従業員たちをスキルアップさせたいのに、一向に成長しないと悩んでいるケースもあるだろう。もしかすると従業員が、コンフォートゾーンにい続けていることが原因かもしれない。これを打破するには、コンフォートゾーンから脱出させる必要がある。
多くの従業員がコンフォートゾーン内でアクションをとっていると、会社の力も落ちていく。本記事ではコンフォートゾーンの概要を紹介しつつ、抜け出すポイントを解説する。
目次
コンフォートゾーンとは、快適な空間であることを表す言葉だ。コンフォートゾーンの中にいると居心地は良いが、その反面スキルを習得しながら成長するのは難しい。なぜなら居心地が良すぎるあまり、別のステージに行こうとしないからだ。
従業員を成長させるには、コンフォートゾーンの外へ出ることが重要となる。そのため従業員をコンフォートゾーンから抜けさせる方法を考えて、会社としてサポートする必要が大事だと言えるだろう。
ここからは、どのような場面がコンフォートゾーンにいる状態だと言えるか具体例を挙げていく。
親しい友人とばかり毎日行動している行為は、言い換えれば他の人と行動していないということだ。親しい友人と一緒にいる時間が快適だと感じているため、他の人とつるもうとしない。したがって、コンフォートゾーンにいる環境だと言える。
慣れた業務ばかりするのは、ある程度のコツをつかんでおり失敗するリスクが低いからだ。業務の感覚をつかんでいるため、従業員にとって居心地の良い環境になっている。したがって、コンフォートゾーンにいる場面だと言える。
楽しいことしかしないのも、コンフォートゾーンにいる例の一種だ。自分にとって楽しくないことはトライしようとしない。苦しい想いをしてまで、取り組みたくないと考える人に多い例だと言えるだろう。
コンフォートゾーンの外側には、ストレッチゾーン(ラーニングゾーン)とパニックゾーンが存在している。ストレッチゾーンとは、コンフォートゾーンから一歩外に出た空間を指す。自分にとって未知の世界であることが多く、違和感も出てくるだろう。
またパニックゾーンはストレッチゾーンから、さらに一歩外に出た場所のことを指す。スキルが通用せず、自分でコントロールすることができない場面が増える。そのため、パニックに陥るケースも珍しくない。
ストレッチゾーンについては以下のリンクに詳しい内容を載せている。
ストレッチゾーン(ラーニングゾーン)とは?従業員を成長させる4つのポイントを解説【戦力アップを目指す】
ここからはコンフォートゾーンにいるデメリットを紹介していく。
自分にとって居心地が良いと感じることばかり行う。今までと違うアクションをとろうとしなくなるため、行動パターンが固まる。
行動パターンが固まると、新しいアイデアが生まれなくなったり、今までとは違うアクションをとったりする場面が減っていく。そのため変化に対応できず、時代の波に飲み込まれることになってしまう。
自分にとって快適なことしかしないため、守りの姿勢に入ってしまう。守りの姿勢に入ると枠の中でしか物事を考えなくなったり、自分をさらに成長させたりする気力がなくなる。
現状維持を好む性格となり、スキルアップや成長に対して興味・関心が消えてしまう。結果、社内で勉強会を開催しても芳しい成果が出なくなる。
コンフォートゾーンにいると、居心地の良さばかり求めて新たなことに取り組もうとしないため成長しなくなる。
今の業務が出来たら良いという発想になり、それ以上のものを自分で得ようとしない。結果いつまで経っても、同じことしかできない従業員になってしまう。
ここからは、コンフォートゾーンから抜け出す方法を紹介していく。
目標を設定しゴールに向かってアクションをとらせる理由は、目標達成に向かって攻めの体制を忘れさせないためだ。
攻めの体制があれば、コンフォートゾーンから抜け出して自分を成長させようとする気持ちが生まれる。結果、現状に満足できなくなり、自発的にスキルアップしようとする人材に育っていく。
なお、ゴールに向かってアクションをとらせる際は以下のことを意識させると良い。
従業員に目標を考えさせる理由は、設定した目標に対して自発的に動いてもらうためだ。仮に上司が全て目標を決めると、やらされ感によって義務感が生まれてしまう。その結果、指示がないと動かなくなる。
しかし目標を考えさせれば「自分で設定した目標だから何とかせねば」という気持ちが生まれて、責任感が芽生えていく。結果、ゴールに向かうエネルギーを生み出し、目標に向かって突っ走れる人材になる。
自分事として捉えさせる理由は、意欲的に目標達成まで動いてもらうためだ。他人事として捉えられたときと比べて必死に動く。結果、ゴールまでアクションを起こす体制ができてくる。
従業員に丸投げするだけで、目標を達成させるのは厳しい。なぜなら孤独感によって、本来のパフォーマンスを発揮できない恐れがあるからだ。
その状態を防ぐ意味でも、チームで従業員のモチベーションを維持できる雰囲気をつくるのは大切だと言える。
たとえば他のメンバーが励ましたり、アドバイスしたりすれば従業員のやる気が出て、パフォーマンスを発揮しやすくなる。そのため、目標達成までの道を歩みやすくなるだろう。
常に新しい目標を立てさせると、必然的に今までとは違う行動をとる機会が増えていく。新たなゴールが常に設定され続ける状態ができるため、コンフォートゾーンから抜けやすくなる。なお新しい目標を立てさせる際は、以下のことを意識させると良い。
従業員の価値観・能力を把握してから目標を設定する理由は、その従業員にとって最適な目標を設定するためだ。仮に目標が簡単だったり難しすぎたりすると、従業員のモチベーションは上がらない。その結果、ゴールに向かってアクションをとらなくなる。
しかし価値観・能力を把握しておけば、従業員にとってちょうど良い目標を設定できる。そのため、目標設定によって従業員のモチベーションを削ぐリスクを小さくできるはずだ。
理想とするキャリアをもとに目標を決める理由は、新しい目標を立てることで自分の理想とするキャリアから遠ざけない状況をつくるためだ。キャリアと関係ない目標を立てたがために、無駄な時間を過ごしてしまう恐れがある。
時間は有限であるため、極力理想とするキャリアを実現できる環境に持っていった方がいい。したがって、理想とするキャリアを実現するための目標か確認させた方がいいだろう。
チャレンジしている人と行動すると、自分も刺激されて新しいことにトライしようとする気持ちが生まれる。結果、コンフォートゾーンから抜けるきっかけになっていく。チャレンジしている人と一緒に行動させるときは、以下のことを意識すると良い。
ポジティブな人と関わらせる理由は、前向きな気持ちを持ってもらうためだ。ネガティブな言葉が多い人と一緒に行動させると「自分には無理」「現状維持の方がいい」と、ネガティブな気持ちを生み出す原因になる。
しかしポジティブな人と行動させると「自分にもできそう」「今よりもいろいろなことにトライしたい」という気持ちが生まれ、積極性を伸ばすことにつながる。それがコンフォートゾーンから抜けるきっかけにもなるため、ポジティブな人と関わらせた方が良い。
結果を出している人と行動させる理由は、説得力を持たせるためだ。仮に結果を挙げていない人ばかりだと「チャレンジしても成功できない」という気持ちを持たれ、チャレンジ精神が生まれない。
しかし結果を出している人と行動させると、その人がロールモデルになるためチャレンジする人を増やすきっかけになる。
ただし大きい結果を出している人ばかりだと、自分から遠い存在の人に見える恐れがあるため、小さな結果を出している人とも行動させるべきだ。
小さな成功を積み重ねる機会が増えれば、現状に不満を感じて新しいことに挑戦したい気持ちが生まれやすくなる。それもコンフォートゾーンから抜けるための道筋につながる。小さな成功を積み重ねる機会を与える際は、以下のことを心掛けると良い。
従業員の能力を見極めて挑戦させる範囲を決める理由は、何でもかんでもトライさせればいいわけではないからだ。
仮に従業員が苦手なことを挑戦させて大失敗すると、他のメンバーに多大なる迷惑がかかるかもしれない。社内業務が止まる恐れすらある。
しかし従業員の能力を把握すれば、どこまでの業務なら成功できるか推測しやすい。会社を混乱させないためにも、従業員の能力を見極めるのは大事だ。
失敗を責めない環境があれば、従業員は恐怖を感じずにチャレンジできる。コンフォートゾーン外での場数を増やすと、自然と居心地の悪い場所を求めようとする方へ意識が向く。結果、コンフォートゾーンから抜け出すことになるだろう。
なお会社として失敗を責めない環境をつくる際は、以下のことを心掛けると良い。
普段から社内でハラスメントが起こっていると、従業員は失敗した際に責められると思ってしまう。結果、失敗するのが怖くなってコンフォートゾーンから抜け出せなくなる。その雰囲気を失くす意味で、ハラスメントの撲滅に力を入れた方がいい。
ハラスメントがなくなれば、会社のメンバーが温かい目で見てくれると思うようになり、取り組めるはずだ。
メンバー間でフォローし合う状態があれば、従業員間で励まし合う関係性が構築される。バックボーンによって心強さが生まれるため、失敗を恐れずチャレンジできる。普段からメンバー間の関係性を構築しておくことが大事になるだろう。
次のステップへ進むために、「今、自身に求められているスキルを磨く」研修を受けることも一つの方法だ。
階層別研修では、各階層(新人、若手、中堅社員など)に求められるスキルに合わせた研修が用意されている。本研修を作成したリスキルをはじめ、どの研修会社にも該当するものがあるため調べてみることも良いだろう。
コンフォートゾーンの中で動いてばかりいると、さまざまなデメリットがある。
コンフォートゾーン内で動いている従業員が多いと、新しいことに挑戦しない環境が生まれたり、従業員が育たなかったりする会社になる。そのため、従業員を成長させるには不向きな状況だと言えるだろう。成長させたいのであれば、ストレッチゾーンやパニックゾーンで行動させるべきだ。
しかしコンフォートゾーンから抜け出すように指示しても、自分のみの力で行わせるのは難しい。その際は、以下のポイントを抑えて抜け出す状態をつくるといいだろう。
これらを意識すれば、自然と従業員は成長できる環境委身を置くことになるだろう。会社全体を底上げするためにも、コンフォートゾーンから抜け出す状態をつくっていただきたい。