リスキルラボ パワハラと指導の違い【社内でパワハラを防ぐ】

パワハラ研修
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パワーハラスメント(以下パワハラ)は法律もでき、管理が厳しくなってきている。なかには「単に指導するつもりだったのに、パワハラとされてしまった」というケースもある。

パワハラと指導は似て非なるものだ。本記事では、パワハラと指導の違いを解説しながら、指導するときに意識すべき内容を紹介する

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パワハラと指導の違いの記事でわかること

パワハラと指導の違い

はじめにパワハラと指導の違いをそれぞれ見ていこう。

パワハラとは

パワハラとは「パワーハラスメント」の略で、自分の権力を振りかざして、相手へ苦痛を与える行為のことだ。以下の5つに該当すると、パワハラとして認定される。

  • 同じ職場で働いている
  • 職場での優位性を利用している
  • 業務上、不要なことを指示している
  • 良識の範囲を超えた指示をしている
  • 労働環境を阻害している

パワハラによっては、人を死に追いやる場合もあるため許されるものではない。

なおパワハラのパターンは大きく分けて6種類存在する。どのような種類があるか見てみよう。

身体にダメージを与える

暴行・傷害など体にダメージを与えようとする行為だ。このような内容が当てはまる。

  • 人を蹴ったり突飛ばしたりした。
  • 廊下に立たせた
  • タバコの火を体に当てようとした

当たり前だが、ケガがなかったとしても、条件に該当すればパワハラ認定になる。

精神的なダメージを与える

相手が落ち込んだり仕事ができなくなったりなど、精神的に傷を負わせてしまう行為のことだ。以下の内容が当てはまる。

  • ノルマを達成していない人を侮辱する
  • 従業員がいる前で、暴言を吐いたり罵倒したりする
  • 会社にとって必要ない人材だと言って、働けなくする

精神的なダメージを与えられて、働けなくなったり精神疾患を患ったりする人もいる。

特定の従業員を仲間はずれにする

複数の従業員で、特定の人を仲間はずれにするのもパワハラだ。このような行動が該当する。

  • グループワークを行っているときに、1人だけ仲間はずれにする
  • 1人だけ席を離して座らせる
  • 全員に教えている業務を教えない

職場の中で孤立させようとするのが特徴だ。従業員の中には、仲間はずれにしたくないものの、上司からの命令に逆らえず、渋々従ってしまうケースもあるようだ。

過大な要求をする

明らかに達成不可能な業務量を与え、精神的に参らせようとする行為だ。これらの内容が該当する。

  • 1週間以上かかる業務を、1日で終わらせるように指示する
  • 仕事を終わらせるためのスキルを持っていないのに、1時間で終わらせるよう指示してくる

上司によっては業務が終わらなかったことに腹を立てて、殴ったり罵倒したりしてくる。他のパターンのパワハラと併用しやすいのが特徴だ。

過小な要求をする

誰でもできるような仕事のみ与え、自信を失わせていくパワハラもある。以下のようなケースがある。

  • 本来与えるはずの業務を任せずに、雑用ばかりさせる
  • 1人だけ別の部屋に移動させて、1日中書類の整理をさせる
  • 1日中仕事を与えない

まともな仕事を与えず、やりがいのない時間にしようとするのが特徴だ。

個人のアイデンティティや性格を否定する

個人の特徴や性格などに関することを否定するのも、パワハラの一種だ。このような事例が該当する。

  • ひとりっ子だから、周囲に気を配れないと否定される
  • 親の育て方が悪いから、仕事の役に立たない人間だと否定される
  • のんびり屋は仕事ができないと否定される

人によっては、親の悪口まで言ってくるケースもあるようだ。

パワハラと言っても様々なパターンがある。

仮に社内でパワハラが問題視されている場合は、どのようなパターンが多いか調べてから対処しよう。

指導とは

指導とは相手のことを思いながら、伝える行為を指す。たとえば、このようなケースが当てはまる。

  • 欠点に気付いてもらって、改善して欲しいからフィードバックをする
  • 仕事で活躍してほしいから、細かい部分を注意する
  • 出世してほしいから、仕事で失敗してもフォローをする

常に「相手のため」というのを意識しながら行動しているのが指導の特徴だ。ただし、自分では指導だと思っていても、伝え方によってはパワハラだと捉えられてしまう恐れがあるから気をつけよう。

パワハラと指導の違いを詳しくチェックしてみよう

パワハラになる確率が高いケースと指導になる確率が高いケースを表にまとめてみた。内容は以下の通りだ。

パワハラになる確率が高いケース 指導になる確率が高いケース
相手を見下すために言っている 期待の意味を込めて言っている
業務において不要なことばかり指示している 業務において必要なことを指示している
威圧的・否定的な態度をとった 受容的・肯定的な態度をとった
会社や自分を守るための発言をした 相手のことを守るために発言した
上司に言われたから無理矢理行動している 自主的に行動している

見ての通り相手の想いを無視した行為はパワハラ、相手のことを考えた行動は指導になる確率が高い

表の中でどれに当てはまるか分かれば、パワハラか指導か見分けやすくなるだろう。

社内でパワハラ問題を起こさないための指導方法

従業員に指導するスキルが身に付けば、社内のパワハラ問題は減る。ここではパワハラ問題を起こさないための、従業員への指導方法を紹介する。

指導している理由を伝えさせる

指導をするときは、その理由を伝えよう。たとえば、このようなイメージだ。

  • 〇〇さんに将来、仕事を任せたいと思っているから指導している
  • 追々、社長に就いてほしいと思っているから、〇〇のことを指導している
  • 仕事をミスする理由に気付いてほしいから、フィードバックをしている

指導している理由を伝えて相手に理解してもらうことで、パワハラだと言われる確率を下げられる。ポイントは専門用語を使わずに、分かりやすく話すことだ。

横文字や業界用語を言い換えるだけでも伝わりやすくなる。

指導する理由を話すにしても、相手が理解していなければ伝えたことにはならない。

「一方的に話された」と思われると、威圧的な態度をとったパワハラだと言われる恐れがあるため気を付けよう。

どのように改善すべきか伝えさせる

仕事の仕方を注意するにしても、改善点を伝えることが大事だ。たとえば、このようなイメージだ。

  • Wordで作った資料が見づらいから、字のフォントをもう少し大きくするといいよ
  • お客様に威圧的な態度をとっているように見えるから、笑顔を増やしながら接客するといいよ
  • 言葉が聞き取りづらいから、もう少しゆっくり話すといいよ

「否定する部分+改善点」の形で話せば、パワハラではなく指導として扱われる確率が高くなるだろう。

不適切な発言をしないよう指示する

自分の価値観を押し付けたり、完璧を求めるあまりに厳しく注意したりするのはNGだ。仕事上で必要な話のみを伝えさせることが大事だ。NG例はこちらだ。

  • 子育てばかりしているからミスが多いと伝えた
  • プライベートを充実させすぎているから仕事に身が入っていないと怒鳴った
  • 100%の出来を求めるあまり、厳しい言葉を何時間も浴びせた

上記の行動は社内で問題視される確率が高い。不要な発言をさせないよう、共有しておこう。

相手が言ってきたことを一旦受け止めるよう指示する

相手の言い分を全て聞き、そのような行動をとった理由や経緯などを聞くイメージだ。

相手が話しているときに否定すると、委縮してしまったり精神的ショックを受けたりして社内で問題視される恐れがあるからだ。

話を聞き終えてから、自分の話をさせよう。

人の好き嫌いで指導の仕方を変えないことを伝える

人の好き嫌いによって、指導方法を変えないことも重要だ。指導するときは感情的になってはいけない。

「指導する理由」、「なぜその内容を指導しようと思ったのか?」などの根拠に基づいて伝えることが重要だ。

平等に指導しないと、他の人から反感を買うことになる。それを防ぐためにも、根拠に基づいて指導することを忘れてはならない。

相手の理解度に合わせて指導方法を変えさせる

同じ内容の指導をするにしても、ある程度理解できている方(Aさん)と、何も理解できていない方(Bさん)に話すときの内容は異なる。

Aさんには、基礎的な説明を省いたり専門用語を交えたりしながら伝えてもいいかもしれない。しかしBさんに指導する場合、Aさんと比べて詳しく説明をしたり専門用語をかみ砕いたりして、伝えることが要求される。

分かりづらく説明すると、自分だけ指導してもらえないと思われ、パワハラの疑いをかけられる場合があるからだ。

そのような事態を起こさない意味でも、相手の理解度に合わせた指導をさせよう。

パワハラを防ぐには社内に相談できる体制を整えることが大事

社内でのパワハラを防ぎたいのであれば、従業員が相談できる体制を整えることが大事だ。

誰にもパワハラに関する悩みを相談できずに、悩んでいる従業員も少なくない。なかには自分だけで悩みを抱えた結果、心身ともに病んでしまう方もいる。

だからこそ、相談できる体制を整えるのは大事だ。最後に相談できる体制を作るときのコツを紹介する。

相談スタッフは男女両方そろえておく

スタッフは男性と女性の両方をそろえておこう。相談者によっては、スタッフの性別を希望する場合があるからだ。

  • 女性の上司とトラブルが起きているから、女性スタッフに相談したい
  • 男性の同僚からパワハラを受けそうだから、男性スタッフに相談したい

悩みを抱えているけど、女性(男性)のスタッフがいないから、相談できないというケースもある。そのような方が増えると、社内のパワハラ問題は解決しない。

全従業員が働きやすい環境を作るためにも心掛けよう。

相談者のフォローを行う

相談者の中には相談したものの、今後の結果がどうなるか気になる人もいる。

それを防ぐには相談者がソワソワした気持ちを持たないよう、フォローすることが大事だ。たとえば、以下のことを行うといいだろう。

  • 相談しにきたことを褒めてあげる
  • メールで進捗状況を伝える
  • プライバシーが守られることを伝える

相談者が安心して働けるよう、細やかなフォローをしてあげよう。

従業員によっては新たな悩みが生まれて、再度相談されるかもしれない。仮にそうなったとしても、嫌な顔をせずに相談に乗ることが大切だ。

そうすれば、相手もホッとすることが増えるだろう。

外部相談窓口を設置する

外部相談窓口とは、弁護士や社労士など社外の専門家に相談できる窓口のことだ。プランによってサービス内容は異なるが、毎月決まった金額を支払うと利用できる。

社内に外部相談窓口を設けるメリットは以下の通りだ。

相談者の対応をしてもらえる

相談者の対応をしてもらえるため、社内スタッフのみで相談業務を回せなかったり、専門的過ぎる内容で回答できなかったりするときに便利だ。

また相談者の中には、社外の方に話を聞いてもらいたい人もいる。そのときも、外部相談窓口が役に立つはずだ。

社内の相談体制に関するアドバイスをもらえる

社内の相談体制に関するアドバイスを専門家からもらえるのもメリットだ。運営方法や相談者への対応方法など、プロならではの回答を得られる。

その他にもパワハラをしている方向けの更生プログラムを作成するサービスや、社内スタッフ向けに勉強会を行ってくれる外部の専門家もいるため、相談体制を整えるときに活用するといいだろう。

このように外部相談窓口は、相談者にも社内スタッフの両方にメリットがある。相談業務をスムーズに回すためにも覚えておこう。

パワハラ研修を実施する

パワハラ研修を実施することも防止のための手段だ。上司から部下へのパワハラだけではなく、社歴の長い部下から短い上司へのパワハラも増えているため、役職や年次にとらわれず受講させることが良いだろう。

まとめ

パワハラと指導の違いを紹介した。2つの違いは以下の通りだ。

  • パワハラ…自分の権力を振りかざして、相手へ苦痛を与える行為のこと
  • 指導…相手のことを思いながら、伝える行為

簡単に言えば自分本位か相手のためを思っているかによって、どちらに該当するかが変わる。本記事内で紹介した表を見ると、理解しやすいはずだ。

しかし指導してもパワハラと捉えられるケースがあるので、相手に誤解を与えずに伝えることが重要だ。

これを実現させるには従業員にパワハラと指導の違いを教えることが大事だ。共有するときは、これらの内容を伝えよう。

  • 指導している理由を伝えさせる
  • どのように改善すべきか伝えさせる
  • 不適切な発言をしないよう指示する
  • 相手が言ってきたことを一旦受け止めるよう指示する
  • 人の好き嫌いで指導の仕方を変えないことを伝える
  • 相手の理解度に合わせて指導方法を変えさせる

上記のことを意識して相手へ話せば、パワハラだと思われる確率は減る。社内のトラブルを増やさないためにも、パワハラと指導の違いは覚えておいた方がいいだろう。

この記事の監修者
リスキル事務局
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  • 社員の皆様で受けることで、状況が良くなることもあります。 パワハラの場合は、上司から部下へといった方向性ではない場合もあります。何がパワハラにあたるのか、部署の皆さんで共通認識を持っていただき、職場全体の改善に努めるのも1つの方法です。現状の課題を聞かせていただき、最適な研修をご提案いたします。
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