リスキルラボ マミートラックの原因と対策を紹介【出産後も働ける環境を作る】

女性活躍推進研修
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共働き世帯の割合は年々増加傾向にあり、ワーキングマザーの比率も急増している。しかし、マミートラックが原因で、子育てとキャリアアップとを両立できている女性は、日本ではいまだ少ないと言わざるを得ない。そういった現状がら、実力のある女性社員でも出世するのは難しい。

女性社員の能力を活かすのであれば、マミートラックを解消する必要がある。本記事では、マミートラックが起こる原因やデメリットを紹介しながら、対策方法を紹介していく。

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マミートラックとは

マミートラックとは産休や子育てをしている女性社員が、出世コースから外れることだ。この言葉は子育てとキャリアを両立させるという願いを込めて、アメリカで誕生した。

日本でも政府が中心となり、女性が活躍しやすい文化を作ろうとしているものの、男尊女卑が当たり前になっている企業も少なくない。それが原因で女性社員が退職する事例も起こっている。

マミートラックが起こる原因

ここでは、マミートラックが起こる原因を解説する。

企業の思い込み

たとえば「子育てが忙しそうだから任せる仕事量を減らした方が良い」「残業できないから簡単な仕事を中心に振った方が良い」と企業側が思い込んでしまうと、女性社員がキャリアを積めない状態を作ってしまう。その結果、成長の機会を奪いマミートラックを引き起こすことになる。

上司とのコミュニケーション不足

上司とのコミュニケーション不足が起こると、女性社員が自分の想いを伝えられなくなる。すると上司は、女性社員の考えを汲み取らずに勝手な判断をしてしまう。それがマミートラックへつながる。

マミートラックのデメリット

マミートラックには、様々なデメリットがある。どのようなデメリットがあるか紹介する。

モチベーションが低下する

簡単な業務しか任せてもらえず、自身のやりたい業務ができなくなる。常態化すると、業務への関心・意欲が失われ、モチベーションの低下を引き起こす。

キャリア形成が難しくなる

重要な仕事を任せてもらえないため、いつまで経っても同じステージで仕事をこなすことになる。能力を発揮できない状態が続き、社内でのレベルアップも厳しい。その結果、多くのチャンスが失われていき、キャリア形成が難しくなる。

職場に馴染めず退職してしまう

働きづらさを感じる女性社員は、職場に馴染めず退職してしまう。優秀な女性社員がいなくなると業務がスピーディーに進まなくなったりミスが増えたりして、チームとしての成果を挙げるのが厳しくなる。それが業績悪化の原因になってしまう。

マミートラックの対策方法

社内でマミートラックがあってはならない。ここでは、マミートラックの対策方法を紹介する。

働く女性への理解を深める

働く女性の気持ちを知ることが大事だ。社内でダイバーシティ研修やセミナーを行ったり、女性社員の声を聴く機会を作ったりすると、女性の気持ちが分かるだろう。

気持ちが分かる社員が増えれば、マミートラックを起こさない環境を作ろうとする働きが生まれやすくなる。そのため、対策方法として効果的だ。

制度の見直し

子育てに関わっている社員に対しての制度を見直すことも重要だ。たとえば、このような制度がある。

時短制度

時短制度とは、子育てなどによってフルタイムで働けない社員の勤務時間を短くする制度のことだ。法律によって時短制度の導入が義務付けられているため、該当する企業は時短制度を設けなければならない。女性社員は時短制度を活用すれば、フルタイムで働けないことによって退職せざるをえない状況を防ぐことができる。

基本的には3歳未満の子育てをする社員が対象だが、会社によっては小学校就学前まで設定している場合もある。

フレックス制度

フレックス制度とは、自由に勤務時間を設定できる制度のことだ。この制度を導入すれば、子供の予定に合わせて1日の勤務時間を変えられるため、子育てと仕事の両立がしやすい。たとえ子供の急病で欠勤しても、別日の勤務時間を増やせばカバーできるため融通が利く。自身の都合に合わせて勤務時間を変えられるため、便利な制度だと言えるだろう。

フレックス制度は、大きく分けて2種類ある。

コアタイムがあるパターン

コアタイムとは、社員が絶対に働かなければならない時間帯のことだ。たとえば平日の13~16時がコアタイムの場合、13~16時は出勤し、それ以外の時間帯で勤務時間を調整することになる。

コアタイムがないパターン

コアタイムがなければ、指定された時間内で自由に勤務時間を変えられる。そのため、コアタイムがあるパターンと比べると自由度は高い。勤務時間を24時間の中で調整できる場合もあれば、午前8時~午後22時というように時間が定められている場合もある。

リモートワーク

リモートワークとは、出社せずに仕事をする働き方のことだ。自宅やコワーキングスペースなど様々な働き方がある。リモートワークを導入すれば、自宅での勤務が可能になるため外出せずに済む。子供の面倒を見ながら働けるため、子育て中の女性社員に最適だ。

リモートワークを行うときは、以下のことに気を付けると良い。

社員同士でコミュニケーションをとる

リモートワークでは、周囲に同僚がいないため孤独感を感じやすい。社員の孤独感は仕事へのモチベーションや業務クオリティの低下を招く。よって、社員同士でコミュニケーションをとる時間は定期的に作った方が良い。仕事に関するミーティングの他に、雑談の時間も確保すると距離感が縮まりやすくなる。

セキュリティ対策を行う

セキュリティソフトのインストールや、パソコンやデータの保管・管理の徹底など、様々な視点で対策を講じるべきだ。社内情報の流出は、会社に損害を与える。その状態を起こさない意味でもやった方が良い。

長時間労働にならないようにする

リモートワークの場合、仕事とプライベートの時間が混在してしまい、無意識のうちに長時間労働になっている場合がある。したがって、長時間労働にならない仕組み作りも大事だ。「退勤時間以降は仕事ができないようにする」など、対策を講じるといいだろう。

育休制度

育休制度とは、子供を育てている社員が休みをとれる制度のことだ。代表的なのが「育児休業」だ。育児休業とは1歳未満の子育てをしている方が利用できる制度のことで、法律によって定められている。

休業中、給与の一部が手当として支給されるため、金銭的な負担を抑えるのに役立つ。しかも退職扱いにならないため、育休後も同じ会社で働き続けたい女性社員にとって最適な制度だと言える。

補助金

出産や子育てがしやすいように、補助金を給付する制度もある。子供がいる社員に支給される「児童手当」など法律によって支給されるものもあれば、会社が独自で給付するケースもある。

補助金を有効活用すれば、女性社員には働きやすい環境が手に入る。たとえば、補助金を活用してベビーシッターを活用すれば、家事の時間が短くなり仕事に時間を割くことが可能だ。すると、子育て中の女性社員でもキャリアを築きやすい状態ができる。よって、マミートラックを防ぐのに役立つ。

企業内託児所

企業内託児所を利用すれば、勤務地と同じ場所に子供を預けられる。同じ敷地内に子供がいるため、仕事に取り組みやすい状態ができる。それが女性社員のキャリア形成を支えることにつながっていく。

仕事の仕組みの見直し

仕事の仕組みを見直すと、女性社員が働きやすい環境ができる。それがマミートラックの解消につながる。たとえば以下のことを導入すると、仕組みの見直しに役立つ。

ワークシェアリング

ワークシェアリングとは、業務を複数人でシェアしながら進めていく働き方のことだ。特定の社員に業務が偏っている状態を解消するのに役立つ。業務をシェアすれば、負担が減るため子育て中でも働きやすい。無理せず働ける環境ができるため、マミートラックの防止に役立つ。

キャリアの思考に適した配置

キャリアの思考に適した配置を重視することも大事だ。女性社員が理想としているキャリアを極力描けるような役割を持たせれば、子育てをしながらでもキャリアを築きやすくなる。女性社員の希望や性格を考慮しながら、適切な役職を与えるといいだろう。

定期的な1on1ミーティング

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1でミーティングすることだ。定期的に1on1ミーティングをすれば、上司は女性社員の現状や気持ちなどが分かる。上司の思い込みが発生する状態を防げるため、マミートラックの防止に役立つ。

タイムマネジメント

タイムマネジメントとは、業務の効率化を目的に時間を上手く活用することだ。時間の使い方が上手くなれば、今までと比べて短い時間で業務をこなせる。他の業務をこなす余裕が生まれると新たなことに挑戦でき、キャリアを築きやすくする。したがって、マミートラックの解消に役立つ。

研修の実施

女性活躍研修や、育児・介護・病気対応研修などを、管理職レベルに受けてもらうことも良いだろう。

・今いる人材をどのように活かしていくのか
・仕事と出産や育児を両立してもらうために、企業としてできることは何か
・管理職としてフォローしていきたいことは何か

などを明確にすることができる。ぜひ検討してほしい。

企業の取り組み例

マミートラックを防ぐ取り組みを行っている企業もある。最後に取り組み例を紹介する。

アサヒグループホールディングス

アサヒビールの製造などを行っているアサヒグループホールディングスでは、女性社員のキャリアアップに力を入れている。社内セミナーの運営、外部研修への派遣などを行い、子育てをしている社員でもキャリア形成しやすい仕組みを作っている。さらに子育てと仕事の両立で悩む女性社員への相談会(ワーキングマザーネットワーキング会)も行うことで、安心して働ける環境を実現した。

また、一定の条件を満たせば育児などによって退職した社員が再入社できる「ウェルカムバック制度」もあるため、退職した女性社員が再度キャリアを形成することも可能だ。再チャレンジできる環境があるのも、メリットだと言えるだろう。

資生堂

資生堂の社員は半分以上が女性だ。それもあってか、子育て中の女性でもキャリアを築ける仕組みが多い。たとえば「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」では、管理職候補の女性社員に向けて、リーダーにとって役立つ講義を行っている。参加者同士で意見交換の時間も設けており、お互いが高め合いながら受講できる。

また手当ての面では、保育料の一部補助を実施している。経済的負担が減ることで、保育園を利用しやすくなった。マミートラックが起きないように、女性社員が働きやすい状態を作っているのが特徴だ。

メルカリ

メルカリでは「mercibox」と呼ばれる形で、育児中の社員に対する福利厚生を充実させている。たとえば、産休や育休が終わって復職した社員には「復職一時金」が支給される。そのため、子育て環境を整えるのに役立つ。

また子供の看護が必要になった場合は、1年間に最大10日間まで休みをとれる制度もある。子供と過ごす時間を大事にしたい女性社員にとって最適だ。

また社内ではタイムマネジメントにも力を入れており、不要な会議を長時間行わないようにしている。女性社員が働きやすい環境を作ることで、マミートラックの防止を実現させた。

まとめ

たしかに、結婚を機に苗字の変わる女性は特にだが、男性に比べて手続きが多くなる傾向がある。新居探し、引っ越し、式場の手配、ブライダルエステなどの準備、各種クレジットカードの氏名・住所変更、印鑑登録、など。
※参考:めんどうだけど・・・やらなきゃ!女性の入籍後の手続きまとめ(花嫁の夢を叶える結婚式場探しサイト「ハナユメ」より。)

マミートラックが常態化すると、子育てをしている女性社員がキャリアを築くのは難しい。女性社員の可能性を潰したり、優秀な人材がいなくなったりする状態が生まれるため、自社に損失を与える。その状況を作らない意味で、マミートラックの解消・予防は重要だ。

マミートラックがなくなれば、女性社員が活躍しやすくなり会社に活力がつく。結果、自社の業績アップが期待できる。マミートラックの対策として、以下の方法がある。

  • 働く女性への理解を深める
  • 制度の見直し
  • 仕事の仕組みの見直し

上記に力を割けば、マミートラックが生まれづらい。女性社員が能力を発揮できる状態が生まれて、会社にとってプラスになる。以下の企業では、女性社員が活躍しやすい仕組みを作り、マミートラックの防止に力を入れているようだ。

  • アサヒグループホールディングス
  • 資生堂
  • メルカリ

女性社員向けに研修を行ったり、子育てしやすい環境を整えたりなど様々な事例がある。子育て中の社員が力を発揮できる状態ができれば、会社に活力を与える。その状態を作るためにも、マミートラックの防止に力を入れていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • マミートラックとは、子育てをしている社員が出世コースから外れることです。子育て中の女性社員に対する理解不足、簡単な業務ばかりさせることが原因で起こっています。
  • 女性社員の出世が難しくなり、強みを発揮しづらくなります。また、会社の居心地が悪くなり優秀な人材を失うことにもなりかねません。
  • 会社として女性社員への理解度を高め、働きやすい環境を作ることが大事です。その他に、業務のプロセスや役割分担などを見直すことも忘れてはいけません。
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