リスキルラボ マタハラとは|対策方法を紹介【妊娠・出産・育児しても働ける環境を作る】

ハラスメント研修
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世の中には様々なハラスメントが存在する。今回紹介する「マタハラ」もハラスメントの1つだ。
妊娠・出産後も仕事を続けたいにもかかわらず、上司や同僚など周囲からの理解の低さやプレッシャーに耐えられず両立を断念してしまうケースが多く存在する。

そこで、本記事ではマタハラの概要を紹介しつつ、対策方法について解説する。

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マタハラとは

マタハラとは「妊娠・育児」などの経験をしている女性社員へのハラスメントを指す。2014年には流行語大賞にノミネートされたこともある。マタハラが原因で働きづらさを感じる女性社員もいる。

マタハラが起こっている状態を放置すると職場の雰囲気が悪くなり、他の社員も働きづらさを感じる。よってマタハラ気質の職場は、今すぐ改善した方がいい。

マタハラの具体例

ひと口にマタハラと言っても、様々なパターンがある。ここでは、マタハラの具体例を紹介していく。

嫌味を言う

たとえば「子育てがあるから簡単な仕事しかできないよね」「妊娠中だからイライラしているよね」という形で、社内の同僚から嫌味を言われる。その結果、女性社員は周囲の目を気にするようになり、働きづらさを感じてしまう。

重要な仕事を与えない

妊娠や子育てを理由に重要な仕事を与えないのは、出世のチャンスを奪っているためマタハラに該当する。妊娠中・子育て中の女性社員の中にも、キャリア形成のために重要な仕事に就きたいと思う方はいる。それを無視した行動は許されない。

退職を促してくる

子育てをしていると子供の急病で欠勤したり、残業できなかったりして思うように働けなくなる。会社の中には、それを理由に退職を促すケースもある。

その行為もマタハラに該当する。仮に会社の利益が大事であっても、女性社員を退職に追いやる行動はとってはならない。

マタハラが起こる背景

ここからは、マタハラが起こる背景を紹介する。

社員への理解不足

女性社員に対する理解不足が慢性化していると、相手の事情を考えずに自己満足を追求する行動になってしまう。勝手な思い込みで物事を進めてしまい、マタハラを助長することになる。

男性社員中心の職場環境

男性社員中心の職場環境だと、女性社員のことを考えながら仕事をする機会が少ない。必然的に男性目線での職場環境が出来上がる。女性社員が配属されても、男性社員の立場で働くことが当たり前になってしまう。結果、マタハラを生み出してしまう。

女性社員に対する過剰な気遣い

女性社員への過剰な気遣いも良くない。なぜなら、それが圧に感じてしまい、居心地の悪さを感じる恐れがあるからだ。過剰な気遣いをされると、他の社員の視線が気になり働きづらさを感じる。そのためマタハラを助長しかねない。

マタハラが起こりやすい職場は企業に損失を与える

マタハラが起こると、企業に様々な損失を与える。ここでは、どのような損失があるか紹介する。

成果を挙げるのが難しいチームになる

マタハラを受けると、女性社員は委縮したり不安な気持ちを抱えたりして強みを発揮できなくなる。マタハラの被害に遭い続けると、自己嫌悪に陥り自信を失くす。それがモチベーション低下を引き起こし、仕事のミスを招くことになってしまう。他のメンバーに迷惑をかける機会が増えて、会社全体で成果を挙げるのも難しくなる。

優秀な女性社員を失う

マタハラが起こる職場に耐えられなくなり、退職する女性社員もいる。優秀な女性社員を失うリスクもある。チームの戦力となる女性社員が退職した場合、メンバー間の連携力がとれなくなり、チームプレーの質が下がってしまう。それがチームワークの崩壊を起こし、チームの状態を悪くしていく。

法律違反で訴えられる恐れがある

マタハラによっては、法律違反で訴えられる場合がある。たとえば、妊娠や子育てを理由に退職させようとすると「男女雇用機会均等法」や「育児・介護休業法」に反する。マタハラの被害を受けた女性社員の中には、訴訟を起こした方もいる。

仮に訴訟されたことが公になると、会社の悪い噂が広がり企業のブランドダウンを招く。企業のブランド力が下がると顧客離れが起こったり、人材の確保が難しくなったりする。その結果、企業の状態を悪くしてしまう。

マタハラが起きないようにするための対処方法

最後にマタハラが起きないようにするための対処方法を紹介する。

マタハラの周知

悪気がなくマタハラを行っている社員もいるため、マタハラの周知は徹底すべきだ。なお周知のときは、以下のことに取り組むといい。

マタハラに該当する行為を明確にする

マタハラを行っている自覚がない社員の場合、単に口頭でマタハラが禁止だと伝えるだけでは効果は少ない。しかしマタハラに該当する行為を明確にすると、思い当たる節がないか自身で考えるようになる。その結果、自分事として捉えるようになり、マタハラを自覚させられる。

該当する行為が明確になれば、社員達はマタハラの例をイメージしやすくなるため、加害者・被害者を抑えるのに役立つ。よって、マタハラに該当する行為は明確にすべきだ。

社内ホームページや就業規則への明記

口頭でマタハラが禁止であることを話すだけでは、伝わらない場合がある。そのときは、社内ホームページや就業規則に明記して、マタハラが禁止であることを伝えると良い。

テキストとして載せれば、社員達にマタハラをしてはいけないという自覚が生まれるため、マタハラの防止が期待できる。

研修の実施

ハラスメント研修セクハラ・マタハラ防止研修などを実施することも良いだろう。

なお、ハラスメントに関する研修を行うときは、身近に起こり得るマタハラの一例を取り上げながら行うといい。自分事として捉えやすくなるため、研修の効果が期待できる。

チーム内に心の余裕を作る

チーム内に心の余裕があれば、メンバー達の自己受容感を満たすことになる。すると他のメンバーに嫌がらせをする社員が減るため、マタハラの助長を防ぐのに役立つ。チーム内に心の余裕を作るときは、以下のことを心掛けると良い。

ネガティブワードを控えた会話をする

ネガティブワードとは、聞いただけでネガティブに捉えてしまうワードのことだ。「疲れた」「仕事が終わらない」「繰り返し行っても無駄」というワードが該当する。

会話の中にネガティブワードが多いと、チームの士気を下げてしまい、心の余裕をなくす。よって、ネガティブワードを用いた会話は控えるべきだ。

感謝し合う文化を大事にする

感謝し合う文化ができれば、メンバー達の中に人へ敬意を払う習慣ができる。それも心の余裕を生み出すのに役立つ。

メンバー間で「ありがとう」と言い合ったり、良い行為を行ったメンバーをチームメンバーで褒め合ったりなど、感謝し合う文化を大事にするといいだろう。

相手の意見を受け入れる文化を作る

相手の意見を拒否する文化だと、枠に捉われて意見を考えたり、自分の考えを発言できなくなったりする。それが精神的に追い込まれる状態を作り、心の余裕をなくすことになる。

意見を受け入れればメンバー達は意見を言いやすくなり、自由な発想で物事を考えられる。精神的に追い込まれる場面も減り、心の余裕を生み出す効果が期待できるはずだ。

メンバー間で話せる雰囲気を作る

メンバー間で話せる雰囲気を作れば、誰にも話せないという悩みから解放される。それが、心の余裕へつながっていく。

たとえば「困っているメンバーを見かけたら声をかける」「チームメンバーに相談されたときは時間をとって話を聴く」というように、習慣化しておけばメンバー間で話しやすい雰囲気が生まれる。

職場環境の改善

女性社員が働きやすくなるように、職場環境を改善することも大事だ。改善すれば居心地の良い職場となり、マタハラの防止に役立つ。職場環境の改善策として、以下の方法を試すと良い。

サポート体制を整える

子育て中の女性社員は、子供の体調不良による急な欠勤が起こって、思うように仕事が進まない。その状態が生まれると、他の同僚に文句を言われるなどしてマタハラが起こりやすくなる。それを防ぐ意味で、サポート体制は整えた方が良い。

複数人でサポートし合う体制ができれば、急な欠勤によって仕事に遅れが生じても、他の社員でカバーできる。その結果、女性社員の負担は減り、働きやすさも感じるはずだ。

女性社員向けのキャリアアップセミナーの実施

女性社員向けにキャリアアップセミナーを実施すれば、理想的な働き方をイメージできる。生産性の高い働き方が見つかれば、女性社員は決められた時間内で効率的に業務をこなせる。その結果、業務改善へとつながっていく。

様々な働き方を用意する

子育て中の女性社員向けに様々な働き方を用意すれば、マタハラの被害に遭うリスクを抑えられる。フルタイムで働けない女性社員も退職せずに済み、戦力の高い女性社員を在籍させやすくなる。

たとえば「フレックスタイム」を導入すれば勤務時間を調整できるため、急な欠勤があっても仕事のスケジュールを調整しやすい。

また「時短勤務」や「週休3日制」を活用すれば、勤務時間を短くできるため子育てと仕事の両立が楽になる。このように様々な制度を導入すればライフスタイルに合わせた働き方が可能だ。女性社員が働きやすくなり、職場改善へつながる。

相談窓口の設置

マタハラに関する相談窓口を設置するのも大切だ。相談窓口を設置すれば、マタハラの被害に遭ったときに相談できる。また、相談窓口の存在はハラスメントの抑制にもつながるため、マタハラの防止に最適だ。

相談窓口の設置時は、以下のことを行うと良い。

相談窓口のマニュアル作成

窓口を設けても応対の質が悪いと、相談者にさらなる不安を抱えさせる。社員間でマタハラの防止や解決に、相談窓口が役に立たないという評判が広まる。

相談窓口を設置する以上、極力、相談者の不安や悩みを解消できる存在でなければならない。多くの相談者に安心して使ってもらう意味でも、相談窓口のマニュアルは設けるべきだ。

申し込みのハードルを低くする

相談者が申し込みやすい状態を作った方が良い。メールや電話など様々な方法で申し込める状態を作ったり相談員を選べたりすれば、利用側からするとハードルが低くなる。その結果、利用者の増加が期待できる。

プライバシーの保護

相談された内容は、他の社員に漏れてはならない。他の社員の耳に入ると、職場での扱いが悪くなったり降格や左遷を命じられたりなど、相談者が不利益を被る恐れがあるからだ。個人情報保護の観点からも、プライバシーの保護には力を入れるべきだ。

相談窓口の存在を社員達に知らせる

相談窓口を設けても、社員に利用してもらわなければ意味がない。よって、窓口の存在を社員に知らせることも大事だ。社内報や社内ホームページなど、様々な媒体を活用して知らせると、社員に行き届きやすくなるだろう。

まとめ

マタハラは妊娠中や子育て中の女性社員を苦しめるハラスメントとなっている。マタハラが起こる背景として、以下のことが存在する。

  • 社員への理解不足
  • 男性社員中心の職場環境
  • 女性社員に対する過剰な気遣い

上記の状態になっている職場では、該当する女性社員に嫌味を言ったり、重要な仕事を任せなかったり、退職を促したりなど様々なマタハラが起こりやすい。放置すると会社の状態を悪化させるため、マタハラの対策は行うべきだ。

マタハラの対策方法として以下の内容が挙げられる。

  • マタハラの周知
  • チーム内に心の余裕を作る
  • 職場環境の改善
  • 様々な働き方を用意する
  • 相談窓口の設置

上記の対策を行えば、社内にマタハラが起きづらい環境ができる。妊娠や子育てを行っている女性社員の中にも、優秀な人材はいる。能力が優秀であるにも関わらず、マタハラによって可能性を潰すのはもったいない。その状態を作らないためにも、マタハラの対策に力を入れていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 妊娠中や子育て中の女性社員に行われるハラスメントのことです。嫌味を言ったり簡単な仕事しか振らなかったりなど、様々なパターンのハラスメントが存在します。
  • 女性社員への理解不足や、男性社員中心の職場環境、女性社員への過剰な気遣いなどが該当します。
  • マタハラの周知やチーム内に心の余裕を作ることが大事です。その他に様々な働き方を用意したり、相談窓口を設置したりするのも効果的と言えます。
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