リスキルラボ マタイ効果とは?例やデメリットを紹介【公平な人事制度を導入していく】

評価者研修
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人事評価を行う管理職にとって、「自身の部下全員を公平に評価する」ということは、言うことは簡単であっても実行は難しい。その状況が起こっている原因の一つとして考えられるのが「マタイ効果」だ。

マタイ効果が起こると、従業員の見え方が変わってしまう。その結果、公平な人事評価ができなくなる。本記事ではマタイ効果の概要や例・デメリットを紹介しつつ、マタイ効果を失くす上で意識すべきことを解説していく。

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マタイ効果とは

マタイ効果とは、周囲から優秀だと思われていたり支持されたりしている人物の評価が、さらに上がっていき、そうではない人材はチャンスが失われていく効果のことだ。

実際の能力よりも過大(過小)評価されるため、良い想いができている従業員と悪い想いしかできていない従業員の間で、格差がどんどん広がっていく。

マタイ効果の例

ここからはマタイ効果の例について紹介していく。

支持する人が多いから、仕事の出来が良い従業員に見える

その従業員を支持する人が多いため、勝手に仕事の出来が良い従業員に見えるのはマタイ効果の一例だと言える。

部下の進捗状況を確認していないにも関わらず、勝手に上司が優秀な人材だと決めつけてしまう。その結果、過大評価される。

率先して行動するから、スピーディーに物事を進める従業員だと思われる

自ら率先して行動する従業員に対して、スピーディーに物事を進めてくれる従業員だと思い込んでしまうのもマタイ効果の例だ。

スピーディーに進んでいない作業があるかもしれないのに、勝手に業務が順調に進んでいると思い込む可能性がある。

仕事を楽しんでいるから、最適な人材だと思ってもらえる

仕事を楽しんでいるように見える従業員に対して、業務に最適な人材だと勝手に思っている状態もマタイ効果によるものだ。

たとえ本人にとって現在の業務が苦痛だと感じても、周囲の従業員は最適な業務を振っていると思い込んでしまう。結果、周囲は適材適所だと思い込む。

マタイ効果は人事評価にとってデメリットになる

マタイ効果は、人事評価の面でデメリットになる。ここでは、どのようなデメリットが考えられるか紹介していく。

誤った評価をする恐れがある

マタイ効果によって、誤った評価をする恐れがある。仕事の出来が悪いのに良い評価を付けてしまう恐れもあれば、仕事の出来が良いのに悪い評価をつけてしまうかもしれない。

最終的に業務の出来と評価の間にギャップが生まれ、正しい評価をつけられなくなってしまう。

能力の低い人材が出世する恐れがある

本来は能力の低い人材なのに出来が良いと評価されて、出来の悪い従業員が出世してしまう可能性があるのもデメリットだ。

出来の悪い人材が出世すると、部下に指示を上手く出せずチームのまとまりがなくなるかもしれない。

その他に、上司が足手まといとなり、他の従業員に迷惑をかけてしまう恐れがある。結果、他のメンバーが疲弊し業務効率の低下を招く。

出来の良い人材がいなくなる可能性がある

出来の良い人材が、評価の付け方に疑問を持ち始めると、会社に対する不信感につながる。不信感が生まれると、今の職場で働きたくないという気持ちが芽生えるかもしれない。結果、退職者が増えて出来の良い人材が抜ける原因になってしまう。

出来の良い人材がいなくなると、社内の業務効率が落ちる。最終的に会社の弱体化が進んでしまう。

マタイ効果による悪影響を軽減する方法

評価の不平等を失くすには、人事評価の仕方を考えるのが大事だ。ここでは、人事評価をする際のポイントを解説する。

人事評価の意義を理解させる

人事評価の意義を理解させる理由は、評価者に責任感を持たせるためだ。他人事だと思って評価をつける習慣があると、適当に評価する恐れがある。

場合によっては、仕事のスキルと関係なく自分が気にいった人材のみを出世させる評価者が現れるかもしれない。

この状態がさまざまな部署で起こると、会社の崩壊につながる。それを防ぐ意味でも人事評価の意義は理解させるべきだ。

なお、人事評価の意義を理解させる際は以下のことを伝えるといいだろう。

人事評価者の役割

人事評価者の役割を伝えると、どのような視点で評価をつけるべきか把握しやすくなり、適当に評価をすることを減らせる。

伝える内容としては「人事評価によって社内のパフォーマンスを高める」「人材育成をしやすくする」などが挙げられる。

誤った評価によるデメリット

誤った評価によるデメリットを伝えておくと、評価者に正しく評価しなければという気持ちが芽生えるはずだ。

業績悪化や従業員の退職増など、デメリットを2,3個伝えると良いだろう。会社を守る気持ちが芽生えて、適当な評価をつける従業員を減らせるはずだ。

会社に合う人事評価制度を導入する

会社に合う人事評価制度を導入することで、人事評価の質を高められるケースがある。その際、社風や従業員の規模などを考慮しながら、自社にマッチする評価制度を見つけることが大事だ。

なお、ひと口に人事評価制度といってもさまざまな形式がある。

目標管理制度

目標管理制度とは、前もって会社と従業員が目標を設定し、目標達成状況によって評価が決まる制度のことだ。目標の達成率が高ければ良い評価を得やすく、低ければ悪い評価を得やすいのが特徴だと言える。

この制度を導入すれば、良い評価を得るために目標達成に向けて業務に励むかもしれない。結果、従業員のモチベーションアップに役立つ。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、従業員の行動をメインで評価する制度のことだ。ちなみにコンピテンシーとは、社内でより良い成果を挙げられる従業員の行動特性のことを指す。

従業員の行動が会社に貢献できていると判断されれば、良い評価を得やすくなる。一方、会社に貢献できていない行動が多いと判断されると、悪い評価を得やすい。

能力やスキル以外の面が評価される分、アクションを起こして貢献している従業員ほど、良い評価を得やすくなる。

360度評価

360度評価とは、上司だけではなく同僚や部下など複数の従業員に評価してもらう制度のことだ。仮に評価者が1人だった場合、その人の采配によって評価が決まってしまう。

たとえば故意に悪い評価をつけられた場合だと評価者が変わらない限り、良い評価を得るのは難しい。したがって360度評価は、評価の偏りを防ぎたいときに便利だ。

複数の従業員に評価させることで、多角的に評価してもらえる。そのため、公平な評価が期待できるだろう。

公平な視点で評価を付けられる仕組みをつくる

公平な視点で評価を付けられる仕組みをつくることも大事だ。公平さがないと、会社の評価に対して不満を漏らす従業員が現れるかもしれない。それが社内に広まると、会社への忠誠心を失くす従業員が増えてしまう。

その状態をつくらない意味でも、公平な視点で評価を付けられる仕組みをつくるのは大事だ。ちなみに以下のポイントを意識すると、公平な評価制度にしやすい。

特定の部署に有利となる評価制度にしない

特定の部署に有利となる評価制度をつくると、良い評価を得づらい部署の従業員の不満が溜まる恐れがある。そのため、どの部署に配属されても公平な評価を得られる制度にすべきだ。

評価項目を全ての部署で統一するケースもあれば、部署ごとで評価項目を変えるケースもある。

勤続年数の長い従業員が良い評価を得られる状況にしない

勤続年数の長い従業員ばかり良い評価を得られる状況ができると、若手の従業員は成果を挙げてもうま味を感じない。若手とベテラン社員の間に不公平感が出やすくなるため、勤続年数の長い従業員が良い評価を得られる状況にすべきではない。

勤続年数が短くても結果を出せた従業員に良い評価を与え、勤続年数が長くても結果が出ていない従業員には、悪い評価を与える。社歴による不平等を減らすためにも、結果を残せば良い評価を得られる状態をつくることが大事だ。

固定観念が入っていないか確認しながら評価をつけさせる

固定観念が入っていないか認識しながら、評価をつけさせることも大切だ。その際、以下のことを意識させるといいだろう。

私情を排除しながら評価をつけさせる

私情を排除する理由は、中立的な視点に立たせて評価させるためだ。仮に頑張ったが、結果を出せなかった従業員がいたとする。評価する際に私情が入ると、結果が出ていないのに頑張ったということを理由に、良い評価をつけてしまう恐れがある。

そうなると、結果を出している従業員が不満を持つかもしれない。評価者は会社が設けた基準に沿って、正しく評価することが求められる。そのため、評価時に私情を持たせるべきではない。

評価者に過大(過小)評価していないか見直しをさせる

評価した後に、相手を過大(過小)評価していないか見直しをさせるのも大切だ。見直しをさせれば、自分の思い込みで評価をつけている箇所がないか発見しやすくなる。結果、公平な評価をさせるのに役立つ。

評価者を対象に、定期的な研修を実施する

評価する側に対して、評価者研修などを定期的に受けさせることも一つの手段だ。特に新任管理職など、新たに評価者側となった方に対しては必ず実施しておきたい。

下した評価に対して、他メンバーが指摘をすることは難しいため、初めのうちに学ぶ機会を設けることが良いだろう。社内で実施する場合には、人事部などが主導して開催することが望ましい。

人事評価の仕方は逐一変化させていく

人事評価の仕方を逐一変化させる理由は、時代によって評価基準や必要な項目が変わっていくからだ。時代に対応した人事評価制度を運営する上で重要だと言える。なお、人事評価の仕方を変える際は、以下のポイントを抑えると良い。

現状と理想を把握する

変える前には現状と理想を把握した方がいい。理由はゴール設定を、間違えないためだ。ゴール設定を間違えると、変えたことによって人事評価制度のクオリティの低下を招く恐れがある。

その状況で従業員を評価しても、正しい評価はできない。よって、現状と理想を把握するのは重要だ。

法的に大丈夫か確認しながら変える

人事評価の仕方を変える際は、法的に大丈夫か確認するのも大事だ。たとえば人事評価の中に、育休中の従業員が不利益を被る評価制度にしたり、人権侵害にあたる内容を盛り込んだりすると法律違反になってしまう可能性が高い。

人事評価の内容が法的に引っかかったことが社外に漏れた場合、会社のブランド力が低下するかもしれない。会社を守る意味でも法律面を確認しながら変えるべきだ。

シミュレーションを行った上で変える

人事評価を変えることが決まった場合、変えた後の人事評価制度が本当に機能するかシミュレーションすることも大事だ。シミュレーションすれば、問題点や改善点を見つけやすくなり、会社にとって理想の人事評価制度をつくりやすくなるだろう。

なおシミュレーションを行う際は「Plan(計画)→Do(実行)→Check(チェック)→Act(改善)」の順で回すといいだろう。何度もサイクルを回すことで、人事評価制度が磨かれていき、従業員にとって良い制度となるはずだ。

まとめ

マタイ効果は人事評価に不公平感が出てしまう原因になる。そのため、マタイ効果を失くすことは大事だと言えるだろう。なお、マタイ効果の具体例は以下の通りだ。

  • 支持する人が多いから、仕事の出来が良い従業員に見える
  • 率先して行動するから、スピーディーに物事を進める従業員だと思われる
  • 仕事を楽しんでいるから、業務に最適な人材だと思ってもらえる

これは人事評価においてデメリットだと言える。なぜなら能力のない人材が良い評価を得たり、能力のある人材が悪い評価を得たりする恐れがあるからだ。

その状況が社内で常態化すると、能力の低い上司が部下に指示して、チームの運用が上手くいかなくなり、会社の業績が悪くなるかもしれない。マタイ効果による被害を避ける意味でも、人事評価の仕方が大事になってくる。

なお、人事評価をする際は以下のことを意識すると良い。

  • 人事評価の意義を理解させる
  • 会社に合う人事評価制度を導入する
  • 公平な視点で評価を付けられる仕組みをつくる
  • 固定観念が入っていないか確認しながら評価をつけさせる
  • 人事評価の仕方は逐一変化させていく

公平に評価をつけることで、従業員も離れずに済む。よりよい会社にするためにも、マタイ効果によって、人事評価に不公平感が生まれないようにしていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • マタイ効果とは、周囲からの見られ方が評価に左右されることです。周りから指示されている人は良い評価を得やすくなるが、指示されていない人は悪い評価を得やすくなってしまいます。
  • 実績とかけ離れた評価をつけてしまう恐れがあるのがデメリットです。その結果、人事評価制度に不満を持つ従業員が増えて、優秀な人材が抜けていく原因になってしまう恐れがあるでしょう。
  • 評価者に人事評価の意義を理解させて、公平な評価をつけさせることが大事です。その他に固定観念が入っていないか確認させたり、時代の流れに合わせて人事評価の仕方を変えていったりするのも重要と言えます。
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