仕事ではPDCAサイクルをはじめ、発想力だけでなく実行するまでの行動力も求められるが、まずは課題や問題の発見方法を学び、その上で解決策を自ら提案するための見方を考えていくことが大切だ。
アイディアを出す力は先天的なものではなく、きちんと学べば後天的に誰でも習得できるスキルだ。また、アイディアだけでは仕事には役に立たないため、アイディアに加えて、アイディアを現実に実行していくことこそが大切となる。
そこで、本記事では、発想力の概要を説明しつつ鍛え方を紹介する。
発想力とは何もない状態から、アイデアを描く力のことだ。どの職種においても、アイデアを生みだす機会はあるため、多くの人に必要な力だと言える。
発想力とは、今までの経験や知識を活かしながらアイデアを生み出すことだ。0→1の作業で必要な場合が多い。
たいして想像力とは、ある事象に関してイメージする力のことだ。たとえばプロジェクトの進み方を予想したり、相手の気持ちを読み取ったりするのは、想像力がなければできない。効果を発揮する場面が違うため、両者は別物だと言える。
発想力を身につけるメリットは以下の通りだ。
発想力を身につけると、アイデアが思い浮かびやすくなる。その結果、新事業の立ち上げがスムーズに進む。事業展開までの期間が短くなるため、別のことに時間を回せる。
発想力のある人は、正しい手順で問題の発見、解決ができる。たとえトラブルに巻き込まれても、正しいルートをたどって解決できるため、遠回りをせずに済む。
発想力があると、1つのことに捉われない。さまざまな視点から物事を考える習慣ができるため、思考の柔軟性を高めるのに役立つ。
発想力を習得すると、臨機応変に考え方を変える習慣がつく。そのため、発想の転換につながる。別のアイデアがないかという視点が生まれ、発想の転換が楽になる。
発想力があれば、短い時間で良いアイデアが思いつく。そのため、限られた時間で成果を挙げる効果も期待できる。
発想力はさまざまな場面で求められる。ここでは、どのような場面で求められるか紹介していく。
新商品・新サービスの開発では、今までにないものを生み出さなくてはならない。0からつくりあげるため、発想力は必要だ。
業務改善では、改善箇所・改善方法を見つけていく。今までとは違う視点で業務の進め方を変える場面が多いため発想力は必要だ。
ここからは、発想力の高い人に見られる特徴を解説していく。
固定観念に捉われず、新しいことに挑戦しようとする。今までにはないものを生み出すことを目標に、アクションをとり続けるため、自然と発想力の高い人材になっていく。
失敗を恐れずに行動するのも、発想力の高い人に見られる特徴だ。1回失敗しても、何が悪かったか分析して、改善した上で再度トライする。この作業を繰り返すと、新たな気付きを得ようとする姿勢が身につく。結果、発想力の高い人材に育つ。
発想力の高い人は、知識や情報を自発的にインプットしようとする。新しい情報に触れて、自己研鑽に励む。自身の知識量が増えれば、アイデアが生まれやすくなる。結果、発想力のある人材が出来上がる。
発想力の高い人は、他の人にはない価値観を持つ。迎合せず、自分の信念に基づいて行動する。
正しい方法を実践すれば、発想力は鍛えられる。最後に発想力の鍛え方を紹介していく。
ラテラルシンキングとは、いろいろな視点から物事を見ていくことだ。別名「水平思考」とも呼ばれる。以下のポイントを抑えて実践すると良い。
ラテラルシンキングでは、さまざまな角度から考える。俯瞰的に物事を見る能力を手に入れるためにも、過去の価値観に捉われてはいけない。
物事を疑う理由は、別の尺度で物事を分析するクセをつけるためだ。物事を疑って見る習慣ができれば、矛盾点や違和感などを多く見つけられる。結果、ラテラルシンキングの質が高まる。
物事を具体化する理由は、事象をハッキリさせて、どの尺度で物事を見るべきか決めるためだ。ラテラルシンキングを実践したくても、物事が定まっていないと、どの視点で分析すべきか分からない。
精度の高い状況でラテラルシンキングを実践するためにも、物事を具体化する習慣はあった方がいい。
ラテラルシンキング研修を受けることにより、ラテラルシンキングに必要な考え方や分析方法を実践的に学ぶことができる。
実際頭で理解していても、現場で活用したいと思うと難しい場合も多いため、研修で実践的なケースワークを交えて理解を深めることが推奨される。
普段の業務にフレームワークを用いるのもいいだろう。たとえば、以下の方法がある。
ブレインストーミングとは、設定したテーマに対する意見をグループ内で出し合うことだ。複数人で取り組むため、1人で考える時と比べてさまざまな意見が出やすい。自身の意見と他の人の意見を掛け合わせて、新たなアイデアを生み出す機会もつくれる。そのため、発想力を磨くのに最適だ。
ちなみにブレインストーミングを実施する際は、以下のことに気を付けると良い。
自由に発言させる理由は、多くの意見を集めるためだ。たとえば「〇〇を絶対に解決できるアイデアしかダメ」と決めつけると、参加者たちは「良い意見を出さねば」と身構える。結果、発言する人が減ってアイデアが出なくなってしまう。その状況を防ぐためにも、制限を設けるべきではない。
批判された側が委縮したり、その様子を見ていた参加者が発言できなくなったりして、アイデアが出なくなるからだ。
価値観の多様化が進んでいる時代で、自身の価値観と違う意見が出るのは当たり前だ。相手の意見を批判せず一旦受け入れると、他の参加者たちも発言しやすくなる。それが、アイデアの母数を増やすのにつながる。
制限時間を設ければ、1つでも多くの意見を挙げようとする状態をつくれるからだ。時間を設けないと会議がダラダラ進み、意見が出なくなる恐れがある。その状況を回避する上で大事だ。
マインドマップとは、脳内の考えを書き出したマップのことだ。紙の中央にメインテーマを書き、そこから外に向かって線を書き加えながら、自身の連想した言葉を次々と書いていく。脳内のものがマップ上で可視化されるため、アイデアが思いつきやすくなる。結果、発想力を鍛えるのに役立つ。
なおマインドマップの作成では、以下のことに気を付けると良い。
マインドマップ上に載せる言葉は、単語で書くことを心掛けた方がいい。文章などで書くと言葉が長くなり、マインドマップが見づらくなるからだ。書いた内容を瞬時に理解するためにも、単語で書いた方が良い。
書いた内容の中には、優先度が高い言葉もあれば低い言葉もある。重要ワードの文字を大きくすれば、優先度の高いワードが一瞬で分かる。どの作業から始めるべきか決めやすくなるため、行った方がいいだろう。
1,2色しか使わないと、マインドマップが単調となり、アイデアが思い浮かばなくなる。次々とアイデアを生み出すには、脳に刺激を与えることが大事だ。そのため、さまざまな色を使って作成した方が良い。
NM法とは、比較をしながら発想していく方法のことだ。以下の流れに沿って意識すると、発想が生まれやすくなる。
課題を見つけて、それを解決するためのキーワードを決める。
キーワードに関するものを考える。たとえば「セキュリティ」がキーワードであれば、以下のように関連するものを挙げると良い。
思いついたものを全て書き出すのがポイントだ。
関連するものを挙げたら、それらが誕生した特徴や背景を考える。金庫であれば「お金などの資産を守るために使われている」といったイメージだ。
特徴や背景をもとに、最初に設定した課題を解決する方法がないか考えていく。特徴や背景を掛け合わせることで、化学反応が起こりやすくなるだろう。
9つのチェックリストに沿って回答することで、アイデアを発想する手法だ。強引にアイデアをひねり出したい時に活用できる。
マンダラート法とは3×3のマス目をつくり、思いついた内容を書きだす手法のことだ。全てのマスを埋めなくてはいけないという気持ちになるため、発想力を鍛えるのに役立つ。ちなみにマンダラート法を実践する際は、下記のステップに沿って取り組むと良い。
まずは3×3のマスをつくる。マスの真ん中にはメインテーマを書く。残りの8マスには、メインテーマに関する言葉を書いていく。
① | ② | ③ |
---|---|---|
メインテーマに関することA | メインテーマに関することB | メインテーマに関することC |
メインテーマに関することD | メインテーマ | メインテーマに関することE |
メインテーマに関することF | メインテーマに関することG | メインテーマに関することH |
仮にメインテーマが「売上を伸ばす」であれば、残りの8マスには売上を伸ばすために必要なことを書いていくイメージだ。
8マスに書いた内容を実現させるための方法についても、書いていく。ステップ1と同様に、3×3のマスをつくる。
① | ② | ③ |
---|---|---|
Aを実現させるために必要なこと | Aを実現させるために必要なこと | Aを実現させるために必要なこと |
Aを実現させるために必要なこと | メインテーマに関することA | Aを実現させるために必要なこと |
Aを実現させるために必要なこと | Aを実現させるために必要なこと | Aを実現させるために必要なこと |
上記のような表をA~Hまで8個つくると、それぞれ実現させるための方法が可視化される。
表の作成が終わったら、記載した内容を実践していく。優先順位をつけて行うといいだろう。
記載したことができているか定期的に確認する。それを何度も繰り返すことで、メインテーマに記載した内容が実現できるようにしていく。
描いたアイデアを実行に移せば、そこから新たな気付きを得られる。それが、さらなるアイデアを生み出すことになる。
PDCAサイクルをもとに作業を行ったり、優先順位の高い順から取り組んだり、複数人で取り組める状況をつくったりすることが必要になるだろう。
発想力は多くの社員に必要とされる。なぜなら、仕事の場面で役立つからだ。身につけると、以下のメリットがある。
発想力を身につけている社員が増えれば、仕事が円滑に進んでいく。よって、生産効率性を上げるのに役立つ。発想力研修や企画力向上研修などを通して、基本的なスキルや考え方を習得することをおすすめする。その上で、日頃から鍛えることが重要だ。発想力を鍛える方法は以下の通りだ。
上記のことに力を入れると、発想力の向上に役立つだろう。会社を成長させるには、常に新しい発想は必要となる。その状況を長期的に持続させるためにも、発想力の習得に力を入れていただきたい。