会社にとって情報は大切だ。個々人からの情報共有はチームに影響を与えることが多々ある。しかし実際の企業では、これらの情報共有が実践できていないことが多い。その中には情報共有の方法が分からないという理由も多いだろう。
今回は社内の情報共有を活性化するときの手順やポイントについて紹介する。
情報共有とは個人が持っている情報を共有し合い、チーム内で活用したり、蓄積したりすることを指す。個々が持つ情報を出し合って、会社の状態を良くしていくことが目的の活動だ。
情報共有を行わないと社員間で知識の差が出たり、同じような仕事でミスが起こりやすくなってしまう。
上でも確認したが、もう少し詳細に情報共有を活性化させるメリットを紹介する。
1人の社員しかできない業務や担当者と1対1のつながりだけで走っている業務は、その担当者が休んだときに処理できない。しかし業務内容について情報共有しておけば、多くのケースでなんとか対応ができる。業務の属人化を解消できるということになる。
社員間で共通の情報を持っているため、チームの業務処理力が上がる。ノウハウも共有化されているため、最善の方法が周知されている状態になる。業務処理力が上がれば業務に割く時間が減るため、他の業務に時間を割ける。
また、情報共有は知識の共有であることが多く、それらが随時共有され、認識されることで、高いレベルを低く目せることもできる。
情報共有では会話する機会が増えるため、コミュニケーションの活性化が期待できる。他のメンバーの考えや価値観が分かってくるため、相手の目線に立って関わることが可能だ。信頼関係を築きながら仕事を進めていきたいチームにも、情報共有は必須だ。
社内で情報共有をすると知らなかった情報を得られるため、不明点が減っていく。すると社員が質問する回数も減る。聞く側も聞かれる側も質問に割く時間を減らせるため、作業に集中できる時間が増えていく。結果、質問によって業務が妨げられることもなくなるだろう。
情報が更新されていないと、気付かないうちに仕事でミスが起きてしまう。しかし情報共有をすれば情報がアップデートされて、古い情報が更新される。最新の情報を手に入れられる確率が上がり、仕事を進めやすくなるはずだ。
情報共有が大事だと分かっていても、おろそかになっている場合もある。ここでは、おろそかになる理由を紹介する。
「自分だけ知っておけばいい」「人に伝える必要はない」と思う方は、情報共有が必須ではないと感じている確率が高い。他の人に知らせてあげる意識が低い可能性がある。情報共有の優先順位が低いため、時間を確保できても実施するのは難しいだろう。
社内で情報共有に充てる時間を確保していないのも、おろそかになる原因だ。各社員の業務を優先してしまったり、仕事量が多くて情報共有の時間が取れなかったりなど、様々な理由がある。
情報共有には手順が存在する。ここでは4つのステップに分けて紹介する。
情報共有の目的を決める理由は、役立つ情報が集まるようにするためだ。「〇〇の目的があるから△△に関する情報をここに集約する」と決めておけば、その内容に関する情報が集まりやすくなる。情報共有の目的を決めるときは、以下のことを意識するといいだろう。
各社員の課題を把握し、それを解消するための目的にするといい。たとえば売上を上げられない社員が多い場合は「売上を上げるために役立つ情報共有」としておくと、情報共有による課題解決が期待できる。アンケート調査や面談などを行って、聞いてみるといいだろう。
これはすべての業務でそうだが。会社の方針に沿わない目的を設定しても意味がない。情報共有は会社の発展を実現させるために行った方がいい。よって会社の方針を理解してから、目的を決めるべきだ。
ここからは各社員が情報を出し合っていく。メールやチャットでのやり取りも可能だが、共有した情報を取りこぼしてしまう恐れがある。もちろん重さによって共有するが、大切な情報共有は残る場所に入れておくべきだ。
一定の場所を決めて、そこに入れておくルールにするべきだ。社内サーバーでも構わないし、Driveのようなクラウドサービスでも構わない。
ここに入れるのだという認識をもっておけば、そこに情報が蓄積される。
もちろんミーティングの場で情報を共有しても良い。
ただし、情報共有が主だと、話が盛り上がり、盛り上がりすぎて話が脱線すると、予定通り進まなくなる。結果、中途半端な状態で終わってしまうかもしれない。
情報共有を予定通り進めるには、極力脱線させないことが重要だ。そのため脱線したときに軌道修正を行う、進行役を就けておくことが重要になるだろう。
ルールを決めたからといって情報共有がなされるかというと、そんなことはない。面倒だからだ。誰が好き好んで他のメンバーのために、自分のノウハウをすべて明文化して残してくれるだろうか。そんなメンバーがいたら、即座に昇格させてマネージャーにしたほうがいい。
やらないことを前庭に、繰り返し繰り返し指示・依頼をし続けるべきだ。
共有した情報の内容が分かっても、活かせなかったら意味がない。確認することで情報共有した内容が活きているか分かる。なお確認するときは業務の様子を見たり、確認テストを行ったりすると、社員の状況が把握できるだろう。
最後に情報共有を活性化させるポイントを紹介する。
情報共有を効果的な時間にするには、ルールが大切になる。ルールがない状況で情報共有すると場が乱れてしまい、参加者に不快感を与えるかもしれない。情報共有に対して、消極的な方を増やす原因になるためルールはつくるべきだ。たとえば、以下のルールを設けるといいだろう。
たとえばWordやExcel、PDFなどデータの保存方法が異なると、データを管理したり閲覧したりするときに手間がかかる。手間がかかると、多くの時間を割いてしまう。この状況を起こさないためにも極力、情報共有の仕方は統一すべきだ。
自分に関係ない情報を見てしまうと、社員が混乱してしまう恐れがある。その情報を見たことで、業務に支障をきたすかもしれない。その状況を防ぐ意味で、社員によって閲覧できる権限を変えるのも大事だ。
情報共有よりも、自分の業務を優先する社員もいる。しかし、そのような社員がいると情報共有をスムーズにできなくなってしまう。よって情報共有の大切さを社員に伝えるのも大切だ。なお伝えるときは、以下のことを意識するといい。
情報共有のメリットを盛り込めば、話に興味を持ってくれる可能性が高くなる。「様々な情報が手に入って、業務を進めやすくなるかもしれない」「自分の仕事を他の方に回せるかもしれない」と言ったイメージだ。自分事として捉えてもらうことが大事だ。
いくら内容が良いことを伝えても、仕事のことで頭の中がいっぱいになっているなど、タイミングが悪いと相手に理解してもらえない。よって相手に多少余裕があるときに伝えるべきだ。
自分の中では情報共有の大切さが分かっていても、相手へ伝わらなければ理解してもらうのは難しい。よって相手の目線に合わせて、分かりやすく伝えるのも重要だ。相手がイメージしやすい内容を入れたり、分かってもらえる単語を使ったりなど、表現方法を変えながら伝えることが大事だ。
自分の情報を発信していいのか迷う社員もいる。そのような方でも、情報共有しやすい環境をつくることが大事だ。たとえば、以下のことを伝えておくといいだろう。
他の社員からすると希少な情報であるにも関わらず、自分からすると当たり前のことだと思って発信しないケースがある。発信されなかった場合、埋もれてしまう。その状況を打破するには、情報の重要度に関係なく発信させることが大事だ。すると大量の情報が集まり、質の高い情報を見つけやすくなる。お宝情報を発掘するためにも、やった方がいいだろう。
人の情報と比較する雰囲気ができてしまうと「〇〇さんより価値のある情報を発信できないから辞めておこう」となるかもしれない。すると自分の情報を持ち出す方は減ってしまう。情報の内容に優劣をつけないのも、情報発信しやすい状況をつくるのに大事だ。
集まった情報を否定すると自分も否定されるのではないかと思って、情報発信しない雰囲気が漂ってしまう。その状態をつくらない意味で、情報を否定しないことが大事だ。
情報共有の仕方が面倒だと、敬遠してしまう恐れがある。しかし簡単にできれば、気軽に参加できるため積極的に参加してくれる可能性が高い。たとえば、情報共有に特化したツールを導入すると、作業をサポートしてくれるため効率化が期待できるだろう。
情報共有は情報を持ち寄るだけの手段ではない。その情報を社内にためていき、社員に活かしてもらうまでが一連の流れになっている。情報共有を活性化させると、このようなメリットがある。
会社だけではなく社員にとってもメリットになるため、情報共有を活性化させるのは大事だと言えるだろう。しかし情報共有しても正しい手順で行わないと失敗するため、以下のステップを覚えておいた方がいい。
事前準備から情報共有の後まで意識することが、情報共有の質を高めていける。その他に情報の発信がしやすい環境をつくったり、情報共有のルールを設けたりすることも大事になってくる。情報共有は様々な社員がいて成り立つと言っても過言ではない。社内の情報共有を活性化させて、働きやすい環境にしていただければと思う。