内定者への入社前教育や研修は徐々に多くの企業で実施されるようになっています。内定者研修を行う3つのメリットと、内定者研修を成功させるための5つのポイントについて確認していきます。
内定者研修とは、採用が決まった内定者に対し、入社前に行う研修のことです。
の二軸で語られることが多く、いずれの効果も期待できる人事施策です。
内定者研修を行うことは、内定者にとっても、企業にとってもメリットがあります。ここでは、大きく3つに分けて内定者研修を行う上でのメリットを紹介します。
企業毎に、入社前に最低限ここまでは出来るようになっていてほしい、というボーダーラインがあります。
例えば、ExcelやWordなどのソフトを多用する職場であれば、それらのソフトの基本的な操作から入社後に教えなければならないとなると、先輩社員の負担もそれだけ大きくなります。
新入社員が入って来ることが毎年大きな負担になってしまっては、企業にとってもプラスになりません。そこで、内定者研修の中で最低限のスキルを身に着けさせることで、入社後スムーズに業務に移行することができ、新入社員・先輩社員ともに負担が減らすことができます。
入社後早く業務に慣れることは、早期戦力化と同時に早期退職を防ぐことにも効果もあります。
Excelなどの学習では通信教育が用いられることもよくあります。大学生を一同に集めることは授業等の関係で困難なことも多く、通信教育は便利なツールです。
反面、通信教育に加えて、近年では集合型で研修をしてしまう企業が増えてきています。
などの効果が得られるためです。
参考:新入社員Word研修【ビジネスで役立つスキルを】
参考:新入社員向け Excel(エクセル)研修【演習を豊富に実践力を】
内定辞退を防ぐには、内定者のモチベーションを入社まで出来る限り高く保つことが重要です。入社前に何もコンタクトを取らないと、内定者は手持ち無沙汰感や不安感が出てくるケースがあり、そうなるとモチベーションが落ちていきます。
また、複数内定を持っている学生であれば、研修など入社前のイベントのない企業への興味がなくなってしまうことも多くなっています。売り手市場の影響です。
内定者研修の中で、これから一緒に働く内定者同士で共同作業を行う機会を設けることは効果的です。チームとしての一体感が生まれ、自然と働く意欲を高めることに繋がります。
また、会社や先輩、同僚となる他の内定者との接点を入社前から持つことで、入社後のイメージを具体的に持つことができます。モチベーションを高めつつ入社時のギャップを少なくし、内定時の辞退や入社後の早期退職も防ぐことが可能です。
入社を控えた内定者の多くは、入社への不安を抱えています。業務内容や人間関係、職場の雰囲気等具体的なイメージを持てないと、初めての環境でうまく働けるのかなど、心配事も多くなります。
そもそも、「この会社で働く」と決めた後にも、その選択が正しかったのか悩むことは少なからずあり得ます。研修を行うということそのものが、会社が内定者のことを気にかけている、受け入れる準備が整っているというアピールに繋がります。
内定者研修の中で、同僚となる内定者同士でコミュニケーションを取る時間や、実務に生かせる内容を学ぶことで、自分が今後どんな人達とどのような働き方をしていくのかがわかり、知らないことによる不安が少しでも軽減されるはずです。
研修という集まる機会を設けることで、内定者から直接不安に思っていることや、悩んでいることも聞く事ができます。不安を解消することで辞退を防止したり、学習意欲の向上が期待できます。
内定者研修を行なう目的や期待するメリットは各企業によって異なります。
リスキルでは目的に応じた内定者向研修をご用意しております。
内定者研修はメリットが多いものです。だからといって何もポイントを抑えずにむやみに行ってしまうと、内定辞退につながってしまう恐れもあります。
ここで、内定者研修を成功させるために抑えておきたい重要な5つのポイントを紹介します。
なぜ内定者研修を行うのか、適切な目的を設定し、研修を受けた内定者にどのようなスキルを身に着けてほしいのか、どのように成長してほしいのか等ゴールを明確にすることが重要となります。
目的とゴールを設定した上で内容を決めると、企業にとっても内定者にとっても有意義な研修となります。反対に、ゴールの設定がなければ、「なんとなく」で終わり、かけた時間と経費に見合わないリターンしか得られません。
例えば、「内定辞退防止」がゴールであれば、内定者同士のコミュニケーションを重視した研修を実施します。また、先輩社員にも参画してもらい、企業入社へのモチベーションを上げる言動を求めるでしょう。
「スキル習得」がゴールなのであれば、競争心が出るプログラムの方がベターです。
明確な目的とゴールがなければ、内定者自身も何故研修を受けているのか理解できず、会社の方針に不安を抱える結果になります。目的意識は仕事において最も重要なことのひとつだからです。
1回の研修ごとに、どのような目的を持って行っているのかを明確にし、内定者側にも理解してもらえるようなプログラムを設定する必要があります。
会社として、内定者に入社前に身につけて欲しいスキルや成長を求めることは当たり前のことです。しかし、会社側の目線だけで研修プログラムを決めてしまうと、内定者が抱えている悩みや不安に答えられなくなってしまいます。
前項でも述べたとおり、内定者の多くは不安や悩みを抱えているため、それらを少しでも軽減できるような内容を研修プログラムに組み込むことで、内定辞退を防ぐことにもつなげることが可能です。
目的はぶらさないながらも、内定者のメリットもできる限り考えることで、良い研修になります。
内定者研修は、社員になるための準備だけではなく、内定者との信頼関係を構築する役割も担っているという視点を忘れずに行うことが大切です。
実際に内定者が入社した後、配属される部署で必要なスキルを身につけなければ、早期戦力化につなげることは難しくなります。そのため、現場で働いている社員が内定者に期待することをヒアリングする必要があります。
内定者研修の時点で人事担当者と各部署の意見のすり合わせを行っておくことで、入社後の実地研修もスムーズにすすめることができます。
また、内定者の入社後のギャップを少なくする効果も得ることが可能です。
ちなみに、入社後のギャップを減らす・早期戦力化につなげるという視点であれば、読んでおいて欲しい本を数冊、渡すだけでも効果があります。
どの時期にどのような目的で研修を設定するのか、先にスケジュールを決める必要があります。
例えば、内定式が行われる10月までは、内定辞退防止のために「内定者同士のコミュニケーションに重きを置くような内容」、入社が近づくに連れ「学生から社会人としての意識転換ができるような内容」を取り入れるなど、入社までに求める内容に合わせて回数と時期を決めます。
ただ、内定者はまだ学生のため、学校の授業や試験、イベント等もあることを考慮して、学業の阻害にならない程度に回数を決めていく必要があります。連絡の頻度が少なすぎると学生は不安になり、多すぎると負担が大きくなるため、適度な頻度にする配慮が必要です。
できれば月に一回程度接触できるイベントや研修があると良いですが、頻度が多く実行が難しい企業も多いでしょう。3ヶ月に一回程度でも十分に効果は発揮されます。
内定者にすでに身についているスキルがどのようなものなのか、どんな特性を持っているのかは、選考の過程だけでは把握しきれません。そこで、内定者研修の中でスキルや特性を見つけていくことにも役に立ちます。
不得意な部分が見つかれば、入社前からフォローすることも可能です。また、考え方で修正したい点は、入社前に伝えておくと良いでしょう。仮に内定辞退になっても、会社に不和がもたらされるよりも、入社前に決断してもらったほうが良いです。
特性や身についているスキルが入社前にわかっていれば、入社後の配属決定や研修にも活かす事もできます。
内定者研修で入社前にやっておくべきおすすめの内容をここで紹介します。
内定者同士で協力して行うグループワークは、チームとして働くことの意識や、自らの責任感を強めることに繋がります。
例えば、内定者ビジネスゲーム研修などでは、ゲームを通してコミュニケーション能力や以下のスキルを磨くことができます。
楽しくゲームに取り組みながら、社会人として求められるスキルを意識することが可能です。ゲームを行った後、振り返りの時間を設けることで、楽しむだけでなく自身の学びとして持ち帰ってもらえる。
その他にもディスカッションなど、内定者同士で積極的に関われるようなワークを行うことも効果的です。不安を抱えている内定者同士が集まる場であっても、直接コミュニケーションを取る機会を設けることで、自然と内定者の不安が軽減され、内定辞退防止にも繋がります。
入社前から、自分自身が社会人になるという具体的なイメージを持つことが出来ると、入社後もスムーズにビジネスパーソンとして動くことができます。
学生と社会人の違いとはなにかを自ら考える時間を研修で設けるのも効果的です。
社会人として何が必要なのか、自分に足りないものはなにかを研修で学ぶことで、残りの学生生活の過ごし方も自然と変わってきます。
また、企業の仕組みや仕事についても研修内で触れると、社員の一人としての自覚が芽生え、社員として何が求められているのかを考えるきっかけにもなります。
ビジネスマナーは、社会人として必須のスキルだ。どこの部署に配属になっても、何らかの形で学んだことを活かせる場面は出てきます。
接触回数を増やすためにも、入社前ではなく内定者に対してビジネスマナー研修を実施するのは効果的です。
また、学生時代には求められなかったビジネスマナーを学ぶという過程の中で、自然と社会人としての自覚が湧くという効果も期待できます。
対面での接客や、電話対応、メールの文章作成など、社会人としては当たり前のマナーでも、学生にとってはすべてが初めての経験です。
刺激にもなりますし、「ちゃんと研修がある企業なのだ」という安心感にも繋がります。
入社まで、人事担当者としか接点がないと、不安になる内定者も多いものです。縦のつながりがないと、自分が入社したときにどんな人達と一緒に働くのか、どんな業務を行うのかなど具体的に想像することは難しくなります。
先輩社員から直接聞くことで、配属後の仕事や職場へのイメージを持つことができます。内定者自信が不安に感じていたことや、面接の際には聞けなかった質問を先輩社員に直接尋ねる中で、入社意欲も増す効果があります。
どのような目的を持って座談会を行うかで、座談会に出てもらう社員の人材も変わってくることには注意が必要です。
例えば、先輩社員との関係づくりや、内定者としての不安を解消することが一番の目的であれば、近い将来像をもたせるという意味で1~2年目の社員が良いです。
職種が決まっていたり、成長意欲が高かったりする場合は、エース社員に担当してもらい、「すごい社会人がたくさんいる会社」をイメージしてもらうことも効果的です。
短い期間では1日、または週に1度の長期スパンで、現場にて就労体験を行います。実務を経験することで、内定者が社会人としての心構えや必要なスキルを理解することができ、企業革としても適正や内定者の個性を見極める事ができきます。
あくまで正社員ではなく内定者なので、ノルマや責任が問われるような業務内容にならないように、企業側の配慮が必要です。業務を実際に体験させるという観点を忘れず、学生を受け入れる体制づくりを行う必要があります。
もちろんアグレッシブなインターンを実施することも良いですし、効果的なことも多くありますが、内定者の資質の見極めは求められます。
また最近は、長期インターン採用を通して、内定者の資質を見極める企業も増えています。
複数社から内定をもらう学生も多い中、できるだけ優秀な人材を確保するためには内定者研修はとても効果的です。
内定者研修を通して企業の魅力を知ってもらいながら、内定者の不安を解消してもらえれば、内定辞退を防ぐことができます。
企業への信頼感を持って入社してもらうことは、受け入れる企業側にとっても研修への目的を明確にし、ポイントを抑えて施策を練ることで、より良い内定者研修を行うことが可能になります。
会社にとっても、内定者にとってもプラスになる内定者研修を考えてみてはいかがでしょうか?
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