社員に自己評価をさせる企業は多い。しかし社員の中には、周囲が思うよりも高い評価をするケースがある。自己評価を見誤ると自身に効果的な案を立てられなくなり、成長を止めてしまう。自己評価は正しく評価することが大事だ。
本記事では自己評価が高い社員の特徴を紹介しながら、正しく自己評価するポイントを解説する。
自己評価とは自身の現状を、自分なりに評価することだ。自身の能力値・成長度合い・課題などを把握し、今後の業務に活かす。自身で評価するため、周囲の社員が評価する場合と比べて、不満を持たずに済む。さらに自分を振り返る機会になり、社員にとって有益な時間となる。
しかし自己評価による恩恵を受けられるのは「正しく評価」した社員に限る。良い自己評価を得たいからと言って、甘めの採点をすると自身の現状が分からなくなる。すると、自身の成長に必要な効果的な案も立てられない。自身が成長する機会を失わないためにも、正しく自己評価すべきだと言える。
ここでは、自己評価が高い社員に見られる特徴を紹介していく。
根拠のない自信がある方は、自己評価が高くなりがちだ。このタイプは、自分ができる社員だと過大評価してしまう。結果、周囲への態度が大きくなり、反感を買われてしまう。
他の社員と比べて自身の出来が良いと思い込む。その結果、他人を見下す態度になってしまう。鼻につく発言をし、メンバーから冷たい視線を浴びてしまう。
自己評価が高い社員は「仕事ができていないと思われるのが嫌」「社内の中で仕事ができる人間だと思われたい」という気持ちが生まれやすい。そのため、プライドが高く自尊心の強い人物になっていく。見栄っ張りな一面があり、相手に弱みを見せずに行動する。
立ち直りが早いのも、自己評価が高い社員に多い。仕事でミスをしても、長時間落ち込むことは少ない。頭を切り替えて、物事を前向きに考えていく。
自己評価が高い方は、自分の印象が良くなるようにアピールする。相手に好印象を与えるのが上手く第一印象も良い。相手の懐に入るのも上手で、距離感を縮めるのも得意だ。
反対に自己評価が低い社員もいる。ここでは、自己評価が低い社員に見られる特徴も紹介する。
「他の社員と比べて出来が良いのに、勝手に出来が悪いと思い込む」「周囲から見ると成長しているのに、成長できていないと勘違いする」といった形で、自身をできない人間だと思ってしまう。
自身の悪い所ばかりに目がいき、良い所に気づけなくなる。結果、出来の悪い社員だと思い込むクセがついてしまう。
上司から褒められたときに、素直に受け入れられない社員も自己評価は低い。たとえば「仕事が上達したね」と言われたときに「何も成長できていません」というパターンだ。このタイプの社員は、自分で納得しないと素直に受け入れない。自分に対して厳しい社員に多く見られる。
自分が悪くないのに謝ることが当たり前になっているのも、自己評価が低い社員に多い。「すみません」が口癖になっている社員によく見られる。自分が原因で起こったミスではないのに悪いことをしたと思い込んでしまい、自己評価が低くなる。
ネガティブ思考が強いのも特徴だ。大した悩みではないのに、自分で不安を大きくする。「自分のミスがきっかけで、会社が倒産したらどうしよう」「自分が作業して失敗したらどうしよう」というように、悪い方向にイメージを膨らます。
それが習慣化すると不安に襲われる日々を送ることになり、仕事のパフォーマンスを発揮しづらくなる。結果、業務に支障をきたしてしまう。
自己評価は正しくできた方がいい。最後に、自己評価を正しくするポイントを紹介する。
数字を用いて評価する理由は、何となくの評価を減らすためだ。たとえば「いつもより出来が良い気がするから、高い点数をつける」という基準で評価すると、自己評価を誤ってしまう。都合良く自己評価をしないためにも、数字を用いた方がいい。なお、数字を用いて評価するときは、以下のことに注意すべきだ。
基準を決めずに数字を設定すると、いい加減な自己評価になってしまう。正しく評価させるには、社内で基準を決めてから、数字を設定した方が良い。
たとえば「〇〇と〇〇の業務を完璧にできたら10点」「期日内に〇〇の業務が完了したら5点」といった形で基準を設けると、明確になっているため正しい自己評価ができる。
たとえば数字の設定が甘いと、出来の悪い社員まで高評価になる恐れがある。かといって数字の設定が厳しくても、出来の良い社員が低評価になるかもしれない。その状態を起こさないためにも、数字の設定の仕方を意識した方がいい。
数字の設定をするときは、現場の声を参考にすると良い。意見を多く集まれば、変な設定にならずに済む。第三者の意見を参考にしながら、設定することが大事だ。
客観的に評価すれば、正しい評価ができる。客観的に評価するときは、以下のことを行うと良い。
客観的な評価をするときは、第三者から意見を集めるといい。他の方に意見を聞けば、どのような評価をすべきか冷静に見つめられるからだ。
自分では良い評価だと思っても、周囲の声を聞くと違うことに気付けるかもしれない。自身の価値観のみに捉われないためにも、第三者からの意見は聞いた方がいい。なお、第三者に意見を聞くときは、以下のことを意識するといいだろう。
第三者の意見を集める際、1人しか聞かない状態だと、その方の価値観が大きく反映されて、正しく評価するのが難しくなる。
しかし10人に聞けば1人に聞くときと比べて、意見の偏りがない。様々な意見を聞けるため、第三者から意見を聞くときは意識すべきだ。
自身と性格が異なる方から意見を集める理由は、自身の価値観とは違う意見を集めるためだ。自身の性格と似ている方に質問しても、似たり寄ったりの意見が集まる。客観的な評価をする際の妨げになるため、控えた方が良い。
たとえば「〇〇はいいよね」という聞き方だと、相手は否定的な意見を言いづらくなる。それよりは「〇〇についてどう思う」と聞いた方が、率直な意見を言いやすい。
なかには否定されるのが怖い方もいるだろう。しかし客観的な評価をするには、肯定的な意見だけではなく否定的な意見も取り入れなければならない。よって、中立的な立場で聞くことが大事だ。
実践したことを書き出すのもいいだろう。営業職であれば「1か月間で〇〇円分の契約を結んだ」「1日当たり〇件のアポを獲得した」というイメージだ。
自分では頑張ったと感じても、書き出すと思ったよりも成果を挙げていないケースもある。予想と現実のズレを把握するのも、客観的に評価するスキルを習得する上で大事だ。
たとえば「1か月間で100万円売り上げた」というのは事実に該当する。しかし「100万円売り上げたから評価が高い」というのは主観だ。なぜなら評価が高いと感じる基準は、人によって違うからだ。100万円の売上が高いと感じる方もいれば、低いと感じる方もいるため事実とは言えない。
このような主観が入ると、客観的な評価ができなくなる。それを防ぐためにも、事実と主観を区別することが大事だ。
感情的になると、客観的な評価ができなくなる。たとえば「〇〇の作業は頑張ったから高評価をつけよう」という基準で自己評価すると、結果が出ていないのに良い評価をする原因となり、誤った自己評価につながってしまう。第三者視点を忘れないためにも、感情的になって評価すべきではない。
成長を記録すれば、自身の歩んできた道が具体的に分かる。思い込みを排除できるため、誤った自己評価をせずに済む。成長を記録するときは、以下のポイントを抑えると良い。
成長を記録するときは、最低でも日付と成果物は書いた方が良い。この2つを書けば、限られた期間の中で、どのくらい成果を挙げたか分かる。時系列に沿って流れが分かるため。自身の現状を把握するのに便利だ。
日によってフォーマットがバラバラだと、内容を見たときに把握するまで時間がかかる。スムーズに見返すためにも、フォーマットは統一した方がいい。どこに何が書いてあるか瞬時に分かるため、見返すのが楽になる。
記録するときは、内容を絞って書いた方がいい。余計なものが書き込んであると、何が書いてあるか見づらいからだ。どのような内容を書くか事前に決めてから、記録した方がいいだろう。
文章だけでは分かりづらい場合もある。そのときは、図や表を用いて記録すると良い。字で分かりづらい内容でも、図や表に落とし込めば瞬時に分かる。
記録する際に走り書きすると記録した内容を見返したときに、何が書いてあるか分からなくなる場合がある。記録しても字が読めないと意味がない。よって、自分が読める字で記録すべきだ。
しかし記録するのに時間を割けなくて、走り書きになるケースもある。その場合は走り書きした内容を、記憶のあるうちに清書すると良い。
パソコンで入力したり、別のノートに書き写したりなど様々な方法がある。自己評価の資料として活用するためにも、読める字で記録すべきだ。
自己評価は自身の現状を知るうえで大事な作業だ。自己評価をすれば会社に対する貢献度や仕事の出来が分かる。さらに自身が目指すべき目標や実践すべき行動を決めやすくなるメリットもある。そのため、自身の成長を後押しするのに便利だ。
しかし正しい自己評価ができなければ、これらの効果は期待できない。ちなみに自己評価が高い社員や低い社員には、以下の特徴がある。
~自己評価が高い社員に見られる特徴~
~自己評価が低い社員に見られる特徴~
正しい自己評価ができないのであれば時間の無駄だ。よって、正しく自己評価できる状態を作ることが大事になってくる。正しく自己評価するには、以下のポイントを抑えると良い。
上記の内容を実施すると、自身の状況を正しく把握できる。思い込みも排除されるため、自己評価の精度を上げるのに役立つ。自己評価の精度が上がれば、自身の成長に必要な行動が分かるため、成長スピードも上がっていく。効率良く社員を成長させるためにも、正しく自己評価ができる状況を作っていただきたい。