会社が設定した目標を達成できるかは、人材の活用方法にかかっている。その際、必要となる作業が「人材マネジメント」だ。人材マネジメントができる会社は、従業員が強みを発揮しやすい。その結果、各従業員が成果を挙げられる状態ができて、最終的には会社の成長へつながっていく。しかし上手に人材マネジメントを行うには、最低限抑えた方がいいポイントが存在する。
本記事では人材マネジメントの概要・メリットを解説しつつ、実施時のポイントを紹介する。
目次
人材マネジメントとは企業で設定した目標や経営戦略を実現させるために、人材を活用することだ。
会社の設備を良くしても、人が育たなければ企業が設定した目標は達成できない。企業にとって人材は財産だ。従業員を腐らせないためにも、人材マネジメントは必須と言える。
人材マネジメントの内容は多岐に分かれる。ここでは人材マネジメントの内容を紹介していく。
自社に必要な人材を把握し、その要件に合う人材を探す。自社に合う人材を採用できれば、メンバー間の団結力アップにつながる。チームの質が良くなり、会社が設定した目標を達成しやすくなる。
従業員を成長させるための育成カリキュラムを組むことだ。メンター制度やOJT教育、スキルアップのためのセミナーなど、従業員に役立つ教育を行う。会社として教育環境を整えることで、従業員の戦力アップを実現させる。
従業員の成果を正しく評価できる仕組みを作ることだ。従業員が納得する評価基準を設けることで、モチベーションアップを狙う。
従業員の業務内容や役職をもとに、報酬が適切に支払われる仕組みを作ることだ。たとえば、結果を出したのに報酬に反映されないと従業員は不満を持つ。会社に貢献しようとする気持ちを作っていく。評価と同様に、従業員が納得する基準を設けられるかがカギだ。
従業員が能力を発揮したり、会社の業績が上がったりするように人材を配置することだ。入社時の配属先が、従業員にとって最適な場所だと限らない。別の部署に配属した方が、成果を挙げやすい場合もある。各従業員のスキルを把握し、どの部署で成果を挙げられるか見極めることが重要だ。
福利厚生の充実も、人材マネジメントの一種だ。たとえば、保育料の一部を負担してもらえる制度があれば、従業員の手出しが少なくて済む。従業員に役立つ福利厚生があれば、それを活力として質の高い仕事をしてくれる。よって、人材マネジメントに欠かせない。
人材マネジメントのメリットは以下の通りだ。
人材マネジメントをうまく行うと、他社と差別化できる。他社よりも良い職場環境だと思えば、自身の職場に対して誇りを持つ。結果、従業員のパフォーマンスアップにつながる。
人材マネジメントが上手くできると、勤務先に対する満足度が上がる。そのため、エンゲージメントを高めるのに役立つ。エンゲージメントが高くなれば、会社への満足度も上がる。結果、業務の質を向上させる効果が期待できる。
人材マネジメントができれば同業他社よりも良い商品を開発できたり、マーケットシェアを高めたりなど、様々な効果が期待できる。そのため、企業の競争力を高めることが可能だ。
企業の競争力が高まれば、市場の中で存在感を示せる。よって、会社を存続させやすい。
最後に人材マネジメントのポイントを紹介していく。
人材マネジメントを行う際は、自社の方向性を決めた方がいい。方向性を定めずに取り組むと、無計画で人材マネジメントを行う恐れがあるからだ。
勢いに任せて行動すると、会社の状態が悪くなったり期待していた成果を得られなかったりする。イメージ通りの成果を得るためにも、自社の方向性を定めてから取り組むべきだ。なお、自社の方向性を定めるときは、以下のことを意識するといい。
経営状態を把握する理由は、自社にふさわしい方向性を見極めるためだ。方向性を定めてもベクトルを間違えると、良い成果は出ない。
自社の経営成績や財務状況、従業員の取り組み具合など、様々な観点から経営状態を把握していく。すると、どのベクトルで行動すべきか分かる。進むべき道を見誤らないためにも、自社のことは把握すべきだ。
SWOT分析とは4つのカテゴリーに分けて、自社の状況を判断するときに使うフレームワークのことだ。下記4つのカテゴリーを分析することで、自社の方向性を決めやすくなる。
ここでは自社の強みを考える。「業界内での売上額が1位」「リピーター率が高い」といったイメージだ。同業他社と比べて優れている点を中心に考えていくといいだろう。
自社の弱みを考えることも行う。「季節による売り上げの増減が激しい」「新規顧客の割合が少ない」といったイメージだ。同業他社と比べて劣っている点なども述べるといいだろう。
外部環境によるチャンスの機会がないか探す。「大学の研究で良い評価を受けた」「テレビ番組に自社の商品が紹介された」というイメージだ。外部で起きたことを書き出し、ビジネスチャンスがないか考えていく。
外部環境による脅威を見つける。「円安の影響で材料費が高騰する恐れがある」「自社の製品と似た商品を売り出す企業が増えた」というイメージだ。経済面・法律面など、様々な視点で考えるといいだろう。
従業員に目標を持たせる理由は、それに向かって行動できる仕組みを作るためだ。目標があれば従業員たちは自主的に行動するクセがつく。各従業員が能動的に動くようになるため、自然とチームの業務が回る。なお目標を持たせるときは、以下のことを意識すると良い。
会社の目標と関連性がある内容にすれば、自身の目標と会社の目標が共に進捗していく。会社と従業員にとってWin×Winの関係性になるため、意識した方が良い。
一方的に上司が目標を与えてしまうと、従業員は義務感を感じる。すると仕事のモチベーション低下を招き、やがて仕事の質低下にもつながっていく。それを防ぐ意味でも、自分で目標を考えさせるべきだ。
すると義務感が減って、能動的に動く状態を作りやすい。たとえ目標設定で困っている従業員がいても、上司はアドバイス程度にした方がいい。
目標を設定しても、いつまでに達成するか設定しないと従業員は動かない。従業員をスピーディーに動かすには、期限の設定が効果的だ。従業員は期限までに終わらせようとする。結果、業務のスピードが上がり、作業時間の短縮が期待できる。
業務の現状を把握すべき理由は、効果的な人材マネジメントの方法を生み出すためだ。職場の事情によって、人材マネジメントの効果的な方法は違う。
効果が出ないと分かりながらも、長期的に取り組むのは時間の無駄だ。それを防ぐ意味で、業務の現状を把握してから取り組んだ方がいい。業務の現状を把握するときは、以下のステップを踏んでいく。
業務の現状を把握するときは、業務の洗い出しから始まる。たとえば営業職の場合「電話による営業」「外回り」「書類整理」といった形で、細かいタスクを書き出す。各作業の所要時間と一緒に書き出すといいだろう。
ただし抜け漏れがあると、人材マネジメントの質が低下する。現場の声を聞いたり、時系列に沿って書き出したりなど、抜け漏れ防止の対策もとるべきだ。
業務の洗い出しが終わったら、業務上における問題点を挙げていく。「〇〇の作業に時間がかかっている」「無駄なタスクがある」というように、思いつく限り意見を出す。
課題に対しての解決方法を考えていく。
早めに解決すべき問題もあれば、数か月後でも支障がないケースもある。優先順位を明確にして、どの順番で解決するか考える。なお、優先順位を決めるときは「重要度」と「緊急度」を考えながら決めるといい。
上記にタスクを当てはめながら決めると、優先順位を考えるのが楽だ。その後、優先順位が高いものから行動することで、会社にとって意味のある人材マネジメントになる。
人材マネジメントでは、従業員のモチベーションを上げる評価制度にすることも大事だ。下記のことを意識して、評価制度を決めるといい。
評価制度を設けるときは、多くの従業員にチャンスを与えた方が良い。従業員が希望を持つことで、モチベーションアップが期待できるからだ。
希望を持つ従業員が増えれば自ずと職場の士気も高まり、従業員のレベルアップにもつながる。従業員1人あたりのレベルが底上げされ、成果のスピードが速くなる会社になっていくだろう。
特定の従業員に有利になる評価制度では不平等だ。従業員からの反発が高まり、職場環境が悪くなる。それを防ぐ意味で、平等な評価基準にすることが大事だ。役職や業務内容によって評価制度を変えるなど、様々な方法がある。
評価基準が平等になれば、良い評価を得ようと頑張る従業員が増えていく。結果、従業員たちのモチベーションアップを実現させる。
最適な人材マネジメントの方法は、時代の流れに応じて変わる。したがって、定期的に仕方を変えた方がいい。
人材マネジメントを行った後は、振り返りが大事だ。なぜなら、改善箇所を見つけるためだ。完璧な人材マネジメントは存在しない。運用する中で、改善すべき箇所に気付くこともある。質の高い人材マネジメントを継続するためにも、定期的に振り返った方が良い。
なお振り返りではKPTの活用が便利だ。KPTとは「良かったこと」と「問題点」を挙げて、それを参考にして今後の動き方を決める分析方法のことだ。次々と意見を挙げていくことで、理想の動き方を決めやすくなる。
会社にとって、人材は宝だ。企業の規模が大きく、設備投資にお金をかけたとしても、人材の使い方が下手だと、会社で設定した目標は達成されない。それを実現させる上で必要なのが「人材マネジメント」だ。人材マネジメントをうまく行えば、従業員のモチベーションや、企業の競争力アップにつながる。
人材マネジメントに力を入れない企業では従業員が育たないため、いつまで経っても組織は変わらない。この状態が続くと、倒産リスクが高まる。それを防ぐためにも人材マネジメントに力を入れて、従業員全体の戦力を上げていただきたい。
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