リスキルラボ 【5分でわかる】企業への対策が義務化 カスハラ(カスタマーハラスメント)とは?義務化に対して企業が行うべきことを解説

カスハラ(カスタマーハラスメント)研修
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近年、顧客からの過度な要求や暴言などが社会問題化しており、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が注目を集めています。

本記事では、カスハラの義務化に対して、企業としてできる対策を解説します。従業員を守る環境づくりの必要性と、早めに取り組むことのメリットを理解したうえで、自社の行動指針を見直すきっかけにしてみてください。

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カスタマーハラスメントに関する記事でわかること

カスハラとは

まずは、カスハラの概要と判断基準について押さえておきましょう。

カスハラとは何か

カスタマーハラスメントとは、顧客からの著しい迷惑行為のことです。厚生労働省からは「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。(カスタマーハラスメント対応企業マニュアル厚生労働省より引用)

また、2024 年 12 月 26 日、厚生労働省の審議会内でカスハラの定義がより詳しく示されました。具体的には以下の 3 つの要素をいずれも満たすものとしています

カスハラの定義(3つの要素)
・顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと
・社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
・労働者の就業環境が害されること

こうした行為を放置すると従業員のメンタルヘルスが損なわれるだけでなく、企業イメージの低下など大きなリスクにつながります。カスハラを正しく理解し、早期に対処することが重要になっています。

カスハラの判断基準

判断基準は、「要求が妥当な範囲内か」「伝え方が社会通念上相当な範囲内か」の2点です。

  • 要求が妥当な範囲内:要求が法的・社会的に見て妥当な範囲に収まっているか
  • 伝え方が社会通念上相当な範囲内:顧客の言動の伝え方が脅迫的だったり侮蔑的だったりする場合は、たとえ要求内容が一定の合理性を持っていてもカスハラと認定される可能性がある

カスハラに該当する行為(例)

カスハラにあたる行為の具体例は以下の通りです。上記の判断基準で迷った場合に「以下の行動に該当するか」も基準の一つとなります。

カスハラに該当する行為

カスハラ対応が企業に義務化される

国の方針により、企業がカスハラを防止・対策することが義務化されるとの発表がありました。

国からの方針

2025/03/11、政府は、カスハラ防止を全企業に義務付ける労働施策総合推進法の改正案を閣議決定しました。具体的には以下のものが義務化される予定です。

政府から発表された、企業によるカスハラ対策の方針

就活生へのセクハラも義務化の対象となる

採用面接やインターンシップなどで起こる就活セクハラ行為も問題視されており、対策が義務付けられる方針です。企業側は社会通念から大きく逸脱する質問や不適切な要求を行わないよう注意するとともに、被害にあった学生や応募者が相談や報告をしやすい体制を構築する必要があります。こうした取り組みは企業のイメージ向上にもつながり、優秀な人材確保のためにも欠かせない姿勢といえるでしょう。

企業として行うべき対応

企業が従業員を守り、適切なサービスを提供するために実施すべき対策を解説します。自社での取り組みを振り返りながら確認してみましょう。

カスハラの判断基準と対応方法を社員に共有する

カスハラは、その境界や判断が曖昧になりがちです。そこで、社内マニュアルなどで具体的な行為例を示し、どのような言動がハラスメントに当たるかをはっきりと提示することが効果的です。また、担当者がカスハラかどうか迷った時の相談ルートを周知することで、トラブルの早期発見と迅速な解決につなげることができます。

対応方法の全体像を理解し身に付けてもらう

カスハラへの対応は以下の通りです。これらを全従業員(アルバイトも含め)が理解し、対応できる必要があります。マニュアルへの落とし込みや研修の実施などが効果的です。

カスハラへの対応方法

お客様からのセクハラへの対応策も検討する

近年は、顧客からのセクハラも問題として表面化しており、性別を問わず不適切な言動に苦しむ従業員がいます。こうした事態を防止するには、セクハラに当たる発言や行為を明確に例示し、被害を感じた場合にはすぐに報告できる体制を整えることが大切です。特に接客や営業など顧客と密接に関わる部門では、従業員が安心して働ける環境づくりが企業の評判にも直結します。

研修や勉強会を実施する

実際に起こり得るシナリオを想定したカスタマーハラスメント(カスハラ)研修管理職・店長向け カスタマーハラスメント対策研修、他社事例を学ぶ勉強会などを定期的に開くと効果的です。新入社員や若手だけでなく管理職も同じく学ぶことで、現場レベルと経営レベルが一丸となった対応ができるようになるでしょう。

(管理職向け)カスハラへの予防策を考える

予防として重要なのは、従業員がカスハラを受けにくい状況を事前に作ることです。企業が顧客に対してサービスの範囲や対象を明確に示したり、クレーム対応を一定のルールに基づいて実施したりすることで、不当な要求が通りにくくなります。具体的な予防策は以下の通りです。

お客様に対して「できること・できないこと」を明確にする

顧客への説明責任として、企業が対応できる範囲と法律的に許容される事項を明示しておくことはトラブル予防に大いに役立ちます。曖昧な対応を排し、あらかじめ線引きを示すことで、従業員も毅然とした応対がしやすくなるでしょう。

記録の残し方を統一する

クレーム対応の記録を一元化し、誰がいつどのようなやりとりをしたかを明確に管理することは再発防止や検証に有効です。(同じ顧客から繰り返しカスハラが発生した場合、過去の経緯をすぐに把握できれば、より適切な対処が可能になるなど)クラウドシステムや専用フォーマットを活用するなど、運用しやすい仕組みを取り入れることで現場の負担を減らしましょう。

カスハラを許容しない宣言を店舗やWebに掲示する

店舗や公式サイトにおいて、「従業員を守る」姿勢を明確に打ち出すことも有効です。カスハラ自体を許容しない企業であると広く共有することで、不適切な要求を抑止できる可能性が高まります。従業員も会社が後ろ盾になってくれると実感しやすくなり、安心して仕事に取り組めるようになるでしょう。

対応した社員へのアプターフォロー方法を学ぶ

カスハラ対応で最前線に立った従業員は、心身ともに強いストレスを受けるケースがあります。そのため、事後のメンタルケアや相談窓口、休暇取得の柔軟化などを整備し、必要に応じて専門家の意見を取り入れることが大切です。こうしたフォローがあることで、従業員が次の業務を滞りなく続けられるだけでなく、長期的な人材の定着にも寄与します。

警察・弁護士など外部機関への連携や通報方法を確認しておく

顧客による暴行や脅迫など、法的に問題のある行為には迅速な外部機関との連携が求められます。弁護士や警察へ相談する基準や連絡先を社内で整理し、すぐに報告できるフローを作っておくことが重要です。企業がこの部分にも積極的に取り組むことで、従業員に安心感を与え、不測の事態へのリスクを最小限に抑える効果が期待できます。#9110など、緊急ではない相談についての窓口は複数あります。活用してみましょう(警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ | 政府広報オンライン

まとめ

カスハラは正当なクレームと見分けが付きづらい面があるため、企業全体で判断基準を共有し、具体的な行動指針を策定しておくことが大事です。職場環境の悪化や人材の流出を防ぐためにも、すぐに相談・解決できる体制を作り、従業員を積極的に保護する姿勢を示しましょう。結果として、高品質なサービスを提供しながら、顧客との適切な関係を維持するための大きな一歩となります。

この記事の監修者
リスキル事務局

リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。

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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
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■研修実績
・年間実績2400社以上
・受講人数は前年比60%以上
・プロフェッショナルの講師陣200名以上在籍

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Q&A
  • カスタマーハラスメントとは、顧客からの著しい迷惑行為のことです。厚生労働省からは「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。(<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf">カスタマーハラスメント対応企業マニュアル</a>厚生労働省より引用)
  • 企業へのカスハラ対策が義務化されます。具体的な対策としては「カスハラとは何かを周知させる」「対応方法をマニュアル化し共有する」「管理職・店長クラスには、二次対応や従業員を守る対応を学ばせる」の3点です。
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