リスキルラボ 時短ハラスメントの概要・対策方法を解説【勤務時間短縮による働きづらさを解消する】

ハラスメント研修
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日本では長時間労働が問題視されたこともあり、残業や休日出勤などを減らし労働時間を短くする取り組みが行われている。良い取り組みではあるものの、「時短ハラスメント」が生まれる原因になった。時短ハラスメントの被害者の中には、残業や休日出勤を増やしたいと感じる方もいるようだ。

ハラスメントの被害を失くすには、予防・解消が重要だ。そこで今回は時短ハラスメントの概要を紹介しながら、対策を見ていく。

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時短ハラスメントとは

時短ハラスメントとは、労働時間の短縮が原因で起こるハラスメントのことだ。

働き方改革の一環として国内で取り組まれてきたが「期日内に仕事を終えるのが厳しくなった」「仕事の質が落ちた」など、新たな悩みが生まれた。

会社としては労働時間が減っても成果を得たい。成果を挙げようと、上司は部下にプレッシャーをかけていく。その結果、時短ハラスメントが生まれやすくなった。

時短ハラスメントの一例

時短ハラスメントには、様々なパターンがある。ここでは一例を紹介する。

膨大な業務量の押し付け

膨大な業務量の押し付けは、時短ハラスメントでよくある。たとえば「時間内に処理できないと把握しながら業務を指示する」のは、このタイプに当てはまる。

サービス残業が生まれやすい状況を作る

意図的にサービス残業が生まれやすい状況を作るのも、時短ハラスメントの一種だ。上司は「明朝に会議があるため、今日中に終わらせなければいけない」といった形で理由を述べて、サービス残業の状態へ持っていく。部下は定時で帰れなくなり、タダ働きする羽目になってしまう。

時間内に終わらなかったことに対する叱責

時間内に作業を完了させるのが難しいと分かりながら、終わらなかったことに対して叱責するのも時短ハラスメントの一種だ。何度も叱られると、部下は精神的に滅入って委縮してしまう。自信をなくし悪循環を生み出す原因になる。

時短ハラスメントが起こっている背景

ここからは、時短ハラスメントが起こっている背景を紹介する。

働く時間が減った

残業や休日出勤が減った結果、職場で働きたくても働けない時間が増えた。その結果、時短ハラスメントの多発につながった。社員の中には上司から怒られないように、仕事を自宅へ持ち帰る方もいる。

人件費の節約

人件費の節約を意識している企業が多いのも、時短ハラスメントが起きている背景だ。将来的に業績が悪くなると見越して、人件費を抑えている企業も多い。

人件費を抑えるのが当たり前になっている会社では、残業代や休日出勤手当が発生しないように社員の労働時間を短くしていく。それも時短ハラスメントが起こる背景だと言える。

人材不足

会社によっては、人材募集しても応募者が来ない場合がある。すると社員の業務量が増えていく。その状態で勤務時間が短縮されると業務はどんどん溜まり、時間内に処理できなくなる。結果、時短ハラスメントが起こりやすい状態を作り出す。

時短ハラスメントが会社へ与える悪影響

時短ハラスメントは、会社に様々な悪影響を与える。ここでは、どのような悪影響があるか紹介する。

業務クオリティの低下

時間に追われて仕事をするのが当たり前になる。すると心の余裕がなくなり、焦って仕事をする機会が増える。それが業務クオリティの低下を招く。

業務クオリティが低下するとミスが多発したり、出来栄えの悪い成果物を納めたりする機会が増えて、社員や消費者の信頼を失う。最終的に会社のイメージが悪くなり、経営難に見舞われる。

仕事の生産性ダウン

気が小さい社員の場合、時短ハラスメントの被害に遭うと上司の視線を気にしだす。普段通り仕事をこなせない状態になり、仕事の生産性ダウンにつながる。

仕事の生産性が落ちると時間内に業務を終えるのが難しくなり、社内の業務が回らなくなっていく。商品やサービスの安定供給が難しくなり、クライアントや顧客に迷惑をかける事態になってしまう。

体調不良者の増加

労働時間が短くなった状態で、今までと同じ量の業務をこなす環境が生まれる。そのため、無茶な働き方をしてしまう恐れがある。無茶な働き方は過労を生み出す。結果、体調不良者の増加へつながる。

管理職へのしわ寄せが発生

基本的に部下ができていない作業は、上司がカバーする。時間内に終わらなかった作業が増えると、上司が尻拭いする状態が増えていく。結果、管理職へしわ寄せが発生する状態が当たり前になってしまう。

時短ハラスメントの対策

時短ハラスメントは、適切な対策をとれば解消できる。最後に時短ハラスメントの対策方法を紹介していく。

業務量の改善

業務量を改善すると社員の負担が減り、無理のない働き方になっていく。作業が残らなくなり、上司に怒られる頻度も減る。したがって、時短ハラスメントの対策に役立つ。業務量の改善では、以下のことを心掛けると良い。

業務の優先順位を確認する

不要な業務や緊急性の低い業務を任せることが、時短ハラスメントの原因になっている場合がある。それを解消したいときに、業務の優先順位を確認するのは役立つ。

この作業を行えば業務の優先順位が低い業務を把握できる。その業務を指示しない状態を作れば業務量は減っていく。したがって、業務量の改善に役立つ行動だと言える。

各社員のタスクをチェックする

各社員のタスクをチェックすると、負担が大きい社員と小さい社員が明確になる。メンバー間で業務のバランスを調整しやすくなるため、業務量を改善しやすい。

タスクをチェックするときは、業務の内容と所要時間は全て書き出すことが大事だ。各社員の働き方がイメージしやすくなり、業務を振り分けるのが楽になる。

業務プロセスの見直し

業務プロセスが理由で、時間内に業務をこなせない場合もある。そのときは、業務プロセスを見直すといい。以下のことを意識するといいだろう。

プロセスを可視化する

プロセスの可視化では、プロセスの内容や所要時間を具体的にすると良い。不要だったり、時間を削ったりできるプロセスを発見しやすくなり、効率的にプロセスの見直しができる。

当たり前を疑う

固定観念で、そのプロセスを行うべきと思い込んでいる場合もある。この状態から抜けるには、本当に必要なプロセスか疑った方がいい。疑うことを意識すれば、不要なプロセスを発見しやすくなる。そのため、見直しの質を上げやすくなる。

ITツールを活用できる箇所がないかチェックする

プロセスの中には正確性や予算を考えると、ITツールを活用した方が効率的な場合がある。したがって、ITツールを活用できる箇所がないかもチェックした方が良い。人の手で行う場合とITツールで行う場合の時間や正確さなどを把握しておくと、ITツールを導入すべき箇所を見つけやすくなるだろう。

しかしツールと言っても、様々なものがある。活用できないツールを選んでも意味がない。効果的にツールを使うためにも、使用用途や予算などを考慮しながら選ぶことが大事だ。

クライアントとの調整

クライアントへの納期が短すぎて、時短ハラスメントが起こる場合もある。そのときは、クライアントとの納期を調整して、無理のない体制で働ける環境を作ると良い。すると作業に追われることが減るため、時短ハラスメントの対策につながる。

しかしクライアントに依頼したからと言って、必ずしも許可してくれるわけではない。上手く調整するには、交渉の仕方が大事になる。交渉のときは、以下のことを意識すると良いだろう。

クライアントの事情を考える

クライアントの中には商品やサービスの提供が遅れるだけで、事業の継続が厳しくなる場合もある。したがって、クライアントの事情を考えてから調整すべきだ。

クライアントに期待しない

「Aクライアントだったら〇〇をしてくれるだろう」と勝手な期待をするのも良くない。なぜなら予想と違う結果が返ってくる場合があるからだ。

たとえばクライアントが応じてくれる前提で話すと、それ以外の回答だったときに、行動がとれなくなってしまう。冷静な対応をするためにも、勝手な期待をするのは良くない。

コミュニケーションの活性化

社内のコミュニケーションが活性化すると、メンバー間で状況報告する文化が根付く。この関係性ができれば、メンバーの異変に気付きやすくなる。その結果、メンバー間で声掛けする機会が増えるため、時短ハラスメントの予防・防止に役立つ。コミュニケーションの活性化には、以下の仕組みを導入すると良い。

グループウェアの活用

グループウェアとは、社内のコミュニケーションを円滑にするために使用されるシステムのことだ。たとえばチャットツールを導入すれば、メンバー達が違う場所にいてもメッセージのやり取りができる。したがって、メンバー達の接点を増やすのに役立つ。

また、タスク管理ツールを導入すればメンバー達の現状が分かるため、いつ話しかければ良いかイメージしやすい。このようにグループウェアを使えば、コミュニケーションがとりやすい環境になっていく。よって活用すべきだ。

メンバー達が集まる機会を増やす

メンバー達が集まる機会を増やせば、メンバー間の距離感は縮まりやすい。最終的には、お互いの信頼度アップが期待できる。ミーティングの他に懇親会や社内イベントなど、様々なイベントを打ち出すといいだろう。

メンバーの異変に気付いたら声掛けする文化を作る

声掛けの文化があれば上司や同僚から声をかけてもらえることが増える。話しかけるのが苦手な社員にも、自然とコミュニケーションが生まれていく。そのため、コミュニケーションの活性化に効果的だ。

時短ハラスメントの周知

上司が自覚せずに、時短ハラスメントを引き起こしている場合もある。それを解消する意味で、時短ハラスメントの周知は大事だ。なお周知では、以下のことを行うといい。

時短ハラスメントの事例を伝える

時短ハラスメントの事例を伝えれば、加害者になっていた社員が自身の行動に気付くきっかけを与える。行動を改めさせる効果が期待できるため役立つ。

会社の取り組み方針を伝える

会社としての、時短ハラスメントに対する取り組み方針を伝えるのも効果的だ。たとえば時短ハラスメントを行った社員に罰則規定があることを説明すれば、社員達はペナルティを受けないように、ハラスメントを控える行動をとっていく。社員への注意喚起に役立つため効果的だ。

研修の実施

時短ハラスメントの知識を入れてもらうために、研修を行うのもいいだろう。

具体的には、ハラスメント研修のような内容が理想だ。

なお、社内で講師を立てて実施することも良いが、「時短に対する考え方」については、外部講師を活用した方が効果がある可能性が高い。同僚の言うことは聞けないが、研修講師の意見なら素直に従う方もいるためである。

外部のサービスを活用して、自社に効果的なカリキュラムを決めるといいだろう。

まとめ

日本では働き方改革によって、長時間労働を減らしていく働きが行われている。しかし、その一方で勤務時間の短縮は時短ハラスメントの原因になっている。時短ハラスメントは、社内に悪影響を与えてしまう。

  • 業務クオリティの低下
  • 仕事の生産性ダウン
  • 体調不良者の増加
  • 管理職へのしわ寄せが発生

社内に上記のことが起こると社員の居心地が悪くなり、働きづらい会社になってしまう。社員・会社の状態を悪くしないためにも、時短ハラスメントの対策に力を入れた方が良い。時短ハラスメントの対策には、以下の方法がある。

  • 業務量の改善
  • 業務プロセスの見直し
  • クライアントとの調整
  • コミュニケーションの活性化
  • 時短ハラスメントの周知

時短ハラスメントの加害者や被害者を減らすためにも、取り組むべき対策だと言える。残業や休日出勤を減らしても、労働環境が悪くなっては意味がない。社員達が安心して働ける職場にするためにも、時短ハラスメントが起きない体制を作っていただきたい。

これからの働き方を考えるメディア「オモシゴジャーナル」では、時短ハラスメントの被害者が取ることのできる対策について解説されています。
参考:時短ハラスメント(ジタハラ)とは?具体的な事例や対処方法について

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 時短ハラスメントとは、残業の削減などによって勤務時間が短くなったことが理由で起こるハラスメントのことです。ハラスメントの一例として、時間内に終わらない業務を振ったり、サービス残業になる状態を作ったりすることなどが挙げられます。
  • 業務クオリティの低下や、社内における生産性のダウンなどが挙げられます。その他に、他の社員へしわ寄せがいきやすくなり、体調不良者を増やす原因にもなります。
  • 業務量や業務プロセスの改善などが挙げられます。その他に仕事の納期をクライアントと行ったり、コミュニケーションを活性化したりすることも大事です。
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