従業員と言っても自分に自信を持つ人もいれば、不安な気持ちを抱えている人もいる。従業員たちの心構えは、会社の業績に影響する。もし会社の業績を上げたいのであれば、従業員のエフィカシーを高めるといい。エフィカシーの高い従業員が増えれば、社内に活気が生まれて、業績アップを実現できるかもしれない。
従業員のエフィカシーを高めるには、正しい方法がある。本記事ではエフィカシーの高い人の特徴を紹介しながら、高め方について解説していく。
エフィカシーとは、自己効力感を意味する言葉だ。自身をどのくらい評価できているか表すときの指標として使われる。自身の持つ確信や行動に対する捉え方によって、エフィカシーの高さは決まる。
目の前のことをやり切れると感じた人はエフィカシーが高い。しかし、やれないと感じるとエフィカシーは低くなってしまう。
エフィカシーとは、目の前のことをやり切れると思う気持ちを測るときに使われる指標だ。一方「自己肯定感」とは、ありのままの自分を受け入れることだ。できて当然だと思う人もいれば、できなくても仕方がないと感じる人もいる。現状をもとに自分の状況を判断して感じるのが「自己肯定感」であるため、エフィカシーとは別物だと言える。
ここからは、エフィカシーが高い人の特徴を紹介していく。
志が高い分、自身のハードルを高く設定する。そのため、目標の基準値も高い。このような行動がとれるのは、目の前の壁を突破できると念じているからだ。最後までやり抜く気持ちを持っているため、エフィカシーの高い状態が生まれる。
エフィカシーの高い人は課された業務を、自分事として取り組む。難易度が高い業務でも諦めたり、他人に丸投げしたりしない。作業を完了させるまで、自分の業務としてやり切る。責任感の強さが、エフィカシーの高い状態を生み出す。
エフィカシーが高い人はストレスに押しつぶされない。それをエネルギーにしながら、突き進んでいく。精神的に強いメンタルを持っており、自分のペースを乱さずに進める。
エフィカシーが高い人は、成功体験が多い。成功体験を繰り返すと自信がついていき、自分の可能性を信じる姿勢が身につく。結果、エフィカシーを高められる。
エフィカシーの高い社員を組織に増やすと、以下のメリットが期待できる。
エフィカシーの高い従業員が増えると、仕事で成果を挙げようとする社員が増える。その雰囲気が社内に広まることで、士気が高まっていく。
ネガティブな発言をする従業員が減ったり、自分の可能性を信じる従業員が増えたりして、チームの雰囲気が明るくなる。
仕事に打ち込む従業員が増えて、業務効率の向上が期待できる。その結果、時間的コストが減るため、業績アップにつながる。社内の業績が上がれば、人材の採用や設備投資などの予算を確保しやすい。そのため、好機をつくり出せる。
自分事として物事を捉える人が増え、他人に依存する従業員が減っていく。他人に依存する従業員が減れば、自力で解決する人材が多くなる。他の人に自分の業務を押し付ける人が減り、責任感の強い従業員を増やすのに役立つ。
最後にエフィカシーの高め方を紹介する。
場数を踏ませて小さな成功体験を増やすと、自分に自信がつく。困難なことに見舞われても、動じなくなる。結果、エフィカシーを高めるのに役立つ。
ちなみに成功体験を積ませるときは、以下のポイントを抑えると良い。
成功体験を積ませるときは、本人に考える時間を与えた方がいい。上司が口出しすると、自分で頑張って成功したという気持ちにならないからだ。「上司がいないと成功できない」と悲観的な気持ちになり、いつまで経っても独り立ちできない。それがエフィカシーを高める妨げになってしまう。自分に自信を持たせるためにも、考える時間は与えるべきだ。
失敗することもあるが、責めるのは良くない。なぜなら、諦める恐れがあるからだ。諦める姿勢がつくと、逃げ癖へとつながる。その結果、エフィカシーの高い状態を保てなくなる。
エフィカシーの高い人材にするには、成功への持っていき方を一緒に考えることが大事だ。したがって、失敗を責めるべきではない。
従業員の状況に合わせて経験させる内容を選ぶ理由は、従業員が育ちやすい環境をつくるためだ。従業員にとってハードルが高いと、動揺してしまい自信をなくす。しかし簡単すぎる内容を指示しても、期待されていないと思われる恐れがある。
同じ経験をさせても、従業員によって効果の出方は違う。全従業員が育つ環境をつくるためにも、経験させる内容は相手によって変えるべきだ。
インプットの習慣をつけさせる理由は、知識を吸収してもらうためだ。知識があれば、その分仕事の幅が広がり、臨機応変に対応できる。それを体感できた人は、自分に自信を持てる。結果、エフィカシーの高い状況をつくり出す。
ちなみにインプットの習慣をつけるコツは以下の通りだ。
目の前の情報を全てインプットしようとすると、時間が足りない。インプットできる時間や量は限られているため、インプットの前には情報を見極めた方がいい。
アウトプットさせる理由は、インプットした内容を理解できているか確かめるためだ。アウトプットできない箇所は、理解できていない確率が高い。その部分を中心にインプットさせれば、分からない箇所が減る。これを繰り返すことで、インプットの質を向上させることになる。
業務を上手く進めるために必要なスキルについて、学べる場を設けることも良い。研修やセミナーなどの実施はおすすめできるものだ。
例えば、コミュニケーション力を磨きたい場合、アサーティブコミュニケーション研修などが良いだろう。言いづらいことについても上手く伝えることができるようになる。
日々クレーム対応が上手くできておらず仕事に対する自信が落ちている場合は、クレーム対応研修を受けさせる、お客様の真のニーズに対応できるようにロジカルシンキング研修で、原因分析の方法を身に付けるなど様々だ。
企業側がこのような勉強の場を設けることで、社員としても「期待されている」という気持ちにもなり、モチベーションも高まる。
ポジティブな言葉をかけ続ける理由は、従業員に自信を持ってもらうためだ。自分に自信がない人は、エフィカシーを高くできない。なぜなら、自分の可能性を信じないからだ。自分ができる人間だと思い込ませるためにも、同僚や上司はポジティブな言葉をかけ続けるべきだ。
なおポジティブな言葉をかけ続けるときは、以下のポイントを抑えると良い。
単に「すごいね」とか「大丈夫」だけだと、適当なことを言っていると思われる。上司と部下の間に距離ができる原因となる。それを防ぐためにも「〇〇の作業が××だったから大丈夫」といった形で、具体的に伝えることが大事だ。
自信を持って伝える理由は、相手を不安にさせないためだ。堂々とした態度で伝えれば、話の説得力が増す。結果、前向きな気持ちを持たせるのが楽になる。
上から目線で言葉をかけると、部下から「何様のつもりだ」と思われる恐れがある。それが原因で、上司と部下の関係性が悪くなるかもしれない。信頼関係を築くためにも、上から目線で声をかけてはいけない。
うそをつくと、相手にバレる恐れがある。たとえば部下に「上司は無理してポジティブな言葉をかけた」「自分に可能性を感じていない」と疑われると、エフィカシーの高い状態を維持できなくなる。変な疑いを持たれないためにも、綺麗ごとではなく正直に話すべきだ。
「〇〇さんより出来がいいから大丈夫」といった形で、他の人と比較しないのも大切だ。理由は他の人に伝わる恐れがあるからだ。比較された側はいい気持ちにならない。上司への風当たりが強くなって、組織の崩壊を招く恐れがあるので辞めるべきだ。
任せっぱなしだと落ち込んだときに立ち直れなかったり、悪循環に陥ったりする恐れがある。そのため、目標達成に向けたプロセスをサポートするのも大事だ。上司としてサポートするときは、以下のことを心掛けると良い。
部下と話す時間をつくる理由は、部下の現状を把握するためだ。部下の気持ちが100%分かる上司はいない。上司の憶測でサポートをすると、部下に不快感を与える恐れがある。それを防ぐ意味でも、定期的に部下と話す時間をつくるべきだ。1対1であれば「1on1」、複数の部下に話すのであれば「チームミーティング」を設けるといいだろう。
たとえば部下が忙しいときにアドバイスすると、気が散って集中できない恐れがある。それが原因で、仕事のクオリティが下がるのはもったいない。
部下の作業効率を下げないためにも、タイミングを見計らってアドバイスすべきだ。部下が空いている時間帯に伝えたり、閑散期にアドバイスしたりなど、部下が聞いてくれそうなときを狙うことが大事だ。
上司としてアドバイスをしすぎると、部下に煙たがられる恐れがある。部下が求めていないことばかり伝えても、真剣に話を聞かない。結果、アドバイスの時間が無駄になる。時間は有限であるため、不要なことは伝えない方がいい。余計な話ばかりする人は、伝える内容を前もって書き出しておくといいだろう。
部下の様子を見ずにアドバイスするのは、適当なことを伝える原因になってしまう。部下に役立つアドバイスをするためにも、日頃から部下の様子を見ておくのも大切だ。部下にプレッシャーを与えず、遠くから見守るイメージで観察するといいだろう。
上司としてサポートしても、部下との信頼関係が築けていないと相手に煙たがられる。助言を与えたり、見本を見せたりしても言うことを聞かない恐れがある。結果、サポートが無駄な作業になってしまう。日頃から部下に声掛けをして、コマメにコミュニケーションをとることが大事だ。
エフィカシーの高い従業員が多ければ、会社が良くなる。なぜなら社内の士気が高まったり、業績アップにつながったり、他人に依存する社員が減ったりするからだ。従業員にとって働きやすくなり、一生懸命業務に励む人が増えるだろう。
ちなみにエフィカシーの高い人には、下記の特徴が見られる。
エフィカシーの高い従業員が増えれば、社員だけではなく会社も恩恵を受けられる。したがって、会社としてエフィカシーの高い従業員を生み出す仕組みをつくった方がいい。
ちなみにエフィカシーの高い人材を生み出すには、以下のことを心掛けると良い。
エフィカシーの高い人材を増やすには、会社や上司が動くことが重要と言える。エフィカシーの高い従業員が増えれば、会社に活気を与える。未来永劫に成長し続ける会社をつくり上げるためにも、エフィカシーの高い人材の育成に力を入れていただきたい。