リスキルラボ 【5分でわかる】パワハラを回避し良好な関係性を築くポイントを解説

パワハラ(パワーハラスメント)研修
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働きやすい職場づくりには人間関係の構築が欠かせない。

特に「パワーハラスメント(パワハラ)」の被害は組織にとって見過ごせない課題となっており、社内コミュニケーションを阻害する要因だ。

本記事では職場での健全な関係性を築くために必要な、コミュニケーションの基本ルールを見てみよう。

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パワハラとは

厚生労働省の定義によると、以下の3要件を全て満たすものがパワハラに該当するとされている。

-優越的な関係を背景として行われている
-業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動である
-就業環境が害される

引用元:厚生労働省「職場におけるハラスメント 対策パンフレット」より引用

職場での健全な人間関係や生産性を守るためにも、これらの要件に当てはまる言動には、細心の注意を払うことが大事だ。

パワハラの主な型

パワハラの代表的な6類型を以下のように分類している。一見すると指導やコミュニケーションに見えるものでも、受け手の感じ方や行動の頻度・意図によっては、パワハラと認定されるリスクがあるため気を付けたい

類型 特徴
身体的な攻撃 暴力や暴行、物を投げつけるなどの行為
精神的な攻撃 侮辱的な言葉、人格否定、怒鳴るなど精神的苦痛を与える言動
人間関係からの切り離し 無視、隔離、会議に参加させない行為
過大な要求 明らかに遂行できない業務の押し付け
過小な要求 明らかに能力とかけ離れた単純作業のみを指示
個の侵害 私生活への過剰な干渉を詮索する行為

引用元:厚生労働省「職場におけるハラスメント 対策パンフレット」より引用

パワハラは上司だけではなく部下が行う場合もある

パワハラは「上司から部下へ」の構図で語られることが多いものの、「部下から上司」のパワハラも存在する。全ての従業員が互いの立場や感情を尊重し、適切なコミュニケーションを築く努力が必要だ。

-複数の部下が結託して特定の上司の指示に従わない
-上司の発言を意図的に誤解釈し、職場内で悪評を広める
-上司の業務上の指示に対して、必要以上に反論や抵抗を繰り返す


パワハラを行わない・発生させないために

では、具体的にパワハラを行わないようにするためにはどうすれば良いのだろうか。ここからは「ハラスメントが起こらない職場づくり」のために、社員一人ひとりができることを紹介していく。

発信する際に気を付けること

まずは個人でできることから確認する。コミュニケーションを発信する側としては以下に気を付けよう。

感情的にならず、事実ベースで伝える

業務上人に何かを伝える際、感情に任せて怒鳴ったり否定的な言葉を投げかけたりすると、たとえ意図していなかったとしてもハラスメントと受け取られる可能性がある。その結果、相手のモチベーション低下や職場の信頼関係の崩壊につながりかねない。指摘や注意は、あくまでも「業務上の事実」に基づいて冷静に行うことが大切だ

また、相手が納得しやすくなるように、具体的な事例やデータを用いて説明するなど、伝え方にも配慮する姿勢が求められる。感情を切り離し、課題解決に焦点を当てた対話を心がけることが、良好な職場関係の維持にもつながる。

さらに、相手の立場や状況に理解を示しながら伝えることで、「責められている」と感じにくくなり、前向きな改善にもつながりやすい。聞き手の反応を観察しつつ、双方向のコミュニケーションを円滑にすることが大切だ。

業務の範囲内の対応か考える

相手の業務範囲内であることを確認した上で、指示や注意をすることが大事だ。業務と関係のない私的なことにまで踏み込んでしまうと、相手のプライバシーを侵害する可能性があり、パワハラと受け取られかねない。

特に新入社員や異動してきたばかりの社員に対しては、組織の暗黙知や専門用語に慣れていない可能性があるため、より丁寧に説明した方が良いだろう。また、相手が抱えている業務量やスキルレベルを考慮し、無理のない範囲での依頼を行うことも重要だ。業務上の適切な役割分担と、相手へのリスペクトをもった対応が、信頼関係を築く上で欠かせない。

加えて、指示や依頼の背景や目的を明確に伝えることで、相手の理解が深まり、自主的に動きやすくなる。押し付けではなく「協力を求める」姿勢が、円滑な連携と良好な職場風土を生む鍵となるだろう。

行動に対して具体的にフィードバックする

「叱る・褒める」というフィードバックの際にハラスメントが発生しやすい。そうなると「どうやって部下に接すれば良いかわからない」という悩みも多く寄せられる。その差異には、部下の行動に対してフィードバックを行うことがおすすめだ。

部下が納期を遅れて提出し、遅れる連絡がなかったとしよう。その場合、「納期に遅れた」「納期に遅れる可能性があることを前もって報告しなかった」の2点がフィードバックとして伝えたいことだ。これだけを伝えるのみで、本人の性格や人格に言及しなければハラスメントとうけとられる可能性は低い。(例:次回以降は、納期に遅れそうな際に一本メールがほしい)

頭ではわかっていても、実際その場面になると苛立ちが勝ってしまう場合もある。冷静に部下の行動だけをフィードバックするようにしよう。

建設的なフィードバックをする

指摘だけで終わらず、次にどうすれば良いかの「提案」までセットで伝えることも大事だ。仮に「この報告書はもう少し具体例を増やすと説得力が増すよ」と、改善点と具体的な行動の方向性を伝えれば、指導がポジティブなものになる。結果、コミュニケーションが円滑になるだろう。

また「コーチング」の姿勢も効果的だ。一方的に答えを教えるのではなく、相手を成長させるための質問を投げかけて、自問させることで人材育成につながる。例えば「この問題をどのように解決したら良いと思う?」「別の視点から考えるとどうなるだろう?」などの問いかけは、相手の主体性を尊重し、自律的な成長を促すことになるため、相手に反感を買われずに済むかもしれない。

ただし、何度も質問すると詰められていると感じるため、バランスを考えながら活用した方が良いだろう。

受け取る側として気を付けること

次に、コミュニケーションを受け取る側の注意したいポイントだ。過度になりすぎずかつハラスメントと感じたら周囲の人や窓口に相談すると良いだろう

受け取り方に気を付ける

相手の言動を必要以上に、否定的に受け取らないよう、自分自身の感情と冷静に向き合うことが大切だ。「注意=否定」と捉えず、「成長のチャンス」と前向きに受け止めることで、相手との関係性悪化を防げるだろう。

また、自分自身のコミュニケーションスタイルや価値観が、相手と異なる可能性があることを認識も大切だ。直接的なフィードバックを好む人もいれば、婉曲な表現を好む人もいる。人によって価値観が違うことを理解しておくことで、相手の意図を誤解せずに意思疎通ができるはずだ。

批判的フィードバックを活かす

批判や指摘を受けた際は、以下のステップで対応すると活かせる。

-1.冷静に聞く:防衛的にならず、相手の言葉に耳を傾ける
-2.明確化する:曖昧な部分があった際は「具体的にはどのような点が問題でしょうか」と質問する
-3.感謝する:フィードバックは自分の成長のチャンスであることを認識し、感謝の意を表す
-4.反省と学習:批判の中から学べる点を見つけ、次回に活かす
-5.行動計画を立てる:改善のための具体的なステップを考える

上記のプロセスを実践すれば、批判的なフィードバックを活用しやすくなるだろう。

ハラスメントか迷ったら信頼できる人に相談するか相談窓口を使う

自分一人で抱え込まず、信頼できる上司や同僚、社内の相談窓口に相談すべきだ。相談する際は、次のポイントを抑えると良いだろう。深刻で精神的ダメージを受けている場合は、専門のカウンセラーや医療機関など社外窓口への相談を検討するのも一つの手だ。

-具体的な事実や状況を客観的に説明する
-自分がどのように感じたかを率直に伝える
-関連する証拠(メールのやり取りやメモなど)を提示しながら話す
-何を解決したいのか目標を明確にする


誰もが働きやすい職場にするために

ここまでは個人としてできることを確認してきた。その上で、管理職やリーダーなど、マネジメントする側の方には「ハラスメントが起こらない職場づくり」についても考えてもらう必要がある。その際のポイントは以下の通りだ。

心理的安全性のある職場作りを行う

心理的安全性とは、社員が自分の意見や感情を安心して表現できる状態を指す。特に管理職は、部下の声に耳を傾け、頭ごなしに否定せず受け止める姿勢を持つことで、働きやすい環境を作りやすくなるだろう。なお、心理的安全性を高める方法は以下の通りだ。

-誰もが安心して発言できる「声を上げる文化」の促進
-対人リスクを取ることへの安心感の確保
-失敗に対して寛容である「学習文化」の構築
-多様性の受容とインクルージョンの実現

相談窓口があれば、周知する

もし企業に相談窓口がある場合、それが上手く運用されているかどうか、社員に窓口の存在が周知されているかどうかを確認したい。加えて、相談しやすい雰囲気づくりも重要である。プライバシーの確保や相談後の対応体制、報復防止策などを明確にし、安心して声を上げられる環境を整えることで、職場の健全性が保てるだろう。

また、定期的に窓口の運営状況や利用状況についてレビューを行い、改善の余地があれば迅速に行うことも重要だ。社員が安心して問題解決できる場だと認識してもらえれば、解決に向けたアクションが取りやすい。結果、職場のストレスが軽減されて労働環境の向上に役立つだろう。

企業・組織全体でパワハラ防止対策を考える

パワハラ対策は、特定の個人や部署に任せきりにすると負担がかかってしまう恐れがある。企業や組織全体が一体となって、ハラスメントを許さない文化と制度を築くことが大切だ。「パワハラがいけない」ことは多くの人が理解しているものの、どのような言動・行為がパワハラになるのか、境界線が曖昧であることも多い。

パワハラの基準を明確にすれば、円滑なコミュニケーションを取りやすくなる。「パワハラを防ぐための行動」や「パワハラにならない環境作り」などの共有が重要だ。他にも就業規則への明記や社内ガイドラインの策定など、組織として明確な方針とルールを打ち出すことも効果的だろう。

研修・勉強会を行う

パワハラを防ぐには、正しい知識と価値観の共有が不可欠だ。特定の性別や年齢層に対する固定観念に基づいた発言は、意図せず相手を傷つける可能性がある。例えば、ハラスメント研修を行うと、組織全体としてハラスメントの未然防止につながるだろう。

また、管理職向けコミュニケーション強化研修を実施すれば、現場での適切な指導や対応力の強化が期待できる。なお、学んだ内容を定着させたい場合は、一度きりの研修で済ませるのではなく定期的に行うことが効果的だ。

まとめ

パワハラは、無意識のうちに加害者にも被害者にもなり得る、誰にとっても身近な問題だ。しかし、正しい知識と基準を持ち、日々のコミュニケーションを丁寧に積み重ねることで、職場の雰囲気は改善される。発信する側・受け取る側が互いにリスペクトを持ち、組織全体で「働きやすい環境づくり」に取り組むことが、持続可能で生産性の高い職場への第一歩となるだろう。

良好な職場関係の構築は、一朝一夕に実現するものではない。しかし一人ひとりが自身のコミュニケーションを見直し、相手への敬意と配慮を持って接すると行動が変わる。やがて、組織文化として定着するだろう。一人ひとりが、日々のコミュニケーションに少しの工夫と配慮を加えることで、職場環境が変わっていくことを覚えていてもらえると幸いだ。

この記事の監修者
リスキル事務局

リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。

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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
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■研修実績
・年間実績2400社以上
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・プロフェッショナルの講師陣200名以上在籍

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Q&A
  • いいえ、パワハラは上司から部下への行為だけではありません。部下から上司へのパワハラも存在します。例えば、「複数の部下が結託して上司の指示に従わない」「上司の発言を意図的に誤解釈して悪評を広める」などが該当するでしょう。
  • 社内の相談窓口としては、人事担当や信頼できる上司、同僚などが挙げられます。深刻な場合は、専門のカウンセラーや医療機関など社外の窓口への相談も可能です。
  • 企業全体でパワハラ防止を徹底し、職場内の基準を明確にすると良いでしょう。具体的には、ハラスメント防止ポリシーの策定と周知、実際のケーススタディを用いた部署ごとのディスカッション、経営層からのメッセージ発信などが挙げられます。
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