リスキルラボ 短時間勤務制度とは|導入時の注意点・事例も紹介【安心して働ける状態を作る】

働き方改革研修
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子育てを理由に優秀な女性従業員を手放すのは、企業にとって損失になる。そんなときに活用できるのが「短時間勤務制度」だ。短時間勤務制度の導入によって、子育て中の女性が働きやすくなった。そのため一昔前と比べると、女性の社会進出がしやすい。しかし短時間勤務制度を上手く導入しないと、短時間勤務制度を広めるのは難しい。

本記事では短時間勤務制度の概要やメリットを紹介しながら、導入時の流れや注意点・事例などを解説していく。

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短時間勤務制度とは

短時間勤務制度とは、労働時間を短くして働かせることだ。育児・介護休業法の中に盛り込まれており、フルタイムで働く従業員に適用される。

企業の中には、短時間勤務制度の導入によって退職者を減らしたケースもある。よって、女性従業員に長く勤めてほしいのであれば、短時間勤務制度は設けた方がいい。

短時間勤務制度の背景

短時間勤務制度が設けられた背景は「少子化問題の解消」だ。たとえばフルタイムでしか働けない状況だと、仕事と家庭の両立は難しい。なぜなら、仕事or家庭のいずれかを選択する状況になるからだ。

仕事を選択するとプライベートの時間がなくなり、仕事を辞めれば経済的負担が重くのしかかる。その結果、子供を作らずに働く女性が増えた。それを解決する目的で登場したのが短時間勤務制度だ。短時間勤務制度の誕生で、女性従業員はフルタイムから短時間勤務への切り替えがしやすくなった。労働時間が短くなれば、子育ての時間を確保しやすい。子育てと仕事が両立できる女性従業員が増えれば、自身の子供を産もうとする女性が増えていく。それが少子化問題解消につながる。

短時間勤務制度の対象者

以下の条件にすべて当てはまる労働者が、短時間勤務制度の対象となる。

  • 3歳未満の子供を育てている労働者
  • 1日の労働時間が6時間以下ではない
  • 日雇いではない
  • 短時間勤務制度導入時に育休をとっていない
  • 労使協定によって対象外とされていない

ただし上記に該当しなくても、条件を緩和して短時間勤務を認めている企業もある。

短時間勤務制度のメリット

短時間勤務制度を導入するメリットは以下の通りだ。

仕事とプライベートのバランスをとりやすい

労働時間が短くなる分、プライベートを確保しやすい。子育てに時間を割いたり、趣味に時間を充てたりできる。結果、ワークライフバランスを整えるのに役立つ。仕事とプライベートのバランスがとれるため、ストレスが溜まりづらくなる。

キャリア形成しやすい

短時間勤務終了後は短時間勤務開始前と同じ状況で、フルタイムとして働ける。そのため、子育て中の方もキャリア形成しやすい。管理職を目指して仕事に励むことも可能だ。

子育てによる退職者を減らせる

子育てを理由に退職を考えていた従業員を減らせるのもメリットだ。短期間勤務制度がなかった時代は、優秀な人材でも子育てを理由に退職する方が多かった。

しかし短時間勤務制度を活用すれば、子育てを理由に退職せずに済む。結果、短時間勤務制度は退職者を減らすのに役立つ。

短時間勤務制度の導入の流れ

ここからは、短時間勤務制度の導入の流れを紹介していく。

⓵制度の流れを理解する

短時間勤務制度の流れを理解すべき理由は、支障をきたすことなく導入するためだ。社員が理解できていないと、短時間勤務制度を開始するにあたり、何をすべきか分からない。結果、短時間勤務制度の導入に時間がかかってしまう。

しかし人事部や経営陣・各部署の管理職など、様々な方が理解すれば、短時間勤務制度の導入するにあたり、何が必要か分かる。そのため、スムーズな導入ができる。

⓶就業規則を改定する

就業規則の改定を行う理由は、短時間勤務制度の従業員に適用されるルールを作るためだ。改定しなかった場合、不満が出た際に具体的な提示ができない。その結果、会社として対応しづらくなる。

しかし従業規則を改定すれば、従業員から不満が出た際に具体的な解決策を提示できるため、トラブルに発展するのを抑えやすくなる。従業員と会社の間で亀裂を生まないためにも、短時間勤務制度に合う就業規則に変えた方がいい。なお就業規則の改定時は、以下のことを抑えておくといいだろう。

従業員の意見を参考にする

勝手に就業規則を改定すると、従業員から不満が出るかもしれない。反対運動が起こると、短時間勤務制度の導入が難しくなる。余計な時間を使わないためにも、従業員たちの意見を反映させながら改正することが大事だ。

改正後は労働基準監督署へ提出する

就業規則を改正した後は、改正後は速やかに管轄の労働基準監督署へ提出しなければならない。遅くとも改正してから1カ月以内には、提出した方がいいだろう。

⓷申請マニュアルを作成する

短時間勤務制度を設けても、利用率が低いと意味がない。短時間勤務制度を利用させるには、対象の従業員に申請してもらう必要がある。したがって、申請マニュアルの作成も大事だ。

しかし申請マニュアルを作成しても、利用しづらいと広まらない。したがって、分かりやすいマニュアルを作成する必要がある。マニュアル作成時は、以下のステップで進めることが大事だ。

ステップ⓵マニュアルの内容を決める

申請マニュアルの内容を決める所から始まる。ここでの注意点は、余計な内容を入れないことだ。内容を盛り込みすぎると、マニュアルが分かりづらくなる。よって、最低限の内容のみにすべきだ。

ステップ⓶時系列に沿って記載する

内容が決まったら、時系列に沿って記載していく。申請の手順を簡単に書き出して、それをもとに記入すれば、スムーズに進むだろう。

ステップ⓷マニュアルを運用してみる

マニュアルを作成したら、実際に申請してみる。そのときに大事なのが、マニュアル以外の情報を見ずに行うことだ。申請者はマニュアルの内容のみを見て作業する。そのため、脳内をまっさらにした状態で運用テストを行うことが大事だ。

ステップ⓸マニュアルを改善する

運用してみて作業が止まったり、分かりづらかったりした箇所を中心に改善していく。マニュアルのスタートからゴールまで、滞りなくできるまで繰り返す。何も問題がなければ、正式に申請マニュアルとして認めていいだろう。

⓸従業員へ周知する

短時間勤務制度導入の準備が出来ても、利用されなければ意味がない。よって、従業員への周知が必須となる。なお従業員へ周知するときは、以下のことを行うといい。

上司に説明させる

たとえば部長や課長が、朝礼やミーティングのときに部下へ話せば、多くの方に周知できる。各部署の管理職に、周知の協力を呼びかけると多くの従業員へ周知できる。

書面の掲示

書面が記載してある紙を掲示して、従業員へ伝える方法もある。職場の入り口付近など、従業員の出入りが多い場所や目につきやすい場所へ掲示すれば、周知につながる。

グループチャットでの周知

職種柄、従業員が職場にいないケースもある。その場合は、グループチャットで周知する方法もある。

パソコンやスマートフォンで確認できるため、社内にいない従業員にも伝えられる。そのため営業職や出張が多い従業員など、外回りが多い方へ周知するときに役立つ。

短時間勤務制度導入時の注意点

短時間勤務制度導入時には、様々な注意点がある。ここでは4つの注意点を紹介する。

ルールを社内規定として明記しなければならない

短時間勤務制度のルールを社内規定として明記するのは必須だ。誰が見ても明確に分かる文言で記載することがコツだ。

申請手続きによって従業員に過剰な負担を負わせないようにする

申請手続きの負担が大きいと感じると、申請率の低下につながる。対象者に利用させるには、申請者の負担を小さくした方がいい。

たとえば「人事部で一部作業を行う」「申請対象者に説明会を行う」といった形でサポート体制を作れば、申請者の負担が軽くなる。結果、利用者の増加につながる。

育児休業など他の手続きとの整合性も考えて決める

整合性を考える理由は、他の制度を利用している従業員との間に不平等な状態を作らないためだ。従業員間で不平等な状態ができると、職場の雰囲気を悪くする。

たとえば育児休業よりも短時間勤務制度の方が良い待遇だと、育児休業を利用している従業員から不満の声が出てしまう。嫉妬や妬みが生まれて従業員間の関係性が悪くなる。するとチームワークが乱れてしまう。その状態を作らないためにも、短時間勤務制度の内容を決めるときは、不平不満が出ないように他の手続きとの整合性を考えた方がいい。

短時間勤務制度を理由に不利益を与えてはいけない

短時間勤務制度を取得したことを理由に、不利益を与えてはいけない。たとえば、以下の内容が当てはまる。

  • 自宅から通えない場所に転勤させた
  • 実力があるのに出世できない
  • 不祥事を起こしていないのに降格させる

これらの行為は従業員に不利益を与える。差別が生まれないよう、正当な評価を心掛けるべきだ。

短時間勤務制度の導入事例

最後に短時間勤務制度の導入事例を紹介する。

トヨタ自動車

トヨタ自動車では、小学4年生までの子供を抱えている従業員に対して、時短制度を設けている。1日あたりの勤務時間は「4時間」「6時間」「6時間半」「7時間」の中から選択できる。ライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるため、子育て世代の従業員が働きやすい会社だと言える。

ソニーネットワークコミュニケーションズ

ソニーネットワークコミュニケーションズでは、子育てをしながら働けるように「両立支援制度」と呼ばれる制度を設けられている。その中には6時間の時短勤務制度が含まれているため、フルタイムで働く場合と比べて、子育ての時間を確保しやすい状況だと言える。

また、時短制度の他にフレックスタイムを使うことも可能だ。フレックスタイムを使えば、勤務時間帯を調整できるため、生活に合わせて働く時間帯を変えられる。よって、子育て世代の従業員にとって働きやすい職場だと言える。

富士通

富士通では、小学6年生までの子供を持つ親に時短勤務制度が適用される。1日の勤務時間は「6時間、6.5時間、7時間、7.5時間」の4種類から選択できる。

また「女性リーダー育成プログラム」など、女性社員が活躍できるサポート体制も整っている。よって、キャリア形成を目指す女性に適した環境だと言えるだろう。

まとめ

一昔前は、子育てを理由に退職する女性従業員が多かった。しかし現代においては「短時間勤務制度」が設けられたことで、子育て中の女性が働ける職場環境を作りやすくなった。その結果、子育て中の女性従業員でもキャリア形成ができ、子育てによる退職者を減らすのにも役立つ。

現在では育児・介護休業法によって、対象となる従業員には原則として短時間勤務制度を適用しなくてはならない。そのため、会社として短時間勤務制度の導入方法は覚えておいた方がいい。短時間勤務制度を導入する際は、以下の流れに沿って行うことが大事だ。

  • ⓵制度の流れを理解する
  • ⓶就業規則を改定する
  • ⓷申請マニュアルを作成する
  • ⓸従業員へ周知する

上記の流れに沿って行えば、社内に短時間勤務制度が根付くはずだ。その他に短時間勤務制度を導入する際の注意点もあるため紹介する。

  • ルールを社内規定として明記しなければならない
  • 申請手続きによって従業員に過剰な負担を負わせないようにする
  • 育児休業など他の手続きとの整合性も考えて決める
  • 短時間勤務制度を理由に不利益を与えてはいけない

上記のことに注意すれば、運用後にトラブルに巻き込まれることも減る。短時間勤務制度は、優秀な従業員に働いてもらう上で効果的な制度だ。子育てをしながら仕事に取り組む女性従業員が増えれば優秀な人材を失わずに済む。会社の戦力を上げるためにも、短時間勤務制度の導入に力を入れていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 短時間勤務制度とは、フルタイムで働いていた従業員に、時短勤務をさせることです。育児・介護休業法の中に盛り込まれており、条件に該当する従業員は利用できます。
  • 短時間勤務制度の概要を理解し、就業規則を改定します。その後、申請マニュアルを作成し、従業員たちに申請してもらう流れとなっています。対象者に利用してもらうための周知を忘れてはいけません。
  • 短時間勤務制度のルールを社内規定に記載しなければいけません。さらに他の制度を利用している従業員との整合性を考えて、短時間勤務制度を使っている方に不利益を与えないことが重要です。
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