研修の方法には様々なパターンがある。しかしテーマは決まっているものの、どのような方法で研修を実施すべきか迷うケースもある。研修のテーマが良いものでも方法がマッチしないと、研修は失敗に終わってしまう。
そこで今回は代表的な研修の方法を紹介しながら、決めるときに必要となる3つのポイントを紹介する。
プログラムやカリキュラムの内容によって、適している研修の方法は異なる。研修の方法を間違えると、目的を達成するのが難しくなる。そのため、研修内容に合わせて方法を変える必要がある。
研修の方法は様々ある。ここでは研修で用いられる代表的な方法を4つ紹介する。
OJT研修とは、先輩社員が現場で指導していく教育方法のことだ。1対1で行われるのが特徴だ。以下4つのメリットがある。
1対1で指導するため相手によって指導方法を変えられる。そのため、1人1人に対応した教育が可能だ。
OJT研修では業務で行うことを体験しながら受講する。一種の疑似体験になるため、戦力化までのスピードも速い。戦力化するまでの速度が上がれば、他の従業員の負担が減ったり、部署内の業務スピードが上がったりなど、会社にとってメリットが多い。
自社の社員がトレーナーに就くため外部から講師を呼ぶ必要がない。業務委託費を抑えられるため、コストを抑えられる。
先輩社員にマンツーマンで教わる研修であるため、担当トレーナーになっている先輩社員とのコミュニケーションが取りやすくなる。
先輩社員と仲良くなれば、職場で働きやすくなったり他の先輩社員を紹介してもらえたりなど、参加者に多くのメリットを与えられる。参加者の中には先輩社員とのつながりを作りたいものの心の余裕がなく、コミュニケーションがとれない方もいる。そのような社員にもOJTは最適だ。
通常の業務とは違う場所で受講する研修のことだ。本記事を作成しているリスキルも研修会社の一つであり、このような企業に依頼して研修を実施する。メリットは以下の3つだ。
社内で必要となる知識を、大人数であっても一気に伝えられる。研修を実施する回数を減らせるため、研修時間の短縮になる。
数百人・数千人単位の研修を実施したり、全国各地に散らばっている従業員に対して一気に研修を行ったりしたい企業は、OFF-JTを活用すべきだ。
OJT研修の中には、知識を入れておかないと取り組めないものもある。その場合、OFF-JT研修は効果を発揮する。OJT研修で必要な知識をOFF-JT研修で身に付けることによって、OJT研修の理解度を上げる効果が期待できる。
大人数が受講しているOFF-JT研修であれば、大量の参加者とつながりを持てるチャンスがある。つながりができれば社内の情報を教えてもらえたり、今後仕事で困ったときに助けてもらえたりする場合があり、働きやすくなる。
e-ラーニングは、システムに組まれている教育プログラムを使いながら知識を身につけていく研修のことだ。ITについて理解していくプログラム、ビジネスマナーを身につけるプログラムなど、様々な種類のプログラムが存在する。e-ラーニングで受講するメリットは以下の3つだ。
インターネット回線があれば利用できるため時間に問われない。しかも早朝や深夜でも受講できるため、研修を受講できる時間が不規則だったり、受講できる時間がとれなかったりする方に最適だ。
社員には基本的に同じe-ラーニングの内容を受講させる。受講日によって講師が変わったりしないため、講師の質による教育のバラツキが少なくて済むのだ。そのため、平等に同じ質の研修を受講させたいと思っている企業向けの方法になっている。
繰り返し受講できるため復習に役立つ。e-ラーニングには、基本的に同じ講義を何度も見られる機能が付いている。それを活用すれば、苦手な部分や頭の中にたたき込みたいテーマの復習が何度もできる。反復学習に役立つ。
ロールプレイングとは、疑似体験を通じてスキルを習得していく研修のことだ。電話応対や営業対応など、実践に活きるスキルを体に覚え込ませたいときに活用できる。ロールプレイングには、以下3つのメリットがある。
口頭で聞かされただけでは、実践に活かすことのできないケースもある。頭の中で理解できたとしても、それを実践できるかは別だ。理解できても実践できないことは珍しくないロールプレイングでは、何度も同じことを反復練習しながら覚えていく。様々なシチュエーションを経ながら練習できるため、実践力のアップにつながる。
講師や参加者たちがいる前で実践させるため、すぐにフィードバックをもらえる。フィードバックしてもらう機会が増えれば、自分では気づけなかったクセを発見できる。改善するスピードも上がるため、成長速度を高めるのに最適だ。
ロールプレイングでは様々な方の動きを観察できるため、様々な方のスキルを盗める。他の方の動きを観察することで、自分が上手になるためのヒントを見つけられる場合もある。別の方のことを見ながら自分のスキルを高められるのが、ロールプレイングの醍醐味だと言える。
ここでは、研修の方法を決めるときの手順を紹介する。
研修が終わった後、参加者にどうなってほしいかゴールを決める。「社会人として最低限必要とされるビジネスマナーを身につけてほしい」「タイムマネジメントを実践で活かしてほしい」といったイメージだ。ゴールを決めておくことで、計画~研修終了後までブレなくて済む。
参加対象者に合わせてプログラムやカリキュラムを決める。ひと口に研修と言っても、様々な内容のものがある。全ての従業員に受講させるべき研修もあれば、管理職など直属の部下を持っている従業員のみを対象として受けさせる研修も存在する。
ステップ①を参考にしながらプログラムやカリキュラムを決めると、目的を果たしてくれる内容のものを見つけられる。
ここでの研修の形式とは、オフラインorオンラインのことだ。オフラインとは参加者が研修会場へ出向いて受講するパターンを指す。たいしてオンラインは、インターネット上から受講するパターンを指す。
オフラインのメリットは講師や参加者と同じ空間で受講できることだ。研修のライブ感を味わいたい方に向いている。一方オンラインのメリットは、インターネット環境とパソコンやタブレットなどがあれば自宅からでも受講可能だ。住んでいる場所に問われることなく、受けられる。研修の内容や参加者の状況によって異なるため、慎重に選ぶべきだ。
ステップ①~③を踏まえて、研修の方法を決める。プログラムやカリキュラムの数が多い場合は、それぞれに合う方法を選択するといい。電話応対であれば「ロールプレイング」、ビジネスマナーであれば「OFF-JT研修」、業務スキルを高める研修であれば「OJT研修」といったイメージだ。
また内容によっては「OFF-JT研修」と「e-ラーニング」をミックスさせるなど、2つの方法を織り交ぜてもいい。研修のクオリティを上げるためにも意識すべきだ。
最後に研修の方法を決めるときのポイントを紹介する。
参加者のことを把握して、研修の方法を決めた方がいい。たとえば良かれと思って、その方法に採用しても参加者からすると、悪く見えることもある。
その研修が不評に終わってしまうと、次回以降に実施される研修の参加率が減ったり、会社の研修に対して何も期待されなくなったりするなど、運営側のモチベーションを下げることになりかねない。参加者のことを知りたいのであれば、以下2つの方法で情報収集するといい。
研修を実施する前に、参加者にアンケートを取るのが最も簡単な方法だ。
ちなみにアンケートを作成するときは、選択式の問題を多く載せておくといい。記述式ばかりだと面倒に感じる方が増えてしまい、アンケートの回答率を減らしてしまう恐れがあるためだ。選択式であれば記述式のように文章を考える必要がないため短時間で記入しやすい。
アンケートの回答だけで物足りない場合は、参加者のことを知っている社員に情報を聞くといい。アンケートで記入されていない情報を得ることができれば、どのような研修の方法が良いか見極めるための参考材料になる。
直属の上司など、仕事上で参加者との付き合いが深い方に聞くと、より多くのことが知れるかもしれない。
研修が終わった後に、参加者の行動が変わるようにするための研修方法を考えるのも大切だ。実際に研修を行っても参加者の行動が変わらなければ、時間とお金の無駄になってしまう。研修で得たスキルを実践で活かしてもらうためにも、参加者の行動変容を促すものにできる方法を見つけることが大事だ。
同じテーマの研修でも、研修の時間や内容量によって適切な方法は変わる。たとえば研修の項目数が多い場合はOFF-JTを用いた大人数指導をすると、短時間で多くの従業員に伝えられる。このように効率的に実施できる方法を考えることが大切だ。
研修の方法は、そのときのテーマや社内の状況に応じて使い分けることが大切だ。仮に他の企業で実施されていた研修を同じ方法で行ったとしても、必ずしも成功するとは限らない。そのため社内に合った研修の方法を探すことが大事になる。ちなみに代表的な研修方法として、以下のものが挙げられる。
1.OJT研修
2.OFF-JT研修
3.e-ラーニング
4.ロールプレイング
上記のような研修方法を活用すれば、研修の質も上がっていく。しかし研修の方法は、いくつかの手順を踏んで決めないと失敗する恐れがある。以下のステップに沿って、研修の方法を決めるといい。
この手順を意識しながら方法を決めていけば、決めるときに失敗する確率が低くなる。いくら研修の準備に力を入れていても、方法の決め方が不明確だと研修は失敗に終わってしまう。参加者にスキルを習得してもらい実践で役立ててもらうためにも、研修方法を慎重に決めていただければと思う。