従業員の中には、「新入社員が責任感を持って仕事に取り組んでくれない」「チームのためにという貢献への考えが薄い」と悩んでいるケースもあるだろう。その状況が起こっている理由の一つとして、従業員のコミットメント力が挙げられる。
コミットメント力の有無は仕事の取り組み方に影響する。仕事に励む新入社員を増やす上で、会社としてコミットメント力を鍛えることは重要だ。
本記事では、コミットメント力のない人とある人の特徴やコミットメント力を強化する方法を紹介する。
コミットメント力とは、自分の仕事に対して責任感を持ちながら対応する力のことを指す。
コミットの例として、以下の内容が挙げられる。
・売上達成率120%の目標を達成した。(使命を果たす)
・社員の柔軟な働き方の実現を約束する(責任を持って取り組む)
上記のようにコミットする従業員は「コミットメント力のある人材」。一方、コミットしない従業員は「コミットメント力のない人材」に該当する。
なおコミットメント力のある新入社員を増やせば、職場の士気が高まる可能性がある。なぜなら、仕事のやる気やモチベーションが従業員間で伝染していくからだ。良くも悪くも人間は周囲の人間に影響される。
職場にとってはコミットメント力のある人材が多くなった方が、エネルギッシュな雰囲気が生まれやすい。そのため、コミットメント力のある人材を育てるのは大切なことだと言えるだろう。
ここでは、コミットメント力がない人に見られる特徴を紹介していく。
目先のことしか考えていない人は、業務を短絡的に見る傾向が強い。たとえば真面目に取り組めば数か月後に大きな成果が出る業務であるにも関わらず、手抜きをして目の前の楽さをとってしまう行動が該当する。
このタイプは自分の将来性を考えず、今すぐ恩恵を受けられるものに飛びつく傾向が強い。遠い先のことを考えられない人材となり、コミットメント力が身につかなくなってしまう。
目的を考えず、とりあえず仕事に取り組んでいる人もコミットメント力はないだろう。たとえば、理性がなく気分感情に任せて業務をこなしていく行為が該当する。自分の意志とは関係なく、惰性で仕事をこなす傾向が強い。
業務の目的を考えずにアクションを起こすことなく、自分の好きなことができればいいという脳になっている。仕事にコミットメントしながら業務に取り組む姿勢が生まれないため、コミットメント力のない人材に育ってしまう。
能力に対して目標が高すぎる人も、コミットメント力のない可能性が高い。たとえば上司に気に入られようと、目標だけ高く設定してしまう行動が該当する。
口では立派なことを言うものの、業務に対しては手を抜いてしまうのが身についている人だと、目標達成できない状況が当たり前になってしまう。結果、コミットメント力のない従業員を生み出すことになる。
コミットメント力が不足しているビジネスパーソンも、懸命に仕事をしている場合が多いことが現状です。
一生懸命仕事をしているものの、目標・目的などを考えず「がむしゃらに走り出す」という特徴があり、そのまま進むと本人が疲弊してしまいかねません。そのような意味からも、コミットメント力が必要とされています。
コミットメント力がある人に見られる特徴についても紹介していく。
など、コミットメント力のある人には目的・目標を明確にした上で仕事をしている。
ただ仕事をこなすだけではなく、目指すべき場所や姿が明確であることが特徴だ。
仕事に対してのモチベーションが高い人は、意欲的に動くケースが多い。目の前の業務に対して、自分事として取り組んでいく。
自分事として取り組む習慣が身についている人は、自分の業務を人任せにすることも少ない。結果、コミットメント力のある状況をつくっていく。
責任感が強い人も、コミットメント力がある人に見られる特徴だ。たとえば、壁にぶつかっても、解決できるまで自分で取り組もうとする行為が該当する。
最後まで諦めずに、自分事として取り組んでいく可能性が高い。自分で最後までやり切ろうとする習慣があるため、コミットメント力の高い人材に見られる特徴だと言えるだろう。
約束を守る人は、責任感を持って業務に取り組む可能性が高い。たとえば、仕事の期日や従業員との約束、自分に課した約束などを破らない行為が該当する。
約束を破らない人は、責任感のある人材だと言える。それが、コミットメント力のある状態をつくっていく。
コミットメント力を強化するメリットは以下の通りだ。
コミットメント力が強化されれば、会社に対して貢献しようとする気持ちが生まれるかもしれない。そのため、会社への忠誠心を高める可能性がある。
従業員の忠誠心が高まれば、会社のために貢献しようとする姿勢が身につく。結果、会社に尽くす人材が生まれる。
コミットメント力があれば、各新入社員が自発的にアクションを起こすかもしれない。自発的にアクションを起こす新入社員が増えると、上司が指示を出さなくても自分で考えて動ける新入社員が多くなっていく。結果、メンバーたちが無意識のうちに行動を起こすチームになる。
コミットメント力がある人は、モチベーションが高まっている可能性が高い。モチベーションが高くなれば、今の職場で働き続けようとする気持ちが芽生えやすい。
そのため、離職率を低下させる効果が期待できる。
コミットメント力がなくても強化させることは可能だ。最後にコミットメント力を強化する方法を解説していく。
適切な目標を設定させれば、目の前の目標を達成するために何をすべきか考える習慣が身につく。その結果コミットメントする体制が生まれて、コミットメント力の強化につながる。
ちなみに目標設定で大事なのが、具体的な内容にすることだ。何をすべきか明確になるだけではなく、自分に適した目標か確認しやすくなる。それが、より一層コミットしやすい状況をつくってくれるはずだ。
顧客目線に立って考えさせる理由は、俯瞰的に物事を見る視点を持ってもらうためだ。顧客目線に立てば、今以上に責任感が生まれて、コミットメント力の強化につながる可能性がある。
なお顧客目線を身につけさせる際は、以下のポイントを抑えるといい。
顧客目線に立つには、顧客の声を知ることが大事だ。顧客の声を知れば相手の想いや気持ちが分かりだす。そのため、顧客の立場に立ちやすくなるだろう。
たとえば「顧客の立場であればどのような行動をとるか」「このような行動をとったら、顧客はどのように感じるか」といった形で、従業員にイメージさせるといい。繰り返し行わせるうちに、自然と顧客目線に立てるようになるはずだ。
自分の能力を発揮できるような役割を与えるのも大切だと言える。なぜなら与える役割の内容によって、コミットメント力が変化するからだ。
自分の能力を発揮できる役割を与えると、モチベーションが高まりやすくなり、コミットメント力を高められる人材になりやすい。
しかし自分の能力を発揮できない業務を与えると、仕事へのモチベーションが下がりコミットメント力のない状態が生まれやすくなる。なお、自分の能力を発揮できるような役割を与える際は、以下のことを心掛けると良いだろう。
従業員のスキルを把握した上で役割を与える理由は、トラブルが起こってはいけないためだ。スキルがない状態で業務を任せると、仕事でミスがたくさん起こって従業員が悪循環に陥る恐れがある。
自己嫌悪になると、モチベーションが下がってコミットメント力のない人材になってしまうかもしれない。その状態を防ぐ意味でも大事だ。
従業員の気持ちをくみ取る理由は、会社だけの都合で役割を与えないためだ。従業員の想いを無視すると、会社に都合よく使われていると思ってしまう恐れがある。
自分のやりたいことができない職場だと思われ、能力を発揮しようとする気持ちが失われるかもしれない。よって、従業員の気持ちをくみ取るのは大切だと言える。
新入社員研修や新人研修・入社前研修などを受けさせることで、コミットメント力を入社前や入社直後に強化することも良い手段だろう。
新入社員の中には、自身の能力が客観視できていない場合もあるため「コミットメント力とは何か」「自分に足りないものは何か」に気づく良い機会となる。
働く環境を整える理由は、コミットメント力を身につけようとする意欲を高めるためだ。働く環境が良くなれば。仕事に対するモチベーションが高まっていく。やる気が高まるため、コミットメント力の向上が期待できる。
なお、働く環境を良くするには以下のポイントを抑えると良いだろう。
業務の作業量を見直す理由は、作業を多く振っていないか確認するためだ。作業量が増えるとキャパオーバーになったり、ワークライフバランスが乱れたりする恐れがある。
その結果、コミットメントする余裕がなくなるかもしれない。コミットメントできる状況をつくる意味でも業務の作業量は見直した方がいいだろう。
心理的安全性を高める理由は、発言しやすい状態をつくるためだ。その状態ができれば、自分の考えを周囲に共有できる。自分の発言によって委縮することがなくなるため、働く環境を良くするのに役立つだろう。
職場環境を変えるのも効果的だ。従業員でコミュニケーションをとる機会を増やしたり、さまざまな働き方ができる状態をつくったり、フリーアドレス制を導入したりなど、あらゆる方法がある。
ストレスマネジメントを習得させれば、ストレスを抱えても上手に解消できる。心身の状態を健やかに保ちやすくなって、コミットメント力の向上がスムーズにいくかもしれない。
なおストレスマネジメントを習得させる際は、新入社員向け ストレスマネジメント研修などを受けさせる以外にも以下のような方法がある。
上司が定期的に面談を行う理由は、従業員の状況を知るためだ。面談を行わなかった場合、従業員がストレスを溜めこんでいることに気付けず、その結果ストレスが爆発するかもしれない。
従業員のストレスを解消させて、心地良い状態をつくるためにも定期的に面談を行うのは重要だと言える。
専門家が指導する機会を設けるのも効果的だ。たとえば専門家が、従業員たちにストレスマネジメントの方法を教えれば、抱えたストレスを自分で解消できるスキルが身につくかもしれない。結果、ストレスマネジメントを習得できる状況につながる。
周囲の従業員がサポートすべき理由は、従業員に安心感を持たせるためだ。安心感があれば、従業員は自分の思うような行動がとれるようになって、業務に取り組むのが楽しくなるかもしれない。結果、コミットメント力を上げやすくなる。
なお、周囲の従業員がサポートする際は、以下のことを心掛けると良い。
自分の意見を押し付けると相手にうっとうしく思われ、サポートしたくてもできない可能性がある。
上司や会社からの押し付けに不快感を持つ従業員も存在するため、相手の意見を受け入れながらサポートすべきだ。
従業員に寄り添う気持ちもあるといい。一方的に自分の想いを伝えるだけだと、説教をされていると感じ、サポートされたくないと思われてしまう恐れがある。
従業員の悩みを聞いたり、相手のペースに合わせて話を進めたりすることが重要だ。
従業員にコミットメント力を持たせるのは、会社として大事だと言える。なぜなら会社に貢献する姿勢が身についたり、業務の効率化に役立ったりするからだ。そのため、従業員にコミットメント力はつけさせた方が良い。
しかし、従業員の中にはコミットメント力のない人材もいるため、会社を挙げてコミットメント力を磨く姿勢をつくることが大事だと言えるだろう。
ちなみにコミットメント力のない人とある人には、以下の特徴が見られる。
コミットメント力がない人に見られる特徴
コミットメント力がある人に見られる特徴
上記の内容を把握しておけば、どちらに該当する従業員か見極めやすくなるだろう。ちなみにコミットメント力を強化する際は、以下のポイントを抑えておくことが大事だ。
上記のことを心掛ければ、従業員たちのコミットメント力を鍛えやすくなるだろう。ぜひとも、コミットメント力のある従業員を増やすためにも、会社として力を入れていただきたい。