リスキルラボ 【教育担当者向け】OJTの目的と10個のポイント解説

OJT研修
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OJT担当者をつけ、配属後に適切な育成をすることで早期離職を防止するという取り組みは多くの企業で実施されている。

新入社員にとって意味のあるOJTをしていくためには、OJTに関わる社員が目的を理解とポイントを押さえておく必要がある。

本記事では、OJTを行う目的と達成するために必要なポイントを10個紹介する。OJT担当者として現状取り組んでいる教育担当者の方にぜひ読んでほしい。

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OJTとは

OJT(on-job-training)とは、職場で業務を行いながら先輩社員がトレーナー(指導役)になって、新入社員(トレーニー)へ教育する手法のことだ。実践を交えながら業務で必要な知識やスキル、仕事の進め方を習得していく。

先輩社員のお手本を実際に見ながらスキルを習得できるため、イメージしながら業務を覚えたい新入社員にとって、役立つ教育方法だ。

OJTの目的

OJTを行う目的は1つだけではない。ここでは、3つの目的を紹介する。

1.新入社員の戦力アップ

新入社員であっても、業務を通じて学ぶことで、学んだことを早期に発揮でき、即戦力となれる。また、分からないことはすぐにOJT担当者に質問できるため、正しいやり方で仕事を覚えることもできる。

2.座学では習得できないスキルの伝授

座学では習得できないスキルを、伝授するのもOJTの目的だ。スキルによっては、口頭で説明しても伝えづらいケースがある。そのような内容を伝えるときに、OJTが使用される。

実践しないと身につかないスキルや、手触りや力の入れ具合など感覚が大事になってくるスキルはOJTを用いるべきだ。

3.先輩社員と仲良くなってもらう

OJTを通じて、先輩社員と仲良くなってもらう目的もある。新入社員が先輩社員と組んで行われる教育方法であるため、必然的にお互いの距離感が近くなる。したがって、仲良くなってもらうのに最適な教育方法だと言える。

OJTのメリット

OJTにはメリットも多い。ここでは5つのメリットを紹介する。

1.新入社員が成長する

職場での指導が基本となる為、部下の状況に合わせた指導を行うことができ、結果としてOJTは新入社員の成長につながりやすい。成長すれば多くの業務をこなしてくれて、他の社員の負担が軽くなる。別の業務に時間を割けるようになれば、部署内の業務も回りやすくなる。

2.トレーナーが成長する

指導していく中で、気付きや新しい発見を得られる可能性があるためだ。OJTの指導者側に回るとトレーナーとしてのスキルだけではなく、プレイヤーとしてのスキルを上げる効果も期待できる。よってOJTは、トレーナーを成長させるメリットがある。

3.コストを抑えられる

OJTの講師役は基本的に社員であるため、外部から講師を呼ぶ必要がなく、コストを削減できる。

4.その場でフィードバックを伝えられる

その場でフィードバックを伝えられるメリットもある。トレーナーがトレーニーに対してすぐに伝えられるため、改善までのスピードが上がる。トライ&エラーを何度も繰り返せるため、新入社員の成長スピードも早くなる。

5.部署のパフォーマンスアップが期待できる

OJTを行うと新入社員が業務を覚えるまでのスピードが上がるため、部署内で貢献できるようになる。そのため、部署のパフォーマンスアップが期待できる。部署内の業務効率が上がれば、社内全体の業務効率アップにつながる。

OJTで設定した目的を達成させるポイント

OJTで設定した目的を達成させるにはポイントを抑える必要がある。ここでは、そのポイントを紹介する。

1.参加者の傾向を分析する

分析する理由は、新入社員によって適するOJTの方法が違うためだ。たとえOJTの教育内容が同じだったとしても、伝え方や見本の見せ方、実践させる頻度は新入社員のスキルによって異なる。

そこを無視して教育すると、OJTの目的を達成できなくなってしまう。どのような教育方法が合うか見極める意味でも、参加者の傾向を分析すべきだ。

2.参加者と相性の合うトレーナーを選ぶ

参加者と相性の合うトレーナーを選ぶことも大切だ。いくらトレーナーのスキルが高くても相性が悪いと、お互いがけん制し合ったり、言うことを聞かなかったりして、目的を達成するのが難しくなってしまう。その状況を回避するためにも、相性の合うトレーナーを選んだ方がいい。

3.トレーナーのスキルをある程度そろえる

OJTの成果にバラツキが出なくするためにも、トレーナーのスキルをそろえることは大事だ。バラツキが出ると社内の業務がうまく回らなくなったり、他部署に迷惑をかけたりなど悪影響を及ぼす。よってトレーナーの質は統一すべきだ。

4.実践型の講習を盛り込む

実践型の講習を盛り込む理由は、参加者が飽きないようにするためだ。たとえばトレーナーが話しているばかりだと、新入社員が受け身で受講する可能性がある。OJTの目的を達成させるには、新入社員のモチベーションを上げることが大事になる。そのためグループワークやロールプレイングなどを用いて、実践型の講習を実施することが大切だと言える。

5.会社全体でサポートする

会社全体でサポートするのも忘れてはならない。OJTはトレーナーのみが、新入社員をサポートすればいいわけではない。トレーナーではない方もサポートすべきだ。

たとえば「トレーナーの業務を他の社員がやってあげる」「トレーナーがOJTを行っているときに、他の社員がアシストしてあげる」といった形だ。トレーナーの業務に支障をきたすことも減るためいい。

6.全ての内容をOJTに当てはめない

全てのスキルがOJTによって身に付くとは限らないため、全ての内容をOJTに当てはめるのは危険だ。OJT以外の方法を活用した方が、身に付くスキルも存在する。OJTに適した内容が何であるか考えることを忘れてはならない。

7.OJTを継続する

繰り返し実践しないとスキルは身に付かない。そのためOJTも継続することを忘れてはいけない。長期間、スキルを覚えておく意味でも継続すべきだ。なお、OJTを継続的に行うには、以下2つのことに力を入れるといい。

①新入社員の様子をチェックする

何ができるようになって、何をこれから強化する必要があるのかを把握する必要がある。何を教えたか、満足できるレベルで実施できるかをチェックリスト等で管理すると良い。シフトの都合で担当者とは別の先輩に様子を見てもらう日があっても、そのリストを共有しておけば、できることできないことが分かりやすい。

②レクチャーのための時間を作る

比較的忙しくない曜日や時間でOJTのための時間を作る工夫もできる。先輩社員も仕事をしており、なかなか話しかけられない、外出が多く顔を合わせる機会が少ないという場合もある。そのため、OJTのための時間を確保し、業務での質問を行ったり、実践してもらっている業務についてのさらなるアドバイスをしたりする。営業などの職種であればロープレの時間を定期的に作ることも効果的だ。

8.OFF-JTと併用する

OFF-JTとは、セミナーや研修などのことで、現場から離れて勉強するのが特徴だ。OJTの教育内容の中には、事前にOFF-JTで知識を習得しておかないと、効率的にスキルを習得できないケースがある。そのような場合はOFF-JTを併用しながら、OJTを行うべきだ。

9.OJT終了後にフィードバックをする

OJT終了後に、新入社員に対してフィードバックをするのもポイントだ。新入社員の中には、自分の得意分野や苦手分野が分かっていないケースがある。新入社員に自分の状況を分かってもらうためにも、フィードバックは重要だ。以下2つのことを意識するといい。

①今後の課題を明確に伝える

できていない箇所を伝えても、自分で今後どうすべきか分からない新入社員もいる。そのため、今後の課題を明確に伝えることが大切だ。たとえば「〇〇ができていないから、今後は××をした方がいい」と伝えると、何をしていけばいいか分かるため道に迷わずに済む。

②感情論で伝えない

感情論で伝えると、相手に納得してもらえない場合がある。そのため根拠を挙げながらフィードバックをすべきだ。「仕事の成果が〇〇だったから、××の方法で取り組んだ方がいい」というように、可視化できるように伝えると納得してもらいやすい。自分の「好き/嫌い」を除外して、誰でも納得できるように伝えることが大切だ。

10.トレーナーのスキルを向上させる

ポイントの中でも、トレーナーのスキルを向上させるのは最重要ポイントと言っても良い。たとえOJTのカリキュラムを充実させたとしても、トレーナーとしてのスキルが身に付いていないと目的を達成するのは難しい。なお、トレーナーに必要とされるスキルは以下の4つだ。

①コミュニケーションスキル

新入社員と良好な関係性をつくらなければいけないため必須条件だ。コミュニケーションスキルを身に付けるには、相手の話を聞くことが大切だ。トレーナー側ばかり話すと、新入社員は発言できなかったり、話を聞いてもらえなかったりして不満が溜まりやすくなる。結果、コミュニケーションをとるのが難しくなるのだ。

その他に、場の空気を読み取ることも大切だ。「相手を励ました方がいいのか?」「熱血指導をした方がいいのか?」といった形で、相手に何を伝えるべきか考えた方がいい。空気を読めないと場が白けてしまい、相手と距離感ができてコミュニケーションをとりづらくなる。相手と一定の所まで距離感を詰める意味でも、場の空気を読むことは大事だ。

②指導力

新入社員の教育をしなければいけないため、指導力も必要とされる。OJTで設定した目的を達成させるには、指導力がなければ難しい。たとえば「新入社員がくじけそうになったときにサポートする」「できるようになるまで、辛抱強く付き合う」といったことが大切だ。

トレーナーは新入社員に指示を出すだけの役割ではない。OJTの目的を達成するために存在している。よって、目的を達成させるための指導力が必要になるのだ。

③分かりやすく伝えるスキル

新入社員は先輩社員と比べて、仕事のことや専門用語について詳しくないケースが多いため、相手へ分かりやすく伝えるスキルも必要だ。新入社員に理解してもらうには、新入社員の立場で話すことを忘れてはならない。

その他に語彙力を鍛えることも重要と言える。語彙力がないと別の言葉に置き換えられなくなるためだ。語彙力があれば、状況に合わせて言葉を置き換えやすくなる。そのため普段から様々な活字に触れておくべきだ。

④自主的に行動させるスキル

新入社員を自主的に行動させるスキルも必要だ。たとえば新入社員が受け身になってしまうと、自分からスキルを習得しようとする気力をなくしてしまい、OJTの目的を果たすことが難しくなる。意欲的に取り組んでもらうためにも、自主的に行動させるスキルは必要だ。

OJT指導者側にも研修を実施する

OJT制度を通して指導する側に対しても研修を実施することが推奨だ。OJT研修部下育成・後輩指導研修などを実施することで、スムーズに育成し自身の仕事もこなせるOJT指導者を育成できる。

まとめ

OJTは業務で役立つスキルを、実地で習得させるために効果的な教育方法だと言える。先輩社員がトレーナーとして付き添いながら指導するため、先輩社員とコミュニケーションをとりながら習得したい新入社員におすすめだ。OJTには、以下のような目的が設定されている。

1.新入社員の戦力アップ
2.座学で習得できないスキルの伝授
3.先輩社員と仲良くなってもらう
4.会社のブランドアップ

これらの目的でOJTが実施されているのだ。しかしOJTを行ったからと言って、目的が達成できるわけではない。達成させるには様々なポイントを抑えておくことが大切になる。

1.参加者の傾向を分析する
2.参加者と相性の合うトレーナーを選ぶ
3.トレーナーのスキルをある程度そろえる
4.実践型の講習を盛り込む
5.会社全体でサポートする
6.全ての内容をOJTに当てはめない
7.OJTを継続する
8.OFF-JTと併用する
9.OJT終了後にフィードバックをする
10.トレーナーのスキルを向上させる

上記の内容を実践する他に、新入社員によってOJTの仕方を変えることも目的を達成させる上で大事だ。OJTをどのように運営するかで、新入社員の退職率やスキルの習得度合いなど、様々なことが変わる。新入社員をうまく育てるためにも、OJTの目的を考えながら運用していただければと思う。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 新入社員の戦力アップなどを目的としています。しかもOJTでは、新入社員が先輩社員から教わりながらスキルを習得するため、先輩社員と仲良くなってもらう目的もあります。
  • 先輩社員がトレーナーになっているため、講師を呼んだときに発生するコストを抑えられます。その他に新入社員やトレーナーが成長するメリットもあります。
  • 参加者の傾向を分析して、何を意識してOJTを実施するか考えることが大事です。新入社員と相性の良いトレーナーを準備したり、各トレーナーのスキルを上げたりすることが重要になります。またOJTに合う内容の研修を行ったり、OFF-JTと併用して実践したりすることが大切です。
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