ファブレス経営(Fabless)とは、「ファブリケーション(製造)」と「レス(ない)」を組み合わせた言葉で、工場を持たずに製品の設計・開発に特化するビジネスモデルを指します。このモデルでは、製造を外部の専門企業に委託し、自社は設計・開発、マーケティング、販売に注力します。特に半導体業界でよく見られますが、他の業界でも適用されています。
ファブレス経営には、以下のようなメリットがあります。
工場の建設や維持管理にかかるコストを削減できるため、資本効率が向上します。
製造を外部に委託することで、市場の変化に迅速に対応できる柔軟性が高まります。
製造業者の専門知識と技術を活用することで、高品質な製品を効率的に生産できます。
製造リスクを外部に委託することで、自社のリスクを分散し、経営の安定性を高めることができます。
ファブレス経営の代表的な例として、以下の企業が挙げられます。
半導体設計会社の多くはファブレスモデルを採用しています。例えば、NVIDIAやQualcommは、製造を外部のファウンドリーに委託し、自社は設計・開発に専念しています。
Appleは、iPhoneなどの製品の製造を外部の製造業者(例えば、Foxconn)に委託し、自社は設計・開発、マーケティングに注力しています。
ファッションブランドが製造を外部の工場に委託し、デザインとマーケティングに集中するケースもファブレス経営の一例です。
一方で、ファブレス経営には以下のようなデメリットもあります。
製造を外部に委託するため、製造品質の管理が難しくなることがあります。
外部委託により製造コストが変動しやすく、自社でのコントロールが難しくなることがあります。
製造業者に依存するため、製造業者の経営状況や品質問題が自社の経営に影響を与えるリスクがあります。