リーダーシップが重要という言葉はよく聞くが、具体的にどのような行動・発言がそれにつながるかについては、理解が曖昧な場合が多い。
リーダーシップは発揮することで仕事が円滑に進み、周囲との信頼関係を上手く築くことにもつながる有用なスキルだ。
本記事を通して、「リーダーシップとは何か」を改めて理解した上で、今の自分自身にどの程度スキルが備わっており、強化すべき部分はどこかを見つけるきっかけとしてほしい。
リーダーシップとは「指導力」を意味する言葉だ。チームをまとめて、メンバーが目標達成できる状態へ持っていくために行われる。
近年では、社員にリーダーシップを求める企業が多くなった。理由の一つが「多様化(ダイバーシティ化)」の推進だ。様々な価値観を持つ社員が集まっている会社も珍しくない。
異なる考えを持つメンバーたちを先導する上で、リーダーシップの習得は不可欠だ。
しかしリーダーシップと言っても種類は多く、定義も複数存在する。本記事では、経営学者のドラッカーが掲げている定義をもとに解説していく。
ドラッカーはリーダーシップの定義として3つ挙げている。定義の内容は以下の通りだ。
ドラッカーいわく、リーダーシップは資質ではなく仕事だと述べている。ここでの仕事とは、利益を挙げるための行動を指す。仕事の質が高くなるほど、リーダーシップのクオリティも高まっていく。
チームで目指すべき目標を明確にしたり、メンバーが成果を挙げやすい環境を作ったりなどリーダーとしてとれるアクションは多い。
会社の業績を上げるために何ができるか考えながら、行動することが大事だと言えるだろう。
ここでの責任とは、以下のことを指す。
・チームメンバーを成長させる責任
・組織の発展に貢献する責任
・社会貢献に務める責任
リーダーは権力を行使するのではなく、チームとして上記の責任を果たすことが求められる。
他のメンバーを巻き込みながら目標達成を目指し、メンバーが成果を挙げやすい環境を作ることが大事だ 。
信頼とは、会社やメンバーからの信頼を指す。ドラッカーはリーダーに必要な要件として「リーダーを信じてついていく者がいること」と述べている。
会社やメンバーの期待に応えて、信頼される状況を作っていくことが大事になるだろう。
リーダーシップとマネジメントを混同している方も見られる。
この2つの違いは以下の通りだ。
リーダーシップとは、目標達成のために統率することを指す。部下が成果を挙げるために必要なアクションをとれる状態を作っていく。
自ら行動することに力を注ぐため、プレイヤーとしての視点が強くなる。
マネジメントとは、目標達成に向けて戦略や手法を考えることだ。施策を考えて部下に共有することで、成果を挙げられる環境を作っていく。
部下の管理に注力するため、マネージャーとしての視点が強くなる。
役職によっては、リーダーシップとマネジメントを両方とも活用しながらチームを運営するケースもある。正しく使い分けるには、両者の違いを知っておくことが大切だ。
なお、リーダーシップから身に付けるとマネジメントスキルを高めやすい。そのため、リーダーになりたての方は、リーダーシップから身に付けることをおすすめする。
最後にリーダーシップを身に付ける方法を紹介していく。
組織や企業のミッション・ビジョンを浸透させる理由は、メンバーが目標達成できる状態を作るためだ。ミッションとは「必要なアクション」。ビジョンとは「実現したい未来」を指す。
リーダーはミッション・ビジョンを理解した上で、リーダーシップを発揮しながらチームを先導する。チームメンバーにミッション・ビジョンが浸透されると、自発的に動く社員が増えていく。そのため、チームの戦力アップにつながるだろう。
リーダーが企業から求められている役割を理解することで、それに沿った行動が可能となる。
また、「役割を果たすためにリーダーとして〇〇を実施する」と、行動や発言が具体的になっていくため、リーダーとしての行動が曖昧なものにならずに済むという効果もあり、理解しておくことが良いだろう。
模範として行動する理由は、メンバーがアクションを起こしやすい状況を作るためだ。リーダーがアクションを起こすことで、動けるメンバーもいる。
メンバーを巻き込みながらチームの業務効率を高めることで、成果が出やすい状況を作っていく。
メンバーを育成する理由は、全メンバーが成長できる環境を作るためだ。会社を成長させるには、チームの成長が大切だと言える。
メンバーを育成すれば、対応できる業務の種類が増えていく。さらにリーダーから学んだことを、別のメンバーに受け継ぐ文化もできあがる。結果、自然と社員たちのスキルが高まっていく環境ができるため、チームの成果も挙げやすくなるだろう。
メンバーが働きやすい環境を整えることもリーダーの役割だ。働きやすさを感じることができればメンバーはアクションをとりやすくなり、チームにまとまりができていく。
リーダーと部下で情報共有しやすい環境を作ったり、チームメンバーのサポート体制を整えたりすることで、働きやすさを感じるはずだ。
社内でコミュニケーションを積極的にとる理由は、メンバーのことを知るためだ。チームメンバーと対話する機会を増やせば、性格や悩み・進捗状況などの情報を集められる。メンバーを知ることが、質の高いリーダーシップにつながっていく。
なおコミュニケーションをとる際は、以下のポイントを抑えると良い。
自分が話したい内容を上手に伝える理由は、相手に話の内容を理解してもらうためだ。コミュニケーションは両者が話の内容を理解できて、初めて成立する。
相手の目線に立って言葉を選んだり具体例を交えて話したりすると、受け手の理解度が高まるため、意思疎通しやすくなるだろう。
部下の話を適切に聞く理由は、相手の興味・関心を知るためだ。コミュニケーションを活性化させるには、相手のニーズに沿って話題を振ることが大切だと言える。
例えば部下に質問をしたり、リーダーが聞く側に回ったりすれば、相手のニーズを把握しやすくなるため、コミュニケーションをとりやすくなるだろう。
全社員が話しやすい職場環境を整える理由は、コミュニケーションを活性化させるためだ。社員たちの発言が増えれば、会社に有益な情報が集まりやすくなる。そのため、会社の成長にもつながっていく。
なお全社員が話しやすい職場環境を整えるときは、心理的安全性の確保が大切だ。心理的安全性とは、自分の意見を伝えやすい状況のことを指す。
業務以外で会話をする機会を作ったり、社員間で感謝の気持ちを伝え合ったり、部下へのサポート体制を手厚くしたりすることで、話しやすい雰囲気ができあがるだろう。
統率力をアップすれば、メンバーたちを正しい方向へ導きやすくなるだろう。統率力があるリーダーは、メンバーから見ると魅力的に見える。チームメンバーのモチベーションアップにつながるため、チームの士気を高めるのに役立つだろう。
統率力をアップするポイントは以下の通りだ。
決断力を持つ理由は、メンバーがついていきたいと思うリーダーになるためだ。決断力のあるリーダーは責任感があったり、自分の考えが明確だったりする。
リーダーになると、選択に迫られることが多い。タスクをスムーズにこなす意味でも、決断力を持つことは重要だ。
メンバーからの信頼を得れば、リーダーについていく社員が増える。仕事の能力が高くても、メンバーからの信頼がないリーダーにはついてこない。
メンバーをサポートしたり声をかけたりして、信頼関係の構築に務めると良いだろう。
問題解決力の向上を目指す理由は、問題解決している姿をメンバーに見せるためだ。リーダーとして、目の前の問題を解決しないといけない場面もある。
問題解決できれば、メンバーから頼もしいリーダーだと思われて部下からの評価が高まりやすい。結果、メンバーから信頼されるリーダーになっていく。
なお、問題解決力の向上を目指すポイントは以下の通りだ。
できる理由を探す理由は、目の前の問題から逃げないリーダーになるためだ。問題によっては、難易度が高くて、一筋縄ではいかないケースもある。
普段からできる理由を探すクセがついていれば、問題解決のための手がかりやヒントを見つけるスキルが身に付くため、問題解決力の向上につながっていく。
疑問を持つ習慣を作る理由は、潜在的な問題に気づくリーダーになるためだ。小さなうちに問題を発見できれば、課題を解決しやすくなる。
初期段階で問題解決できるスキルを身に付けられるため、問題解決力の向上に役立つ。
物事を可視化する理由は、現状を分かりやすくするためだ。物事を可視化できれば、事象の本質が見えて問題解決までの時間を短縮できる。決められた時間内で多くの問題を解決できるリーダーになれるだろう。
なお、数字を用いたり分析ツールを活用したりすると可視化しやすい。
リーダーシップ研修を受講した方が良い理由は、リーダーシップに必要なスキルを効率的に身に付けるためだ。プロから学べばリーダーシップに関する知識を教わることができるため、理解しやすいだろう。
しかもリーダーシップ研修は、リーダーだけではなく次期リーダーになる社員にも役立つ。支援型リーダーシップ研修やPDCA強化編もあるため、ニーズに合わせて選ぶと良いだろう。
全社員がリーダーシップを身に付ければ、チームのパフォーマンスが上がり、組織や企業の業績アップにつながっていく。
経済学者のドラッカーは、リーダーシップの定義として以下の内容を挙げている。
様々なメンバーがリーダーシップを身につければ、自発的にアクションをとる人材が増えて、チームの戦力アップにつながるだろう。
なお、リーダーシップを身に付けるポイントは以下の通りだ。
上記を意識すれば、リーダーシップは身に付く。チームの業務効率をアップさせるためにも、力を入れていただきたい。