見えてくるだろう。

今回紹介した内容を参考にしながら、社内のOJT教育に活かして欲しい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • OJT教育とは実務を通じて、仕事上で役立つスキルを習得させるための教育方法です。従業員がトレーナーとなり、新入社員に対して教育する仕組みとなります。
  • OJT教育は基本的に職場で行われますが、OFF-JT教育は職場以外の場所で行います。OFF-JT教育の事例としては、外部研修やセミナーなどが該当します。
  • OFF-JT教育と併用して、座学を実施しながら実践のスキルを高めていくことが大切です。長所を伸ばしたり細かいフィードバックを行うことで、自発的に動ける人材の育成が可能となります。
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