リスキルラボ 長時間労働の問題点とは|解決方法を紹介【健康的に働ける職場を目指す】

労務管理研修
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一昔前は残業や休日出勤など、長時間労働が当たり前だった。しかし現代は、政府が働き方改革を行っていることもあり、長時間労働を失くす動きが盛んになってきた。なかには長時間労働を禁止している企業もある。長時間労働問題を放置すると、社内の状況は一向に良くならない。

本記事では長時間労働の問題点を解説しつつ、解決方法を紹介していく。

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長時間労働の基準とは

長時間労働に明確な基準はない。しかし法律をもとに、長時間労働の目安を定めることは可能だ。

たとえば労働基準法を例に挙げると会社での定時間は「1日8時間、週40時間」以内、残業時間は「月45時間、年間360時間」までとなっている。したがって、基準を超えて仕事をしている状況であれば、長時間労働と言われる可能性が高い。

長時間労働問題が起こる原因

長時間労働問題が起こるのには理由がある。ここでは、3つの理由を紹介する。

残業が当たり前だと思っている文化がある

「残業が当たり前」という文化が社内に根付いていると、多くの社員が残業する。その結果、部下は帰りづらくなる。「上司に目を付けられそうで怖い」「出世に支障をきたしそうだからできない」という理由で、渋々残業をする。その結果、長時間労働問題を引き起こしてしまう。

人員が不足している

人員が不足している職場では、定時内に業務が終わらない状況が常態化する。残業や休日出勤が当たり前になり、長時間労働問題へつながる。

1人あたりの業務量が多い

1人あたりの業務量が多い場合も、長時間労働問題は起こりやすい。上司からの嫌がらせで膨大な業務を振られるケースもあれば、仕事の出来が良いために大量の業務を振られる場合もある。この状況に陥ると、定時間内に仕事を終えられず残業や休日出勤が当たり前になる。結果、長時間労働問題を引き起こす。

長時間労働の問題点

長時間労働が当たり前になると、様々な問題が生じる。ここでは3つの理由を紹介する。

人件費の増加

長時間労働が増えると、残業代の支払いで人件費が増える。人件費の増加は、利益が減り業績悪化の原因になってしまう。業績悪化を招くと、自社に対して不安を抱える従業員が増える。その結果、多くの退職者を生み出してしまう。

ストレスが溜まり、生産性の低下につながる

長時間、仕事に取り組んでいるためストレスが溜まりやすくなる。集中力が欠けたりイライラしたりする場面が増える。結果、生産性の低下につながってしまう。社員たちの生産性が低下すると、今までと比べて作業時間が長くなる。それが会社全体の効率性ダウンを招く。

過労死につながる

過労死とは、長時間労働が原因で亡くなることだ。勤務時間が長くなると、体を休める時間が減るため、過労死のリスクが高くなる。

国内では、残業が毎月100時間を超えると過労死ラインと言われている。したがって残業時間が毎月100時間を超えている場合も、長時間労働に該当すると思った方が良い。

長時間労働問題を解決する方法

長時間労働問題を解決するには、以下の方法を試すと良い。

残業に対する考え方を会社として発信する

会社として残業に対する考え方を発信すると、社員の意識が変わる。たとえば会社から残業を推奨しないと言われたら、社員の価値観が変わる状況が生まれる。結果、長時間労働問題の解決につながっていく。

ただし会社から発信するだけでは、社員たちに根付かない。浸透させるには、管理職が見本を見せることが大事になる。たとえば、管理職が定時で帰る姿を見せれば、部下たちも見習おうとしていく。結果、長時間労働問題の解決につながる。

ノー残業デーを設ける

ノー残業デーとは、残業をしない日のことだ。社内に残業をしてはいけない雰囲気が生まれるため、長時間労働を防ぐのに役立つ。ノー残業デーを設けるときは、以下のことに気を付けると良い。

業務量とのバランスを考えて頻度を決める

ノー残業デーの頻度は、社内の業務量を見極めてから決めることが大事だ。月に1,2回程度がいい場合もあれば、週1,2回程度が良い場合もある。社内の様子を見て、業務に支障をきたさない頻度で設定することが大事だ。

働けない仕組みを導入する

ノー残業デーを導入しても、時間外に職場や自宅で働く状況が改善されなければ意味がない。それを防止するには、働けない仕組みを導入することが大事だ。たとえば、以下の方法がある。

退勤時間になったら、アクセスできない仕組みを作る

退勤時間になったらパソコンの電源を入れても、仕事ができない仕組みを作れば、社員は仕事をしたくても働けない。強制的に仕事ができない状態ができるため、長時間労働の防止に役立つ。

残業をしていないかログでチェックする習慣を作る

パソコンのログで残業をチェックする習慣を作れば、社員たちは上司から注意を受けたくないと思い出す。定時で仕事を切り上げる習慣ができるため、長時間労働の防止につながる。

様々な働き方を用意する

長時間労働が起こらないように、様々な働き方を用意するのも効果的だ。たとえば、以下の働き方がある。

フレックスタイム

フレックスタイムとは、各従業員が働く時間を調整できる制度のことだ。勤務時間の調整ができるため、効率的に働ける。

たとえば電話応対が少ない時間帯に働く割合を増やせば、業務がスピーディーに進んでいく。このように本業に集中できる時間帯で働く社員が増えれば、チームの業務が円滑に回る。そのため、フレックスタイムの導入は長時間労働を生まないのに役立つ。

テレワーク

テレワークとは、自宅やコワーキングスペースなど会社以外の場所で働くことだ。テレワークを導入すれば周囲に従業員がいない。そのため職場で働いているときと比べて、話しかけられる回数が減る。すると仕事に集中できる環境が手に入る。結果、長時間労働を予防する働き方として役立つ。

業務改善を行う

業務内容が原因で、長時間労働に陥っている場合もある。そのときは業務改善を行って、労働時間を削減するといい。業務改善では、以下のポイントを抑えると良い。

業務内容を把握する

業務改善を行うときは、社内の業務を全て把握することが大事だ。業務内容を把握せずに改善すると、誤った改善を行ったり無駄な業務が残ったままになったりする恐れがある。すると、業務時間が短縮されない事態になってしまう。それを防ぐ意味でも、業務内容を把握してから改善すべきだ。

ECRSの原則を参考にして見直す

ECRSの原則とは、Eliminate(タスクを取り除く)Combine(タスクを合体させる)、Rearrange(タスクを交換する)Simplify(タスクの内容を簡単にする)の頭文字をとってつけられた。業務改善で使うフレームワークで、E→C→R→Sの順番で作業を行っていく。この流れで行うと効率よく作業ができる。結果、業務改善の質を上げるのに役立つ。

いくつも改善案を出しスコアが高いものを採用する

改善案を決めるときは案をいくつも出して、スコアを付けた上で高いものを採用するといい。この作業を行った方がいい理由は、業務改善の時間を割くためだ。

たとえば改善案が数百個出て、全て試すとなると大量の時間を要する。しかしスコアが高い案のみを試せば、業務改善に割く時間を減らせる。作業時間が短くなるため、他の業務に支障をきたさずに済む。よって、効率的に業務改善を行えるようになる。

研修を受講させる

業務改善研修や、働き方改善研修などを、チームや部署単位で実施することも良いだろう。

残業に追われている状態では

「今、何に一番時間がかかっているか」
「他のメンバーで同じ業務をしている人はいないか(業務をまとめられないか)」
「成果につながる仕事に、最も時間を割くことができているか」

これらが見えていない場合が多い。今行っている業務を洗い出し、無駄や被っている業務をまとめ、効率化するだけでも違ってくる。ぜひ参考にしてほしい。

評価制度を見直す

長時間労働をしない社員が、良い評価を得られる制度を導入することも大事だ。社内に定時で成果を挙げる習慣がつくため、長時間労働問題の解消につながる。評価制度を見直すときは、以下のことを意識すると良い。

「残業が多い=頑張っている」の価値観を失くす

一昔前は長時間働いている社員は「頑張っている」との価値観が強かった。しかし長時間労働問題が起こっている今、この価値観は撤廃すべきだ。その価値観がなくなれば、定時で帰ろうとする社員が増える。結果、長時間労働問題の解消に役立つ。

インセンティブ制の導入

インセンティブ制を導入すれば、労働時間に関係なく能力の高い社員が評価されやすい制度になる。定時で退社しても成果を挙げれば、評価される制度が出来上がる。よって、長時間労働問題の解消が期待できる。

「成果÷労働時間」で換算する

「成果÷労働時間」で換算して評価する制度を作ってもいいだろう。この評価方法を取り入れると短時間で、より多くの成果を挙げた社員が評価される。長時間労働によって成果を挙げた社員が評価されづらくなるため、定時で退社する社員を増やすのに役立つ。結果、長時間労働問題の解消につながる。

長時間労働を解決した成功事例

最後に長時間労働を解決した成功事例として、3社の取り組みについて紹介する。

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社では、長時間労働の解消を目的に「朝型勤務」と呼ばれる制度を導入している。特徴は以下の通りだ。

始業時間を午前5時~9時の間で調整できる

自社では始業時間を午前5時~9時の間で調整できるため、早朝から働ける。しかも午前7時50分までに勤務した分については25%の割増賃金が加算されることもあり、朝方勤務の促進に役立っている。

しかもフレックスタイム制度による早帰りも可能になっているため、出社と退社を速めにしたい社員に最適だ。

午後20時以降の残業が禁止になっている

自社では午後20時~22時以降の残業が原則禁止、午後22時~翌午前5時までの残業を禁止としている。基本的に20時までに仕事を終えなければならない体制ができているため、長時間労働問題の解消に役立つ。

日本航空株式会社

日本航空株式会社では、勤務時間を決められるフレックスタイム制度を導入している。特徴は勤務時間を1日1時間~調整できることだ。日によって勤務時間を変えられるため、日々のワークライフバランスを保ちやすい。それが長期間労働の防止につながっている。

大和証券株式会社

大和証券株式会社では、19時までに退社する文化を大事にしている。これにより、長時間労働を減らすのに成功した。元々は女性社員がプライベートの時間を確保しやすいように始まった施策だが、現在では全社員に向けられたものとなっている。

まとめ

長時間労働問題は、社員だけではなく会社に対しても悪影響を及ぼす。社内に長時間労働の文化があると、以下のことが起こる。

  • 人件費の増加
  • ストレスが溜まり、生産性の低下につながる
  • 過労死につながる

上記のことが頻発すると、自社で働き続けたい社員が減り退職者が増える。優秀な人材がいなくなり、組織の崩壊につながってしまう。その状態を作らないためにも、会社は長時間労働問題の解消に時間を費やした方がいい。

長時間労働問題を解消できれば、従業員は働きやすさを感じる。長期間働き続ける多くなり、組織の弱体化を防げる。会社の業績を良くすることにもつながるため、長時間労働問題の解消は行うべきだ。なお、長時間労働問題を解消する方法として以下の内容が挙げられる。

  • 残業に対する考え方を会社として発信する
  • ノー残業デーを設ける
  • 様々な働き方を用意する
  • 業務改善を行う
  • 評価制度を見直す

これらの取り組みを行えば、長時間労働が起こりやすい会社から脱却できる。働き方改革が進んでいる今、長時間労働はあってはならない。会社としての信頼を失わないためにも、継続して取り組んでいただきたいと思う。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 残業が当たり前だという文化が社内にあったり、社員1人あたりの業務量が多かったりすると長時間労働問題が起こりやすくなります。
  • 人件費が膨らむため、会社の財政状態を悪化させます。その他にストレスが溜まったり、過労死のリスクが膨らんだりするデメリットもあります。
  • 会社として残業に対する考え方を発信して、社員たちの価値観を変えることが大事です。その他に働き方を複数用意したり、業務改善を行ったりすることも忘れてはいけません。
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